自動車保険で重視したい事故対応力!いい保険会社を見極めるポイントとは?

自動車保険を選ぶ際、決め手となるポイントは人それぞれ違います。

保険料や補償内容など、さまざまな比較ポイントがある中、保険会社の「事故対応力」も重要な要素です。

とはいえ、実際の事故対応は保険の契約前に体感することができません。

ではどのようにして各社の事故対応力を図ればよいのでしょうか?

今回は自動車保険で重視したいポイントの一つ、「事故対応力」について解説します。

自動車保険における事故対応力とは?

人生で交通事故を経験することは、そう何度もありません。

万が一事故が発生したとき“まず何をすべきか”、冷静に判断し対応できる人は多くないでしょう。

そんなとき、心の支えとなり得るのが保険会社の存在です。

事故対応力が高い保険会社の頼もしいサポートがあれば、初めての事故であってもスムーズに手続きを進められることでしょう。

まずは保険会社に事故の発生を伝えた際、真っ先にどのような対応をしてくれるのか?保険会社の「初動対応」が重要です。突然の事故で動転したドライバーの気持ちを落ち着かせると同時に、的確な指示やアドバイスを即座にしてくれる保険会社は頼れる存在といえます。

事故解決に至るまでの「サポート力」も、保険会社の事故対応で重視したいポイントです。

特に相手方との示談交渉について、双方が納得できる形で話し合いを進めてくれるのかといった点も保険会社の事故対応力にかかわる要素となるでしょう。

事故対応で重視すべき3つのポイント

保険会社の事故対応において重視したいポイントは主に3つあります。

自動車保険を選ぶ際、最低限意識しておきたいポイントなのでそれぞれ見ていきましょう。

1.初動対応のスピード

保険会社に事故の発生を連絡したとき、保険会社側がとる初動対応には以下のようなものが挙げられます。

  • 相手方への連絡
  • 病院への連絡(治療費の請求手続き)
  • 修理工場への連絡やレッカー車の手配
  • 代車(レンタカー)の手配

事故受付自体は「24時間365日」対応している保険会社が一般的です。しかし上記に挙げた初動対応までは24時間365日、いつでも行ってくれる保険会社ばかりではありません。

特に相手方への連絡はいち早くとってほしいものですが、夜間・休日や年末年始の対応を行っていない保険会社もあるため注意が必要です。

初動対応の稼働時間やロードサービスの拠点数などから、保険会社がどういったサポート体制を整えているのか判断しましょう。

2.事故発生~事故解決までのサポート力

初動対応だけでなく事故解決に至るまで、保険会社がどれだけサポートしてくれるかというのも重視したいポイントです。事故の解決まで最低でも2~3ヶ月、長くて1年以上かかることもあります。

保険金支払いのタイミングや必要な書類に関する説明といった基本的なサポートをはじめ、保険会社によっては臨床心理士によるメンタルケアなどの手厚いサポートを受けられるケースもあります。

事故状況や契約の内容によっては、特約を使って補償を受けられるケースもありますが、実際に特約を使えるかどうかは保険会社の提案力がカギとなることもあるでしょう。

3.保険会社との連絡頻度

サポート力と類似する点もありますが、保険会社との連絡頻度も重要です。

「今、どういった状況なのか?」「保険金支払いまでどのぐらいかかるのか?」など、事故発生から時間が経てば経つほど不安は募るもの。そうしたときに、適度なタイミングで保険会社からの連絡があると安心できます。

中には公式サイト上のマイページや公式LINE、専用アプリなどを使用した進捗状況の確認サービスを提供している保険会社もあります。特に仕事や家事で忙しく、日中保険会社からの電話を受け取りづらい人にとっては、便利に活用できるサービスとなるでしょう。

事故発生から保険会社に連絡するまでの流れ

実際に事故が起きたとき、いち早く保険会社に電話をしてしまうのはあまり好ましくありません。最低限ドライバーの義務を果たす必要があります。

ここでは事故発生から保険会社に連絡するまでの流れを簡単に見ていきましょう。

1.ケガ人の救護

もし事故の衝撃によってケガ人が出た場合には、第一にケガ人を救護しなければなりません。これは道路交通法で定められたドライバーの義務であり、事故の加害者・被害者を問わず、必ず行う必要があります。

2.二次被害の防止

二次被害の防止措置も、道路交通法で定められたドライバーの義務です。

車が動かせる状態であれば安全な場所に移動します。また三角板や発煙筒などを用いて、後続車に事故の発生を知らせることも大切です。

3.警察に連絡

警察への連絡も忘れてはなりません。通報義務も道路交通法で定められています。

警察が到着したら、聞き取り捜査や実況見分への立ち会いが必要です。

4.保険会社に連絡

事故現場に警察が到着するまでの時間が、保険会社に連絡をとる最短のチャンスです。

もし保険会社に依頼したいサービス等が決定していれば、この時点で要請しましょう。

具体例を挙げると、「事故現場駆けつけサービス」「レッカー車の手配」などです。

なお保険会社によっては、「事故受付」とレッカー手配などの「ロードサービス受付」の窓口が異なるケースもあります。

自分の車のレッカー移動をお願いしたい場合など、まずは「ロードサービス受付」に連絡するのがおすすめです。

あまり長い時間はとれないので、保険会社のスムーズな対応が求められます。

基本的に保険会社への連絡は後回しです。事故現場において“保険会社への連絡”は、ドライバーの義務ではないため必須事項ではありません。

事故が起きたときに受けられるサービスを把握し、最低限「まずはどこに連絡すべきか?」が分かるようにしておくと安心です。

事故の連絡は各保険会社の「事故受付センター」へ!

事故時の連絡先は、総合窓口とは異なるケースが一般的です。万が一の際にはどこに連絡すればよいのかは、契約時点で確認しておくことをおすすめします。

以下に各保険会社の事故受付のURLを記載しました。「事故が起きたとき、どういったサポートが受けられるのか?」についても併せて確認しておきましょう。

損保協会会員保険会社公式HP(事故受付)
あいおいニッセイ同和損保https://www.aioinissaydowa.co.jp/contact/accident/
AIG損保https://www.aig.co.jp/sonpo/service/contact#item-2146480592
共栄火災海上保険https://www.kyoeikasai.co.jp/contractor/if/index.html
セコム損保https://www.secom-sonpo.co.jp/anshinmycar/customer/
損保ジャパンhttps://www.sompo-japan.co.jp/covenanter/acontact/automobile/
東京海上日動火災保険https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/songai/jiko.html
日新火災海上保険https://www.nisshinfire.co.jp/contact/shokai_car.html
三井住友海上火災保険https://www.ms-ins.com/contractor/procedure/car/insurance/confirm01.html
アクサダイレクト損保https://www.axa-direct.co.jp/auto/faq/for_accident/01.html
イーデザイン損保https://www.edsp.co.jp/service/?fr=navi_service
au損保https://www.au-sonpo.co.jp/pc/otoiawase/
SBI損保https://www.sbisonpo.co.jp/car/service/24h.html
おとなの自動車保険https://www.ins-saison.co.jp/otona/contractor/accident/?cid=WHP001
ソニー損保https://www.sonysonpo.co.jp/auto/solution_rsv_contact.html
三井ダイレクト損保https://www.mitsui-direct.co.jp/response/accident/
楽天損保https://www.rakuten-sonpo.co.jp/contact/tabid/265/Default.aspx
チューリッヒ保険https://www.zurich.co.jp/car/service/emergency/

なお保険会社とのやりとり方法は、電話が主流です。しかし近年、事故受付専用アプリやLINEアプリを利用したネットでのやりとりを可能とする保険会社も増えてきました。

保険会社と専用ドラレコなどをつなぎ、事故の衝撃を検知すると保険会社の方から即座に連絡が来る「コネクティッドカーサービス」を提供する保険会社も存在します。

事故が起きたときにどういった手段で保険会社に連絡をするか、シミュレーションしておくと一層安心ですね。

事故対応を充実させる特約やサービス

保険会社のスタッフが事故現場に駆けつけてくれるわけでもなく、保険会社側と顔を合わせて話すこともないため、通常の事故対応だけでは事故対応力の満足度は図りきれないかもしれません。

以下に挙げる特約やサービスが保険に含まれていて、いざ事故が起きたときに利用できれば、事故対応の満足度は高まるでしょう。

ここでは事故対応を充実させる4つの特約やサービスについて解説します。

レッカーけん引・搬送費用サポート

事故の衝撃によって、自分の車が走行できない状態になってしまった場合は「レッカーけん引・搬送費用サポート」が役立ちます。任意保険に自動付帯されている「ロードサービス」のサービス内容に含まれているケースが一般的です。

  • レッカーの移動可能距離
  • ロードサービスの拠点数(レッカー車の出動拠点)
  • 保険会社指定の修理工場の拠点数
  • 自分や警察が手配したレッカー費用の補償可否

を重視して保険を選ぶとよいでしょう。

保険会社以外で手配されるレッカー費用が補償対象外になっていると、臨機応変の対応がしづらいため注意が必要です。

弁護士費用特約

こちら側が100%被害者となるもらい事故で、保険会社を介した示談交渉が行えない場合に役立つのが弁護士費用特約です。

慰謝料請求など、自分一人で対応するのは難しい手続きも、費用を心配することなく弁護士に依頼することができます。

宿泊・移動費用サポート

遠方で事故を起こしてしまったとき。車も動かず自宅に帰る手段がなくなってしまった、もしくは新幹線で帰らなければならないなど、高額な交通費や宿泊費がかかってしまうケース。そんな事態に役立つのが「宿泊・移動費用サポート」です。こちらはロードサービスに含まれるケースが多くあります。

中には事故現場付近で宿泊可能な宿や、最寄り駅まで行くためのタクシーなどを案内してくれる「コンシェルジュサービス」を提供している保険会社もあり、こちらもあると助かるサービスです。

事故現場駆けつけサービス

保険会社が提供するサービスの中でも近年注目を集めているのが、警備保障会社による「事故現場駆けつけサービス」です。

保険会社が提携している警備保障会社(ALSOK、セコム)のスタッフが事故現場に駆けつけ、現場の安全確保や事故相手からのヒアリング、事故状況の記録といったサポートを実施してくれます。

こちらも保険会社によってはロードサービスに含まれているサービスなので、気になる人はチェックしてみてください。

これらのサービスは保険会社の初動対応がカギとなるため、実際に利用した人のクチコミからも保険会社の事故対応力を判断することができます。保険選びの際の参考にするとよいでしょう。

保険会社によって対応可能なサポートは異なるため、いざというとき自分が欲しいと思うサービスは取り入れられるように、最低限加入予定の保険会社の補償内容は把握しておくことをおすすめします。

「事故対応力」における代理店型orダイレクト型の違い

代理店型の方が保険料が高い=事故対応力も高いと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。むしろ事故対応力の違いは、代理店型とダイレクト型で大きく変わることはないでしょう。

大切なのは事故発生~事故解決までの間、保険会社の対応に何を求めるか?です。

例えば、事故が起きたときに警備保障会社のスタッフが駆けつけてくれる「事故現場駆けつけサービス」を魅力に感じる人は、サービスを提供している保険会社の中から保険を選ぶのがおすすめです。

保険会社との連絡を簡潔に済ませたい人であれば、ネットで進捗状況を確認できる保険がよいでしょう。

保険会社によって提供可能なサービスやサポートの内容は異なるため、事故時にどんなサポートを受けたいのか?という観点から保険選びをすると、自分に合った保険を探しやすくなるかもしれません。

まとめ:「事故対応力」で選んで満足度を高めよう!

保険会社の事故対応力が評価できるのは、実際に事故が起きてからとなります。

「初動対応」「事故解決までのサポート」「連絡頻度」をはじめとした総合的な事故対応力の違いで、保険会社に対する満足度は大きく変わることでしょう。

また「どのような対応が満足といえるか?」感じ方は人それぞれです。

事故の際どういったサポートが受けられると安心できそうかを考えた上で、自分が欲しいサービスを提供する保険会社を選ぶと満足度が高まるでしょう。

実際に事故対応を経験したドライバーのクチコミも参考にしつつ、いざというとき納得の事故対応が受けられるよう、自分に合った必要な補償を備えましょう。

運転者限定特約とは?デメリットや他人が運転するときの対処法を解説

自動車保険には、補償を充実させるためにさまざまな特約が用意されています。

通常、特約をつけるとその分保険料は増しますが、中には特約をつけることで保険料が抑えられるケースもあります。

その一つが「運転者限定特約」です。

しかし保険料が安くなるからといって、やみくもに付帯するのはNG。特約の内容を正しく理解した上で自分に合った補償を選ぶことが大切です。

今回は運転者限定特約の主な特徴やデメリット、他人が運転するときの対処法について解説します。

運転者限定特約とは?

運転者限定特約とは、保険契約者が指定した運転者に対してのみ補償を適用する特約をいいます。記名被保険者本人のみ、夫婦のみ、夫婦+子どものみなど、家族単位で補償範囲を設定できるケースが一般的です。

運転者によって運転の特徴や癖が異なるので、複数人に運転される車の事故リスクは、必然的に高くなってしまいます。

反対に「いつも決まった人しか運転しない」のであれば、その車の事故リスクは低くなるでしょう。

“保険契約中の車を運転する人は誰なのか”をあらかじめ決定し、契約時点で保険会社に告知することで、事故リスクの違いによる保険料の差分を設けています。

運転者限定特約の主な種類

運転者限定特約は主に「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定」「限定なし」の4種類に分けられています。

まずはそれぞれの特徴を見ていきましょう。

本人限定特約

「本人限定特約」は、保険契約の記名被保険者のみに補償を限定する特約です。

車1台につき1名しか運転者がいない=補償の範囲が狭まるため、限定特約の中では最も保険料が抑えられる仕組みになっています。

割引率は保険会社によって異なりますが、およそ7~8%が目安です。

本人・配偶者(夫婦)限定特約

保険契約の記名被保険者とその配偶者の2名のみに補償を限定するのが「本人・配偶者(夫婦)限定特約」です。

この特約を付帯する場合、記名被保険者は夫または妻に設定する必要があります。

なお、保険会社によっては戸籍上の夫婦だけでなく、事実婚や内縁関係といったケースも補償の対象となる場合があります。該当する人は事前に保険会社に確認するとよいでしょう。

本人・配偶者限定の割引率は一般的に5~6%程度となっており、本人限定に次いで割引率の高い特約です。

家族限定特約

家族限定特約は2019年1月以降、大手の保険会社を中心に廃止され、2023年3月現在はダイレクト型の自動車保険を中心に取り扱われている特約です。

割引率は1%程度と高くはありませんが、限定特約を付帯しない場合に比べると保険料を抑えられるため、“家族”を補償範囲に含めたいときはこちらがおすすめです。

保険会社によって補償範囲が異なるものの、一般的には本人または配偶者に加え、同居中の親族や別居の未婚の子どもまでが補償の対象とされています。

家族限定特約を付帯したい場合は「誰が補償範囲に含まれるのか?」を保険会社ごとに確認することが大切です。

【家族限定特約の取扱いがある主な保険会社】

  • SBI損保
  • イーデザイン損保
  • 三井ダイレクト損保
  • ソニー損保
  • おとなの自動車保険

限定なし

保険会社ごとに用意された限定特約の条件に該当しない場合は「限定なし」の契約となります。この場合、保険料の割引は適用されません。

指定したい運転者の範囲によっては保険会社ごとに付帯可能な特約が異なるケースが発生するため、特に見直しの際には注意しましょう。

例:夫婦と別居中の未婚の子どもが運転する場合

保険会社A社B社
限定特約の種類本人限定、本人・配偶者限定、限定なしの3種類本人限定、本人・配偶者限定、家族限定、限定なしの4種類
該当する限定特約限定なし(割引なし)家族限定(割引あり)

「限定なし」のメリットは、別居中の既婚の子どもや友人・知人といった他人が運転した場合にも補償が受けられる点です。

「誰かに車を貸す機会が多い」という人は、補償範囲を設定しない方が安心かもしれません。

なお運転者の範囲の限定による割引以外にも、運転者の年齢条件や免許証の色に応じて保険料率に差が生じます。限定特約とあわせればさらに保険料を抑えられる可能性が高くなるため、ぜひ活用してください。

運転者限定特約の保険料シミュレーション

それではここで、運転者限定特約の付帯による保険料の違いをシミュレーションしてみましょう。

今回は損保ジャパンとソニー損保のネット見積もりを使用し、本人限定、本人・配偶者限定、家族限定、限定なしの3~4つの特約で検証していきます。

【共通条件】

  • 車名(型式):トヨタ  ヤリス (MXPA10)
  • 年齢:30歳
  • 等級:12等級
  • 免許証の色:ブルー
  • 走行距離:5,000km以下
  • 車両保険:なし
  • 使用目的:日常・レジャー使用

損保ジャパン(代理店型)

限定特約の種類保険料/年
本人限定47,340円
本人・配偶者限定48,000円
限定なし50,630円

ソニー損保(ダイレクト型)

限定特約の種類保険料/年
本人限定19,580円
本人・配偶者限定19,770円
家族限定20,920円
限定なし21,120円

※2023年3月現在、筆者調べ

運転者の範囲を限定しない場合と限定特約をつけるケースを比較すると、代理店型の損保ジャパンでは2,630円~3,290円の差が生じ、ソニー損保では200円~1,540円の差が生じています。いずれも「本人限定」が最も保険料を抑えられることが分かります。

ただし保険料だけに捉われすぎると十分な補償を備えられない可能性もあるため、各社の補償内容をしっかり把握した上で、自分に合った保険を選ぶことが大切です。

運転者限定特約のデメリットはある?

運転者の範囲を限定するだけで保険料が割引になるのは大きなメリットにも思えますが、実は補償範囲の限定はデメリットにもなり得ます。

厳密にいうと誰が運転しても保険会社によるペナルティは発生しません。しかし事故を起こしたのが、限定特約で指定した「本人または配偶者(または家族)」以外であった場合、任意保険の補償は受けられなくなります。

限定特約で指定した運転者以外の他人が運転する機会が少しでもある場合は、限定特約を外した方がよいでしょう。

「せっかく保険に入っていたのに補償が受けられなかった」といった事態に陥らないよう、補償の範囲を把握することが大切です。

他人が運転する場合、限定特約はつけられない?

一般的に限定特約で補償される“記名被保険者本人または配偶者”以外の他人も運転する機会が少しでもある場合、限定特約はつけられないのでしょうか?

状況に応じて工夫すれば、限定特約を付帯して保険料を抑えつつ、他人が運転するシーンの補償も備えることができます。

ポイントは「車を貸す相手に補償を用意してもらう」「自分で備える」の2つです。ここではそれぞれ2つずつ、計4つの対処法を解説します。

他者運転特約に加入してもらう

「他者運転特約」とは、他人の車を借りて運転中事故を起こした場合、自分が契約している自動車保険を使って補償が受けられる特約です。

つまり車を貸す相手が他者運転特約に加入していれば、こちらが補償を用意する必要はないため、自分の保険には限定特約をつけていても問題がありません。

注意したいのは、必ずしも相手が十分な補償を備えているわけではない点です。例えば相手が車両保険の契約をしていなければ、貸した車が損傷した場合に補償が受けられません。

相手が加入中の任意保険の補償内容を事前に確認しておくことで、トラブルを防げるでしょう。

単発の自動車保険に加入してもらう

1日自動車保険や時間単位保険など、他人に車を貸す間だけ単発の自動車保険に加入してもらうのも一つの手でしょう。

手続きが簡素化された保険も多く販売されており、ネットで申し込むと即座に補償が開始するなど、利便性が特徴です。

1,000円以下で備えられるコスパも魅力的ですが、安すぎる保険は十分な補償を受けられない可能性があるため注意しましょう。

【代表的な一日自動車保険】

一時的に限定特約を外す

限定特約は保険会社へ連絡するだけで簡単に付け外しができます。他人が運転するときだけ特約を「限定なし」に変更するのもよいでしょう。その場合は追加の保険料がかかるため、指定の方法で別途保険料を支払う必要があります。

懸念点は、保険会社によって適用日が異なることです。

変更後の補償は最短で翌日から適用とする保険会社もあるため、1日自動車保険のような即効性は必ずしも得られません。さらに限定特約を外したあと、日常に戻ったらすぐに限定特約の付帯手続きをしなければ、損をしてしまうといったデメリットも考えられます。

この方法は「別居中の子どもが一時的に帰省する」といったケースなど、車を貸す日が事前に分かっている場合、かつ一定期間継続する場合にのみ有効だといえるでしょう。

「家族限定特約」や共済の「子供特約」を活用する

たまに運転する“他人”というのが、子どもの場合。あらかじめ家族限定特約の取扱いがある保険会社を選ぶか、こくみん共済のマイカー共済の「子供特約」の割引を活用するのもよいでしょう。

前述の通り、子どもが帰省するときだけ限定特約の付け外しをするのもよいですが、手続きが煩雑になるのはデメリットかもしれません。

家族限定特約の割引率は1%程度と少ないのと、現時点では一部のダイレクト型自動車保険にしか取扱いがないのが弱点ですが、子どもや親族に車を貸す頻度を考慮しつつ、お得な契約を選択するとよいでしょう。

まとめ:運転者の範囲を限定して賢く保険料を抑えよう!

運転者の範囲を限定するだけで、保険料はぐっと抑えられます。

もしこれまで「誰かが運転することがあるかもしれないから……」と、なんとなく限定特約をつけてこなかった人は、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか?

「本人限定」と「本人・配偶者限定」の2つの特約が割引率が高く、限定なしに比べて保険料を抑えることができます。

子どもや同居中の親族もまとめて補償範囲に含めたいときは、家族限定特約の取扱いがある保険会社の選択がおすすめです。現在はダイレクト型の自動車保険に取扱いが多いため、気になる人は見積もりをとってみましょう。

年間走行距離の違いで保険料は変わる?適正な走行距離とは?

自動車保険では、年間走行距離の違いで保険料に差が生じるケースがあることをご存じでしょうか?

特に年間走行距離が少ない人は、割引のある保険を契約することで、保険料を安く抑えられるかもしれません。

今回は、年間走行距離が保険料に与える影響について解説します。

年間走行距離が短いと保険料が安くなる?

自動車保険では、年間走行距離に応じて保険料を割引する仕組みを採用している保険会社が存在します。

走行距離が短い人ほど車を運転する頻度が低い=事故リスクが低いとみなされ、保険料も安く設定されています。

ただしすべての保険会社が年間走行距離割引を適用しているわけではありません。

車に乗る頻度が少ない人は、走行距離に応じた割引制度を設けている保険会社を選ぶことで、保険料を抑えられるかもしれません。

年間走行距離の区分

自動車保険における年間走行距離区分の目安を見ていきましょう。

ここでは、「三井ダイレクト損保」の例をピックアップしました。

年間走行距離の目安使用頻度の目安(例)
3,000km以下休日のみ使用
(1ヶ月あたり250km未満)
3,001km~5,000km買い物や送迎など
(1ヶ月あたり250km~400km程度)
5,001km~7,000km日常使用+月1回程度の長距離ドライブ
(1ヶ月当たり400km~550km程度)
7,001km~10,000km日常使用+週1回、休日のたびに長距離ドライブ
(1ヶ月当たり580km~800km程度)
10,001km~12,000km日常使用+長距離ドライブや年に一度旅行・帰省に使用
(1ヶ月あたり850km~1,000km程度)
12,001km~15,000km日常使用+長距離ドライブ+年に数回旅行や帰省に使用
(1ヶ月当たり1,000km~1,250km程度)
15,001km~20,000km毎日のように長距離走行する
(1ヶ月あたり1,250km~1,600km以上)
20,001km以上毎日のように長距離走行する
(1ヶ月あたり1,250km~1,600km以上)

参考:三井ダイレクト損保「走行距離の具体的な目安」より

年間走行距離の区分けは、保険会社ごとに異なります。

8区分以上に細かく分けている保険会社もあれば、5区分程度の保険会社もあります。

“年間走行距離”と考えると分かりづらいかもしれませんが、1ヶ月や1週間あたりに換算すると、自分に当てはまる年間走行距離が見えやすくなるのではないでしょうか。

年間走行距離割引を適用している保険会社

では、年間走行距離に応じた割引を設けている保険会社はどれほど存在するのでしょうか?

実際に割引を適用している保険会社を以下にピックアップしました。

保険会社の名称走行距離区分申告方法
アクサダイレクト8区分予定年間走行距離
イーデザイン損保6区分過去1年の年間走行距離
au損保12区分過去1年の年間走行距離
SBI損保5区分過去1年の年間走行距離
おとなの自動車保険5区分過去1年の年間走行距離
ソニー損保7区分予定年間走行距離
三井ダイレクト損保8区分過去1年の年間走行距離(※他社から切り替えまたは継続手続きの場合)
楽天損保8区分過去1年の年間走行距離
チューリッヒ自動車保険5区分予定年間走行距離

※2023年3月現在、筆者調べ

年間走行距離に応じて保険料に差分を設けているのは、「ダイレクト型」の自動車保険がほとんどです。

走行距離区分は5~8区分の保険が多く見られますが、中には12区分の保険もあり、保険会社によって異なることが分かります。申告方法については、過去1年間で実際に走った分を申告する保険が一般的です。

年間走行距離割引を活用して効率よく保険料を抑えたい人は、自分の乗り方に合った保険会社を選ぶことが大切です。

年間走行距離の違いによる保険料を比較

続いて、年間走行距離の違いによる保険料を比較してみましょう。

今回は「ソニー損保」と「おとなの自動車保険」2社のネット見積もりを用いて保険料シミュレーションを行いました。

【共通条件】

  • 車名(型式):トヨタ  ヤリス (MXPA10)
  • 年齢:30歳
  • 等級:12等級
  • 免許証の色:ブルー
  • 補償の範囲:記名被保険者のみに限定
  • 車両保険:なし
  • 使用目的:日常・レジャー使用

※ネット割引等適用後の保険料

ソニー損保の場合

走行距離区分保険料
3,000km以下18,200円/年
5,000km以下19,580円/年
7,000km以下20,800円/年
9,000km以下22,520円/年
11,000km以下23,690円/年
16,000km以下27,740円/年
無制限29,550円/年

おとなの自動車保険の場合

走行距離区分保険料
3,000km以下18,020円/年
3,000km超~5,000km以下19,850円/年
5,000km超~10,000km以下21,520円/年
10,000km超~15,000km以下24,180円/年
15,000km超31,110円/年

上記シミュレーションの通り、年間走行距離割引がある保険は、走行距離が少ないほど保険料が安くなる仕組みです。

区分ごとの保険料の違いを見ると基本的に数千円の追加で収まっていますが、「3,000km以下」と「無制限」や「15,000km超」の保険料を比較すると1万円以上の差額が発生していることが分かります。

“大は小を兼ねる”と、走行距離を多めに申告している人は損をしているかもしれません。

年間走行距離の申告方法は?

走行距離の申告方法には「予定年間走行距離」「過去1年間の走行距離」の2パターンがあり、どちらの数値を申告するかは保険会社によって異なります。

保険料は「走った分だけ」なのか、それとも「走る分だけ」なのかが見極めのポイントです。それぞれ見ていきましょう。

予定年間走行距離を申告するケース

保険始期日から満期日までの1年間で、どれだけ走行するか?あらかじめ予想して、契約時点で保険会社に申告するケースです。“保険料は「走る分」だけ”と謳っている保険会社はこちらに該当します。

あくまでも予想ではあるので、厳密でなくても構いません。予想が難しいと感じた人は、

  • 前年度の年間走行距離を参考にする
  • 一定期間走行距離を計測し、年換算する
  • 普段走行するルートと走行頻度を目安に大まかな走行距離を算出する

というように目安となる数値を探し、おおよその走行距離を申告すると良いでしょう。

過去1年間の走行距離を申告するケース

一方で、保険始期日以前の1年間で実際に走行した数値を申告するケースもあります。

“保険料は「走った」分だけ”と謳う保険会社です。

  • 走行距離を予想しなくて済む
  • 前年の走行距離をオーバーしても追加保険料が発生しない

といったメリットが挙げられ申告もしやすく、多くの保険会社でこちらの申告方法が採用されています。

保険会社によって申告方法が異なるので、どちらのパターンで申告するべきかは、契約前に必ず確認しましょう。

申告した走行距離と異なる結果になったら?

1年間の走行距離を予想して申告する保険の場合、申告した走行距離と大きく異なったときの対応についても知っておく必要があります。

特に申告した走行距離をオーバーした場合、放置していると「通知義務違反」となる恐れもあり、契約解除の対象となる可能性も生じるため注意しましょう。

申告した走行距離をオーバーした場合

走行距離をオーバーした場合、通知義務のある保険会社とそうでない保険会社の2パターンがあり、それぞれ対応が異なります。まずは「通知義務の有無」について確認することが大切です。

契約中の保険が走行距離オーバー時の通知を必要としている場合は、走行距離が超えそう、または超えたと分かった時点で速やかに保険会社に変更通知をしなければなりません。

具体的には「3,000km以下と申告したが、実際は3,000kmを超えてしまったケース」などが当てはまります。

走行距離割引を設けている保険会社のほとんどがダイレクト型なので、基本的にはインターネット上の契約者ページなどから気軽に変更が可能でしょう。

走行距離区分が1段階上がるだけでも保険料に影響するため、当然追加の保険料が発生します。追加保険料の支払い方法は保険会社によって異なるため、あわせて確認しましょう。

申告した走行距離より少なかった場合

申告した走行距離よりも走らなかった場合は、保険料を多く払いすぎていることになってしまいますよね。しかし多くの場合、払いすぎた保険料の返還などはありません。

つまり年間走行距離を予想して申告する保険の場合、「思ったより走らなかった」というケースでは保険料を余分に支払うことになるのです。

年間でどれだけ走るのか?車の乗り方を日頃から意識することで、余分な保険料を払わずに済むかもしれません。

気を付けるべきは、申告した走行距離をオーバーした場合。保険会社によって区分が異なることを念頭におくことが大切です。

  • 自分がどの走行距離区分で申告をしたのか?
  • 何km以上オーバーしたら保険会社への通知義務が発生するのか?

の2点を必ず確認し、思いがけず虚偽の申告となってしまわぬように注意しましょう。

もちろん、最初から嘘の申告をするのもNGです。

自分の走行距離は適正?平均的な年間走行距離

そもそも、世の中のドライバーたちは1年間にどれだけ車を走らせているのでしょうか?

年間走行距離の目安は、およそ1万kmといわれています。

また、ソニー損保が実施した「2022年 全国カーライフ実態調査」を見ると、平均年間走行距離は「6,727km」という結果が出ています。

引用:ソニー損保「2022年 全国カーライフ実態調査」リサーチレポートより

とはいえ車の乗り方は、ドライバーによってさまざまです。一概に「この走行距離が適正」とは言えません。

愛車の楽しみ方によっては「ちょっと走りすぎ?」と心配になってしまうこともあるかもしれませんが、例え平均より走りすぎている場合でも、走行距離を正しく申告すれば補償が受けられない!ということはないので安心してください。

保険会社に対して、年間走行距離の申告に誤りが生じないように、自分の車の使い方を把握することが大切だといえるでしょう。

走行距離別おすすめの保険はこれ!

車の乗り方は人それぞれ。ほとんど乗らない人もいれば、ドライブが趣味で日常的に長距離を走る人など、さまざまなタイプに分かれるでしょう。

ここでは走行距離のタイプ別におすすめの保険プランを紹介します。

任意保険の選び方で迷われている方は、参考にしてみてください。

走行距離が少ない人向け(3,000〜5,000km程度)

平均よりも大幅に走行距離が少ない人は、走行距離割引を適用している保険がおすすめです。中でも「3,000km以下」の区分は平均よりも走行距離が少ないため、該当する人は保険料も大幅に抑えられるでしょう。

走行距離が多い人向け(7,000km以上)

「毎日のように車を使う」「長距離ドライブにもよく行く」といった、走行距離が比較的多くなる人は、走行距離区分なしの保険、または走行距離区分が細かく分けられている保険がおすすめです。

ただし、走行距離区分を採用していない保険は代理店型に多く見られる傾向にあります。

代理店型の任意保険はもともとの保険料が割高となっているため、結果として全体の保険料が高くなってしまうケースも考えられます。

走行距離区分に捉われず、一括見積もりなどで保険料を比較してみるのも良いでしょう。

走行距離が読めない人向け

ライフスタイルの変化に応じて毎年走行距離が大きく変動するケースなど、その年の走行距離が正確に予想できない人もいるでしょう。この場合は、走行距離区分なしの保険、または前年度の走行距離を申告するタイプの保険がおすすめです。

走行距離を申告する必要がない保険であれば、そもそも走行距離を気にする必要もありません。

また前年の走行距離を申告する保険の多くは、申告した走行距離をオーバーしても通知義務や追加保険料は発生しないため、安心して利用できます。

コネクティッドカー保険もおすすめ

走行距離と保険料をより正確に連動させたい人は、コネクティッドカー保険もおすすめです。

保険会社指定の車載機を車に装備すると、走行状況を保険会社側にリアルタイムでシェアすることができ、走行距離に応じた保険料の算出だけでなく事故時にも役立ちます。

現在は代理店型のみで提供されているサービスなので、ダイレクト型に比べると保険料は割高になってしまうかもしれません。しかし、“手厚い補償を合理的な保険料で受けられる”と考えるとお得感がありそうです。

まとめ:車の乗り方を把握して適した保険を選ぼう

主にダイレクト型の自動車保険では、年間走行距離の違いで保険料が左右されます。特に年間走行距離が少ない人は、“走行距離割引”を活用することで、保険料を抑えられるかもしれません。

走行距離による割引の恩恵を受ける際には、いくつか注意点があります。

「予定年間走行距離」か「過去1年間の走行距離」のどちらの申告方法を採用しているかによって注意点も異なるため、契約前に必ず確認しておきましょう。

効率的に保険料を抑えるために、自分の車の乗り方を把握することも大切です。

年間走行距離も考慮して、自分に合った保険会社を選びましょう。

【自動車保険】使用目的別にみる保険料|変更時の差額や適用条件も解説

自動車保険の「使用目的」。みなさんは正しく申告できていますか?

マイカーを通勤のために使ったり、買い物や子どもの送迎など生活の一部として活用したり。車に乗る理由はさまざまかと思います。

自動車保険では、ドライバーごとの事故リスクを正確に図ることで公平な保険料を算出する目的から、“車の使用目的の違い”でも保険料に差を設けているのが特徴です。

今回は、使用目的別の保険料シミュレーションの他、使用目的変更時の差額や使用目的ごとの適用条件について解説します。

自動車保険の使用目的は主に3種類

自動車保険では、車の使用目的を以下の3種類に分けて申告するよう定められています。

  1. 日常・レジャー使用
  2. 通勤・通学使用
  3. 業務使用

一般的に日常生活の足として車を使用するケースが最も事故リスクが低いとされており、通勤・通学や業務使用のケースに比べて保険料が安く設定されています。

使用頻度の違い=事故率に差分が生じるため、使用目的によって保険料にも差が発生する仕組みです。

なお、保険会社によっては必ずしも上記の3種類に当てはまるわけではなく、「家庭用」または「業務用」いずれかを選択するといったケースもあります。

使用目的の主な適用条件

使用目的が3種類に分けられていることは理解できても、自分の乗り方がどの項目に当てはまるのか、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

保険会社によって独自の適用条件を設けているケースもありますが、ここでは一般的な使用目的の適用条件を解説していきます。

日常・レジャー使用の条件

「日常・レジャー使用」の条件は至ってシンプルです。「通勤・通学使用」または「業務使用」のいずれにも該当しない場合は、日常・レジャー使用の項目に当てはまります。

つまり、通勤・通学使用と業務使用の条件を理解していなければ、気付かないうちに告知義務違反となっている可能性さえ浮上します。

判断が難しい項目ですが、必ず契約前に使用目的の条件をそれぞれ確認しておきましょう。

通勤・通学使用の条件

年間を通じて、1ヶ月当たり平均15日以上、通勤・通学に車を使用する場合は「通勤・通学使用」に該当します。

例えば、悪天候の日だけは車で通勤するケースなど、通勤での使用が15日に満たない場合は使用目的を通勤にする必要はありません。

仮に「今月だけ15日以上、通勤に使ってしまった!」というようなケースでも、年間を通した平均が15日以内であれば問題ないのでご安心ください。

また通勤・通学に伴う「送迎」は含まないケースが一般的ですが、保険会社によっては最寄り駅までの送迎なども通勤・通学に当てはまるケースがあるため、注意が必要です。

業務使用の条件

業務使用とは通勤ではなく、勤務中にマイカーを使用するケースが当てはまります。

年間を通じて平均月15日以上、仕事の都合で車を使用するときは、使用目的を「業務使用」に設定する必要があります。

「通勤で使う自家用車を業務にも使用する」といったケースでは、通勤使用と業務使用、どちらにも該当することになりますが、この場合は「業務使用」として告知するよう求められるかと思います。「必ずしも毎回業務に使うわけではない」など、通勤使用と業務使用のバランスによっても判断が異なるため、念のため保険会社に確認をとると良いでしょう。

なお、ここでいう「業務」とは一般的に、“労働の対価を得るための行為”を指しています。

「正社員か?アルバイトか?」のように雇用形態などは問われませんが、ボランティア活動は業務にはあたらないケースが一般的です。

以上が使用目的の主な適用条件ですが、ここで注意しておきたいポイントが1つあります。

例えば「日常・レジャー使用」で告知したら、通勤・通学には一日たりとも使ってはいけない、ということはありません。

「日常・レジャー使用で告知していたのに、たまたま通勤に使っている最中に事故を起こしてしまった」といったケースも、条件さえ満たしていれば問題なく保険金を受け取ることができます。

「月あたりの平均15日」を目安に、自分の状況に当てはまる使用目的を設定すると良いでしょう。

使用目的別の保険料を比較

ここで、使用目的別の保険料の差額をシミュレーションしてみましょう。

今回は代理店型2社、ダイレクト型2社の見積もりを使用し、それぞれの保険料を算出しました。

【共通条件】

  • 車名(型式):トヨタ  ヤリス (MXPA10)
  • 年齢:30歳
  • 等級:12等級
  • 免許証の色:ブルー
  • 補償の範囲:記名被保険者のみに限定
  • 車両保険:なし
  • 走行距離:5,000km以下(※今回はネット型のみ申告あり)
走行距離の比較

※2023年3月時点 筆者見積もり

(※)ソニー損保の使用目的は「家庭用」「業務用」の2択のみ

各社の保険料を比較してみると、日常・レジャー使用>通勤・通学使用>業務使用の順に保険料が高くなっていることが分かります。

日常・レジャー使用との差額は、以下のようになっています。

走行距離の比較

使用目的の違いのみで、代理店型で約1,600~3,700円、ダイレクト型で約4,000~8,000円の差額が生じるという結果が出ました。

ダイレクト型の方が使用目的の違いによる保険料への影響が高そうですね。

今までなんとなく使用目的の設定をしていた方は、条件が適しているかを今一度確認して補償を見直すことで、保険料を抑えられるかもしれません。この機会にぜひ見直してみてくださいね。

こんなときはどうする?ケース別使用目的の選び方

とはいえ車の乗り方はさまざまなので、使用目的の設定に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。

ここではよくある2つのケースをピックアップしました。

Case1.週3~4回のパートの通勤に使用。日数は平均月15日以内か超えることも。

「フルタイム勤務の通勤に車を使用する」といったケースであれば問題なく通勤使用にできそうですが、週3~4回程度、扶養に収まる範囲で働く主婦・主夫の方が、通勤に車を使用するケースはどうでしょう。保育園に子どもを送った後、そのまま車でパートに向かうといった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この場合、1ヶ月あたりの平均日数が15日以内に収まる範囲なら日常・レジャー使用でもOKです。基本的に年間の平均で算出するため、昨年度の平均日数を計算してみると良いでしょう。

どうしても微妙なラインで悩ましいときは、保険会社に相談した方が確実です。

Case2.子どもの送迎のため週5日以上使用。この場合は通学にあたる?

子どもの幼稚園や保育園、場合によっては小・中・高と、学校までもしくは最寄り駅まで子どもを送迎する親御さんもいらっしゃるでしょう。

使用目的の「通学」にあたる条件には、2つのポイントがあります。

  • 自分で運転して通学するのか?
  • 学校教育法で定められた「学校」か?

前提として「自分で車を運転して通学する」という場合のみ、使用目的を「通学」とするのが一般的です。免許をとった大学生や専門学生などは、学校で“車通学”を認められている場合のみ、自家用車を使用して通学ができます。そうした場合に、使用目的を「通学」にする必要があります。

もちろん幼稚園や保育園の年齢では、子ども一人で車を運転することはできませんので、この場合の使用目的は「通学」には当てはまらないことがいえます。

ただし保険会社によっては、送迎=通学に該当するケースもあるため、契約前の確認が必要です。

また、“学校教育法で定められた学校”とは「小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾(ろう)学校、養護学校及び幼稚園(※)」を指しています。

(※)引用:文部科学省 第6条 (学校教育)法律に定める学校 より

例えば、送迎を通学の条件に含む保険会社の場合、幼稚園への送迎は「通学」に当てはまりますが、保育園は“学校”にはあたらないため「日常・レジャー使用」に該当するといったケースがあります。

嘘の使用目的を申告したらどうなる?

例えば、主な使用目的が通勤であるにもかかわらず、保険料の安い「日常・レジャー使用」と申告して契約した場合など。虚偽の申告をすると事故が発生した際、保険が使えなくなる可能性が生じます。さらに「告知義務違反」として契約解除となることも。

また故意ではなく、うっかり申告を間違ってしまった場合も同様の扱いになってしまうので注意が必要です。使用目的は明確にすることが大切だといえるでしょう。

契約途中で使用目的が変更したときは?

「今までは夫が通勤に使っていたが、子どもが生まれて妻がメインで使うことになった」

「子どもが進学して、通学のために車を使うようになった」

など、ライフスタイルの変化に伴い、車の使用目的が変わることもあるでしょう。そんなときは保険期間中であっても変更が可能です。

使用目的は任意保険において「通知義務」のある項目なので、車の乗り方が明確に変わったらすぐに変更手続きが必要です。反対に通知義務を怠ると、保険契約解除の対象となってしまうため注意しましょう。

迷ったら保険会社に相談が吉!

今回解説した適用条件は一般的によくあるパターンですが、実際には保険会社によって条件が異なるケースもあります。

「こんなときはどう申告するのが正しい?」と迷ったら、加入中の保険会社に聞いてみるのが解決への近道です。

専任担当者のいないダイレクト型自動車保険であっても、電話やオンラインのチャットなどで契約内容について相談ができます。もちろん契約前の質問もOKです。

意図せず告知義務違反とならないように、迷ったら保険会社に相談してみましょう。

まとめ:使用目的の条件を理解して、正しく申告しよう

自動車保険では、主に3種類の使用目的の中から、自分の車の使い方に合わせて正しく目的を申告する必要があります。

車の乗り方はライフスタイルの変化に伴い変化することもありますが、そうした場合にも必ず保険会社に変更を申し出ることが大切です。

使用目的を正しく申告するためには、適用条件の正しい理解がカギとなります。

“万が一”のために入る保険。いざ使おうとしたら告知義務に反していた、といったことがないように、定期的に補償の見直しを行いましょう。

運転免許証の色は保険料にどう影響する?優良ドライバーのメリットは?

車の運転免許証に記載されている有効期間の帯の色は全部で3種類あり、それぞれ持つ意味が異なります。

任意保険の保険料にも「免許証の色」が影響するため、保険料を抑えるためにもゴールド免許を目指していきたいものです。

「そうは言ってもそこまでメリットあるの?」と思われた方へ。

今回は、運転免許証の色による任意保険料への影響と、優良ドライバーのメリットについて解説します。

運転免許証の色は3種類

免許証の帯の色はみなさんご存じの通り、グリーン、ブルー、ゴールドの3色に分類されています。

まずはそれぞれの免許証の色の特徴を見ていきましょう。

初心者ドライバー:グリーン免許

運転免許試験に見事合格すると、免許証が発行されます。

免許取得後、初めて交付される免許証の色は若葉カラーの「グリーン」です。

グリーン免許の有効期間は、免許交付日から3回目の誕生日の1ヶ月後まで。グリーン免許は「新規取得者」を意味しているだけなので、万が一グリーン免許の期間中に違反をしてしまっても、初回更新時にはブルー免許になります。

一般ドライバー:ブルー免許

免許取得からおよそ3年後の初回講習を受けると、これまでの違反の有無にかかわらずブルー免許に更新されます。

ブルー免許には、「初回更新者」「一般運転者」「違反運転者」の3つの運転者区分があります。

初回更新者の次回の更新は3年後。免許取得から無事故・無違反を貫き、かつ二度目の更新時に免許取得から5年以上が経っていれば、次回はゴールド免許です。

また、過去5年間で3点以下の軽微な違反が1回ある人は「一般運転者」になり、軽微な違反が2回以上または人身事故などの重大な事故を起こした人は「違反運転者」の扱いとなります。

一般運転者の免許証の有効期間は5年間、違反運転者は3年間です。

優良ドライバー:ゴールド免許

ゴールド免許を保有できるのは「優良運転者」です。

条件は以下の3つが挙げられます。

  • 免許保有期間が継続して5年以上
  • 誕生日の41日前から起算して5年間無事故・無違反
  • 重大違反教唆幇助(きょうさほうじょ)、道路外致死傷がない

ゴールド免許は過去5年間において違反や事故を一度も起こさなかった優良ドライバーに与えられる、安全運転者の象徴のようなもの。

免許証の有効期間は5年間と長い上、免許更新時の講習は30分と短く、講習手数料も500円で済むといったメリットがあります。(※更新手数料は一律2,500円です)

さらにほとんどの保険会社で「ゴールド免許割引」を設けているため、任意保険が安くなる点も大きなメリットといえるでしょう。

運転免許証の色が重要なのは「記名被保険者」

任意保険において保険料に影響するのは、記名被保険者の免許証の色です。

たとえ契約者がゴールド免許であっても、記名被保険者がブルー免許だとゴールド免許割引は適用されません。

記名被保険者の定義は「主に車を運転する人」です。

告知義務違反にならないように、現状を踏まえて定期的な見直しを行いましょう。

運転免許証の色が変わったら保険はどうなる?

免許証の色も保険料の算出にかかわる重大な項目になるため、更新によって免許証の色が変わった場合は速やかに保険の変更手続きを行う必要があります。

免許証の色は、加入中の保険会社への電話やネット上のマイページから変更可能です。保険会社によって対応が異なるので、一度問い合わせてみると良いでしょう。

また免許証の色の変更に伴い、2点注意しておきたいポイントがあります。

「保険料に反映される時期」と「免許と保険の更新期間が近いときの適用条件」です。それぞれ見ていきましょう。

保険料への反映は次回更新日以降

任意保険では、保険始期日の免許証の色に応じてゴールド免許割引の有無が決定されます。

保険期間の途中で免許証の色が変わっても、すぐには割引は適用されません。

ゴールド免許割引が保険料に反映されるのは、あくまでも次回の保険更新以降になることを覚えておきましょう。

免許更新期間と保険の更新日が近いときの適用条件

免許の更新期間と保険の更新が重なる場合、保険始期日時点で取得している免許証の色で次年度の保険料が決まります。

例えば保険始期日にはゴールド免許であるものの、直後の免許更新でブルー免許に格下げとなる場合。保険始期日時点ではゴールド免許なので、次回の保険更新まではゴールド免許割引が適用されます。

では、保険始期日にはブルー免許ですが、免許を更新するとゴールド免許になる場合はどうでしょう。

この場合、保険始期日と免許の更新期間が重なっていれば、免許の更新より保険の更新が先になってもゴールド免許割引が適用されます。始期日時点で、“免許を更新すればゴールド免許になる”ということが明らかになっているからです。

しかし免許の更新期間が保険始期日と重ならない場合には、その年はブルー免許としてみなされ、ゴールド免許割引は適用されません。

少し仕組みがややこしい上、保険会社によっては対応が異なる可能性もあるため、免許の更新期間と保険の更新日が近い場合は事前に保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。

運転免許証の色による保険料の違い

続いて、実際に免許証の色による保険料の違いを見ていきましょう。

ソニー損保の見積もりを使用して、同じ条件で免許証の色だけを条件を変えて保険料の違いを比較してみました。

【共通条件】

車名(型式):トヨタ  ヤリス (MXPA10)

車の使用目的:家庭用

走行距離:3,000km以下

補償の範囲:記名被保険者のみに限定

車両保険:なし

<条件①>年齢:30歳等級:12等級<条件②>年齢:30歳等級:9等級<条件③>年齢:24歳等級:9等級
グリーン・ブルー19,020円21,040円30,220円
ゴールド17,000円18,780円26,860円
差額2,020円2,260円3,360円

実際にシミュレーションをしてみると、やはり保険料が抑えられるのはゴールド免許だということが分かります。特に保険料が割高になりがちな20代は割引率も高く、ゴールド免許の恩恵を受けやすいといえるでしょう。

今回はソニー損保のみでシミュレーションしましたが、保険会社によって割引率が異なります。よりゴールド免許の恩恵を受けたい人は、一括見積もりなどを利用して複数の保険会社から見積もりを取り、割引率を調べてみると良いでしょう。

ゴールド免許を持つメリット

ゴールド免許を持つメリットは、保険料以外にもあるのでしょうか?

ここでは、保険料以外の優良ドライバーのメリットを紹介します。

免許更新手続きが簡素化される

無事故・無違反の証ともいえるゴールド免許は、免許更新手続きの際に講習時間や講習手数料が優遇されるといったメリットがあります。

また優良ドライバーは免許センターや免許試験場以外にも、指定の警察署にて更新手続きが可能です。更新場所の選択肢が広がるので、手続きもしやすくなるでしょう。

5年に一度の更新とはいえ、拘束時間が短縮されるのは大きなメリットといえるのではないでしょうか。

SDカードを活用できる

1年以上、無事故・無違反のドライバーが発行可能な「SDカード」をご存じでしょうか?

意外と知られていないSDカード。「Safe Driver(セーフドライバー)」の略称で、自らが安全運転者であることを証明するカードです。

SDカードの発行は自動車安全運転センターで行われており、「無事故・無違反証明書」または「運転記録証明書」のいずれかを申請した人限定で発行されます。

証明書の発行手数料は670円(税込)。警察署、交番、駐在所、自動車安全運転センター事務所に備え付けの申請書に記入し、センター窓口または最寄りの郵便局から申請を行います。

SDカードは無事故・無違反の継続年数に応じて全5種類があります。

無事故・無違反の継続年数SDカードの種類
1年以上2年未満SDグリーンカード
2年以上4年未満SDブロンズカード
4年以上10年未満SDシルバーカード
10年以上20年未満SDゴールドカード
20年以上SDスーパーゴールドカード

参考:自動車安全運転センター「SDカード概要」より

店舗によっては、カードの種類に応じてサービス内容が異なるケースもあるため、無事故・無違反の年数が長いほど待遇が良くなるといえるでしょう。

地域によってSDカードの対象店舗は異なりますが、主なサービスとしてレンタカーや引っ越し、ガソリンスタンド、自動車ローンの金利といったさまざまなサービスの割引が挙げられます。

全国各地の「SDカード優遇店」で優遇が受けられるため、まだ持っていないという人はゴールド免許の交付を機に、SDカードを持ち合わせてみてはいかがでしょうか。

虚偽の申告をすると補償が受けられない

「免許証なんて保険会社に見せないし、嘘を言っても大丈夫だよね?」

そんな風に思った人は要注意です。

保険には告知義務といって、等級や事故歴、車の使用目的などさまざまな告知が必要になります。免許証の色も、告知義務のある項目です。

とはいえ申告制ですので、たとえ虚偽の申告をしてもすぐにはバレないかもしれません。

しかし虚偽の申告だと発覚した場合、補償が受けられない可能性が高まるだけでなく、保険契約自体を解除される恐れもあります。

“免許証の色ぐらい”と軽視せず、保険会社への告知は正確に行いましょう。

ゴールド免許→ブルー免許に格下げ!?

せっかく手にしたゴールド免許ですから、できる限り維持し続けたいですよね。

無事故・無違反を貫いてきたにもかかわらず、ブルー免許に格下げとなるケースもあるため注意が必要です。

気を付けたいのは「免許の更新時期」

運転免許の更新は、自分の誕生日の前後1ヶ月の間に行う必要があります。

免許の更新手続きを忘れて失効してしまうと、例え違反や事故がなくてもブルー免許に格下げとなってしまいます。更新忘れには十分に注意しましょう。

その他、ゴールド免許が剥奪されてしまう条件を以下に記載しました。

ゴールド免許が剥奪される条件は?

無事故・無違反がゴールド免許の条件ですから、一度でも違反や事故があると次回の更新からゴールド免許ではなくなると思っておいて良いでしょう。

しかし、違反や事故の内容によっては点数が付かないケースもあります。ゴールド免許に関わるのは、違反点数が加点される違反・事故のみです。

【点数の付かない違反の例】

  • 免許不携帯
  • 泥はね運転
  • 一般道における後部座席のシートベルト未着用

これらの違反は反則金の支払いのみで、点数は加点されず、免許証の色にも影響しません。

【点数の付かない事故の例】

  • 人的被害のない物損事故
  • 自損事故

事故の当事者が負傷してしまった場合は「人身事故」として取り扱われ、事故の程度によって行政処分や刑事処分、民事処分などが科されます。

しかし、人的被害のない物損事故や自損事故のケースでは行政処分の対象にはならず、違反点数は付きません。自損事故で自分がケガを負った場合も同様です。

違反をせず、事故が起きぬように安全運転を心がけることが大切ですが、時にはヒヤッとするできごとがあるかもしれません。

自分が起こした事故や違反が点数に影響しているかどうか確かめたいときは、「運転記録証明書」を申請するのがおすすめです。違反等がなければ、同時にSDカードも発行されますよ。

「免許取り消し」にも注意

事故や違反により免許取り消し処分になると、1から免許を取り直すことになります。

その場合、当然グリーン免許からのスタートです。

免許取り消しの条件は、行政処分歴の有無に応じて点数が異なります。

過去3年以内に行政処分を受けたことがない人の場合、累積15点以上で免許取り消しとなります。なお運転免許の行政処分とは、免許の取り消しや免許停止処分のことです。

「免許取り消し」というと、酒気帯び運転や無免許運転といった重大な違反をした人だけが受ける罰のようなイメージがあるかもしれませんが、小さな違反の積み重ねで取り消しになる可能性もないとは言えません。

違反運転や事故リスクの高まる危険な運転は控え、安全運転を心がけましょう。

まとめ:安全運転を意識して保険料を抑えよう

ゴールド免許を取得すると自動車保険の「ゴールド免許割引」が適用されるため、お得に契約できます。

運転免許の新規取得からゴールド免許になるまでの道のりは、最短でおよそ6年です。

ゴールド免許を維持し続けるには安全運転が不可欠ですが、優良ドライバーでいるメリットは意外にも大きいもの。

日頃から安全運転を意識して、ゴールド免許を目指してはいかがでしょうか。

カーリースでも任意保険は必要!カーリース保険の特徴や選び方を解説

カーリースは月額で車に乗れるサブスクリプションサービスです。

さまざまな特徴が挙げられますが、車検基本料や税金などがリース料金に含まれているため、“車を維持するのにまとまった費用を用意する必要がない”といった点もメリットの一つです。

しかし「自動車保険」は別途加入が必要となるケースが多くあります。

今回はカーリース契約の任意保険について、カーリース保険の特徴や必要性、保険の選び方などを詳しく解説します。

“コミコミ”のカーリースでも任意保険の加入は必要?

車検や税金といった費用が月額に含まれるカーリースですが、基本的に「任意保険」だけは別途加入が必要です。

つまり車に関連する費用の中でも、「任意保険」だけはリース料金に含まれていないことになります。

一方で、車に乗るすべての人が強制加入となっている「自賠責保険」に関しては、リース料金の中に保険料が組み込まれている仕組みです。

自動車保険の仕組みをおさらい

自動車保険には「自賠責保険」「任意保険」の大きく分けて2種類の契約があります。

強制加入となるのは「自賠責保険」です。車の取得時、検査場にて新規車検登録を行うタイミングで自賠責保険の加入を必ず求められます。自賠責保険に加入せず公道を走行することは、法律上認められていません。

任意加入の「任意保険」は、契約者が自由に補償内容を選ぶことができます。

任意保険への加入は法律で定められているわけではありませんが、未加入で事故を起こした場合、多額の損害賠償が必要になることもあるため、加入が推奨されています。

▶自賠責保険と任意保険の違いについてはこちら

リース料金に含まれるのは「自賠責保険」のみ

一般的にカーリースの月額に含まれるのは、以下のような項目です。

  • 車両本体のリース料金
  • 自賠責保険料
  • 車検の法定費用
  • 税金
  • 諸費用

自動車保険に関しては、強制加入の「自賠責保険」がリース契約に含まれており、保険料はリース料金に上乗せされています。

その他、車検時にかかる法定費用や自動車税といった、“車を手にすることで最低限必要となる費用”が月額に組み込まれています。

任意保険の加入は義務ではないため、任意保険契約はリース契約に含まれないケースが一般的です。

カーリース保険と一般的な任意保険の違い

任意保険がリース契約に含まれないとはいえ、任意保険に加入する必要がないとはいえません。車に乗る以上、事故が起きる可能性は否定できず、万が一の際自賠責保険だけでは十分な補償を受けられないからです。

カーリースにおける任意保険の選択肢は、カーリース専用保険一般的な任意保険の2種類に分かれます。

それぞれの補償は基本的に同じですが、「車両保険」にあたる補償内容に違いがあります。

リース契約終了後に車両を返却しなければならないカーリースは、事故で車両が全損してしまうと強制解約扱いになり、車両の修理費用とは別に「違約金」の支払いが必要です。

一般的な任意保険では車両の修理費用の補償までは受けられますが、リース契約の規約上発生する違約金の補償までは受けられません。

カーリース保険なら、違約金の支払いまで対応してもらえるのが大きな特徴です。

▶車両保険に関する詳しい解説はこちら

カーリース保険のメリット・デメリット

とはいえカーリース利用者にとって、カーリース保険はメリットばかりといえるのでしょうか?

ここではカーリース保険のメリットとデメリットについて解説します。

カーリース保険のメリット

まずは、カーリース保険のメリットを見ていきましょう。

全損時の違約金をカバーしてくれる

全損事故となった場合の強制解約による違約金は、カーリース契約のデメリットの一つともいえるでしょう。

カーリース保険なら、リース契約上の“万が一”にも備えられるため、安心してリース契約ができます。

保険を使っても保険料は上がらない

「リース契約期間=保険期間」になるため、保険期間中は事故の有無にかかわらず等級に変化はありません。

万が一保険を使う事故が起きた場合でも、契約期間中は保険料が上がる心配はなく、月々の支払いに影響しない点もメリットの一つです。

リース契約終了まで更新手続きが不要

一般的な任意保険は1年更新のケースが多く、定期的な更新や補償内容の見直しといった煩わしい手続きが必要になります。

しかしカーリース保険であれば、リース契約期間中は任意保険の更新が不要。毎年の更新手続きに手間をかける必要もありません。

カーリース保険のデメリット

続いて、カーリース保険のデメリットを見ていきましょう。

任意保険の等級を引き継げない可能性がある

カーリースの前は自己所有の車に乗っており、通常の任意保険に加入していた場合。

カーリース保険と一般的な任意保険では補償の仕組みが異なるため、今まで加入していた任意保険の等級は引き継げないケースがあります。

通常の任意保険からリース保険に乗り換える場合は、現在の契約を解約するのではなく「中断手続き」をすれば、等級を最大10年間保存することが可能です。

補償を自由に選べないケースが多い

カーリース保険はパッケージ販売されているケースが一般的です。

そのため特約で補償を充実させたり、補償内容を調整して保険料を抑えたりというような自由度は望めないでしょう。

カーリース保険には2パターンある

前項にてカーリース保険のメリットとデメリットを解説しましたが、そもそもカーリース保険と呼ばれる類の保険には2パターンあることをご存じでしょうか?

ここでは「任意保険付きカーリース」と「カーリース専用任意保険」の特徴と代表的な商品について解説します。

1.任意保険付きカーリース

カーリース契約そのものに任意保険が付帯される「任意保険付きカーリース」。

また独自の専用カーリース保険を用意し、リース契約と同時に任意保険への加入を可能としているリース会社も存在します。

カーリースの特性に合わせた任意保険を選ぶにあたり、まずは情報収集から始めることになりますが、カーリースと任意保険を同時に契約できれば保険を探す手間もかかりません。

以下に代表的なカーリース会社を3社ピックアップしました。

KINTO(キント)

トヨタが提供する車のサブスクサービス「KINTO」。

カーリース業界で数少ない、任意保険付きのカーリースを提供しているのが特徴です。

月額に任意保険料も組み込まれているため、支払い忘れがなくなったり、家計管理がしやすくなったりといったメリットがあります。

KINTOの引受保険会社は「東京海上日動」です。

いざというときにあると便利な「弁護士費用特約」や「ロードアシスト」といった特約があらかじめ付帯しているので、安心のカーライフをサポートしてくれます。

KINTOの詳細はこちら

SOMPOで乗ーる

「SOMPOで乗ーる」は、損保ジャパンと株式会社DeNAが共同で運営するカーリース。引受保険会社は「損保ジャパン」です。

こちらはKINTOとは異なり、任意保険は自動で付帯しませんが、リース契約時に任意保険の加入を申し出ることで専用保険を付けることができます。

SOMPOで乗ーるは、現在の任意保険の等級を引き継げる点が特徴です。

手続きのサポートは損保ジャパンの代理店が行ってくれるため、安心して引き継ぐことができます。

SOMPOで乗ーるの詳細はこちら

ニコノリ

「ニコニコレンタカー」の姉妹サービス「ニコノリ」では、新車~中古車まで豊富なカーリースのサービスを提供しています。

ニコノリもリース契約にあらかじめ任意保険が付帯するわけではありませんが、「損保ジャパン」と提携し、独自のリース専用保険への加入も可能です。

SOMPOで乗ーる同様、等級の引き継ぎができるため、現在の任意保険契約を生かしてカーリースに移行できます。

ニコノリの詳細はこちら

2.カーリース専用任意保険

一般的な任意保険の契約に「リースカー車両費用特約」を付けることで、カーリースに特化した保険契約にすることも可能です。

リース契約とは別に保険契約する必要があり、リース料金に保険料を上乗せした契約はできません。その代わり現在の任意保険を継続できるため、等級を引き継げるメリットも挙げられます。

カーリース対応の特約を用意している代表的な保険会社は、三井住友海上、東京海上日動です。

ただし2023年2月時点、ネット見積もりに対応している保険会社はありません。

現在の任意保険契約をカーリースに特化した補償に変更したい場合は、各保険会社に直接問い合わせることをおすすめします。

なお、利用したいリース会社の引受保険会社が現在の保険と同じ保険会社であれば補償内容の引き継ぎも可能なので、事前に相談してみると良いでしょう。

カーリース保険の注意点

原則としてカーリースでは中途解約が認められていません。

やむを得ない事情により中途解約した場合には、違約金が発生します。全損事故による強制解約の場合も同様です。

同じ「解約扱い」でも、カーリース保険で違約金まで補償されるのはあくまでも“全損事故による強制解約時のみ”が一般的です。

個人的な事情で中途解約をする場合、解約時に発生する違約金についての補償は受けられないため、無理のないリース契約を計画することが大切です。

まとめ:カーリースには専用の任意保険への加入がおすすめ!

たとえカーリースであっても、任意保険の加入は必須といっても過言ではありません。

通常の事故リスクに加え、事故に伴う“違約金リスク”にも備えるべく、カーリースには専用任意保険への加入をおすすめします。

独自の任意保険を用意しているリース会社も多く、リース契約~任意保険の加入までをまとめて相談できるケースもあります。

ただしリース会社によってサービス内容が異なるため、必ずリース契約前に任意保険の補償内容について確認しておきましょう。

保険料が高い年齢は?自動車保険における運転者の年齢条件

自動車保険では、運転歴や事故歴、車の使用目的など、あらゆる条件のもと「保険料率」が設定されています。

運転者の年齢も保険料を左右する条件の一つ。

特に10~20代の若い世代の保険料は高く設定される傾向にあります。

そもそもなぜ、年齢によって保険料に違いが生じるのでしょうか?

今回は、運転者の年齢条件における自動車保険の保険料の仕組みについて解説します。

年齢別のシミュレーションもしていますので、年齢ごとの保険料差を比較する際の参考にしてください。

運転者の年齢条件とは?

自動車保険では運転者の年齢によって保険料に差をつけています。年齢に応じて事故リスクが変わるためです。

自動車保険では、“年齢によって補償の内容が変わる”といったことはありません。(※)

しかし例え同じ条件であっても保険料は異なり、年齢が低いほど保険料は高く、年齢が高くなるにつれ保険料は安くなる仕組みになっています。

(※)保険会社によっては事故リスクが高い条件下の場合、車両保険の付帯を断られるケースがあります。

自動車保険における運転者の年齢条件

損害保険料率機構(以下、損保料率機構)が定める年齢条件は、

  • 全年齢補償
  • 21歳以上補償
  • 26歳以上補償

の3区分に分かれています。

上記が基本となる年齢条件の範囲です。

その他、保険会社によっては「30歳以上補償」や「35歳以上補償」といった年齢条件が設けられているケースもあります。いずれも年齢が高い条件ほど、保険料が安くなる仕組みです。

さらに被保険者の年齢層に応じて6区分に分けられており、上記の年齢条件を超えたあとも、年齢による保険料の違いが生じています。

運転者の年齢層に応じた保険料率区分
参考:損害保険料率機構「2021年度自動車保険の概況」運転者の年齢~年齢条件~より

運転者の年齢が保険料に影響する理由

そもそもなぜ、運転者の年齢が保険料に影響してくるのでしょうか?

それは自動車保険が「事故率」をもとに保険料率の算出を行っているからです。

保険料のもととなる「参考純率」の算出は損保料率機構が行っており、さまざまな事故データから分析の上、公平な保険料率の設定をしています。

実際に公開されている年齢別事故率を確認してみましょう。

原付運転者10万人の年齢別の交通事故件数
参考:警察庁「令和3年中の交通事故の発生状況」の資料をもとに筆者が表を作成

実際にはより詳細なデータを元に参考純率の算出が行われているかと思いますが、上記のデータを見るだけでも、若い世代の事故率が高いことは明確といえるでしょう。

近年若い世代の“車離れ”が叫ばれており、ミドル世代に比べて自動車保有率が低いにもかかわらず若い世代の事故率が高い点も気になります。

事故リスクが高い世代の保険料は高く、事故リスクの低い世代の保険料は安く。

合理的な保険料になるように考慮されているため、運転者の年齢も保険料率算出の際の一つの指標になるのです。

【保険料シミュレーション】保険料が高くなる年齢層は?

実際に簡易見積もりを用いて、保険料が高くなる年齢層をシミュレーションしてみましょう。

ソニー損保のネット見積もりを利用し、以下の条件で年齢のみを変えて見積もりをしました。

【等級】6等級
【車】ヤリス MXPA10
【使用目的】日常・レジャー
【年間走行距離】3,000km以下
【免許証の色】ブルー(※18歳のみグリーンで算出)
【補償の範囲】本人限定
【その他】新規加入、車両保険なし、ネット割引等適用後の保険料

年齢(年齢条件)年間保険料
18歳(年齢問わず補償)118,370円/年
25歳(21歳以上補償)52,130円/年
29歳(26歳以上補償)33,040円/年
31歳(30歳以上補償)27,020円/年
40歳(30歳以上補償)26,690円/年
50歳(30歳以上補償)26,830円/年
60歳(30歳以上補償)27,470円/年
ソニー損保のネット見積もりを利用し、筆者算出

「年齢問わず補償」の条件が適用となる18歳~20歳の年間保険料は「118,370円」という結果が出ました。

車両保険なしで10万円超えとは、かなり割高な保険料です。

また、この中で最も保険料が安い40歳と、保険料が高い18歳を比べると、その差額は「91,680円」。およそ10万円近く保険料に差が出ていることが分かります。

25歳になると5万円代にまで下がるものの、30歳以降の保険料と比べるとまだまだ割高といえるでしょう。

やはり自動車保険料が最も高くなる年齢層は「10~20代」であるのが現状です。

若い世代が自動車保険料を抑えるには?

10~20代の自動車保険料は高くなってしまうことが分かりましたが、少しでも抑えられるなら安く済ませたいですよね。

ここでは若い世代が自動車保険の保険料を抑えるためのポイントを3つ解説します。

運転者の範囲を限定する

運転者の範囲を限定することで保険料を抑える「運転者限定特約」

年齢条件と合わせて、保険料を抑えることが可能です。

上記のシミュレーションにて、18歳の保険料は「118,370円/年」でしたが、運転者の範囲を「限定なし」にしてみると「126,890 円/年」に引き上がってしまいました。

運転者の範囲を指定せず、“誰が運転しても補償が受けられる”という契約にしてしまうと、年間8,520円も保険料が高くなってしまうのです。

もちろん自分の他に、両親や友人などの“他人”が運転する可能性が少しでもある場合には、状況に合わせて範囲を指定する必要があります。

しかし特に自分以外が運転する予定がないのであれば、運転者の範囲を限定して保険料を抑えるといいでしょう。

親の等級を引き継ぐ

若い世代の保険料が高く付きやすい原因は、年齢以外に「等級」にもあります。

自動車保険の等級は家族間であれば引き継ぎができるため、「親の等級を引き継ぐ」といった対策も可能です。「子どもは親の等級を引き継ぎ、親には新規加入をしてもらう」というひと手間を加えるだけで、保険料をグンと削減することができます。

ただし、等級の引き継ぎができるのは、

  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者の同居親族
  • 記名被保険者の配偶者の同居親族

(※親族=6親等内の血族または3親等内の姻族)

のみとなります。

すでに両親と別居中の場合、等級の引き継ぎができなくなるため注意しましょう。

ちなみに上記シミュレーションでは、18歳・6等級の場合「118,370円/年」でしたが、これを20等級に変えるだけで「34,930 円/年」という結果になりました。

これだけで、約8万円の節約になる計算です。

料率クラスの低い車に乗る

年齢以外にも、さまざまな条件が保険料を左右する自動車保険ですが、乗っている車の型式によっても保険料が異なることをご存じでしょうか?

上記シミュレーションでは「ヤリス」で見積もりをしていますが、例えば料率クラスが高めの「ランドクルーザー」で見積もってみると、18歳の保険料は「125,780円/年」とさらに割高な結果となりました。

料率クラスは「対人賠償」「対物賠償」「人身傷害」「車両保険」の4つの補償それぞれに定められているため、車両保険を付けない場合であっても保険料に影響します。

年間の差額にして約5,000~1万円程度の違いかとは思いますが、少しでも保険料を抑えるなら「料率クラス」を意識して車を購入するのも一つの手でしょう。

年齢条件における注意点

ここでは自動車保険の年齢条件について、よく見られる勘違いを2点解説します。

年齢条件の設定を誤ると、無駄な保険料の支払いや、万が一の際に補償が使えないといった事態に陥るケースがあるので注意しましょう。

“別居の未婚の子”は適用範囲外

自動車保険では補償によっては「別居の親族まで」が補償の対象となるケースもあります。

しかし、年齢条件において適用となるのは、運転者(被保険者)と同居家族のみです。

つまり“別居の未婚の子”は年齢条件の適用外なので、条件を子の年齢に合わせる必要はありません。

よくある勘違いは「息子が帰省したときに実家の車に乗るので、年齢条件は息子に合わせて契約しておこう」といったケース。

運転者の範囲は「限定なし」にしておく必要がありますが、年齢条件については同居中の家族に合わせればOKです。

保険会社から変更の通知はなし

20代・30代は、保険会社が定める年齢条件に応じて誕生日が来れば年齢条件の変更ができて、新保険料の適用が可能になります。

しかし“年齢条件が変更できる”というのは、基本的に保険会社の方から教えてもらえるわけではありません。

また、誕生日が来たら自動で契約内容を変更してもらえるといったこともありません。

契約中の保険会社の年齢条件を必ず確認しておき、条件が適用となる誕生日を迎えたら忘れずに契約内容を変更しましょう。

こんなときどうする?年齢条件の見直し

年齢条件見直しの見直しについて、よくあるケースをピックアップしました。

最後に年齢条件の仕組みをおさらいしていきましょう。

Case1.実家を出て一人暮らしをする大学生の息子(20歳)

自動車保険 年齢条件を見直すタイミング

父(60歳)、母(56歳)、息子(20歳)の3人暮らし。

同居中の息子が免許を取ってからは「年齢問わず補償」の契約に変更していたというケース。

息子が実家を出て一人暮らしするのであれば、年齢条件の適用外になるため、年齢条件の変更が必要になります。

今回のケースでは「年齢問わず補償」から「26歳以上補償」に変更可能です。

保険会社によっては「30歳以上補償」や「35歳以上補償」の条件もあるので、契約中の保険会社の条件を確認した上で変更手続きを行いましょう。

また、親子間で等級の引き継ぎを検討している場合は、子が家を出る前に手続きする必要があることも注意しておきたいポイントです。

Case2.保険期間の更新後に誕生日を迎えて26歳になる妻

自動車保険 年齢条件を見直すタイミング

夫(30歳)、妻(25歳)。

主に夫が運転するが、週1~2回程度、妻も運転するといったケース。

「たまに運転する」という場合でも、運転する機会が少しでもあるようなら、それぞれが補償を受けられるような契約でなければいけません。年齢条件についても同様なので、今回のケースでは妻が26歳の誕生日を迎えるまでは「21歳以上補償」の条件に設定する必要があります。

また、“保険期間の更新直後に誕生日を迎える”といったケースも考えられるでしょう。

この場合、更新のタイミングで年齢条件を変更したくなるかもしれませんが、誕生日を迎える前に年齢条件を変更することはできません。

年齢条件に誤りがある場合、万が一の際に補償が受けられなくなるため注意が必要です。

少々面倒ではありますが、必ず誕生日を迎えたあとに年齢条件の変更手続きを行いましょう。

まとめ:年齢条件を正しく設定して保険料を抑えよう

自動車保険では、年齢に応じて保険料に差が発生します。

特に事故率の高い10~20代の若い世代は、保険料が高い時期にあたります。

  • 運転者の範囲を限定する
  • 親の等級を引き継ぐ
  • 料率クラスの低い車を選ぶ

などを意識して、保険料を抑えるといいでしょう。

ただし条件を偽って契約するのはご法度です。

補償内容を正しく理解して、自分に合った補償を備えましょう。

【自動車保険】ダイレクト型と代理店型の違い|比較ポイント5選

自動車保険には大きく分けて「ダイレクト型」「代理店型」の2種類があります。

「ダイレクト型の方が安い」といったイメージを持つ人は多いかもしれませんが、それ以外の違いについて、具体的に思い浮かべるのは難しいのではないでしょうか?

自動車保険に限らず保険商品は、価格だけで選んでしまうのはよくありません。

今回は「ダイレクト型自動車保険」と「代理店型自動車保険」の違いと、それぞれを比較する際のポイントを解説します。

「ダイレクト型」と「代理店型」の違いは?

ダイレクト型と代理店型、最大の違いは「保険料」です。

他にも加入方法の違いやロードサービス、特約といった補償内容の違いなど、それぞれ異なる特徴が見られます。

ダイレクト型自動車保険の特徴

ダイレクト型自動車保険では、代理店を通さず、保険会社と直接保険契約を結びます。

代理店に支払う保険料が不要になる分、割安な保険料を実現しやすいのが特徴です。

加入方法はインターネット上で必要な情報と希望の補償を入力し送信するだけ。

保険料の支払いは保険会社によってクレジットカード払いや銀行払い、コンビニ払いなどが選択でき、最短で翌日から補償が開始されます。(場合によっては車検証のコピーなど書類の送付が必要になることもあります)

さらに「インターネット割引」が受けられたり、合理的な保険料の仕組みを採用していたりと、ダイレクト型ならではのメリットも多く挙げられます。

代理店自動車保険の特徴

保険会社と直接契約を結ぶダイレクト型に対し、代理店型では保険代理店が仲介に入り保険契約を結びます。

代理店には当然「店舗」があり「スタッフ」がいるので、店舗維持費やスタッフの給料なども「付加保険料」として保険料に組み込まれています。

つまり代理店側に支払う手数料が含まれる分、保険料も割高になる傾向です。

保険契約は担当者と対面で行います。代理店によっては自宅まで足を運んでくれたり郵送でのやりとりをしたりといったケースもありますが、基本的には代理店に出向いて契約手続きを済ませます。

補償内容を見て、担当者に相談しながら見積もりを作成してもらえるため、自分に合った補償を選びやすくなるでしょう。

ダイレクト型と代理店型の比較ポイント5選

続いてダイレクト型と代理店型、それぞれの自動車保険を比較する際のポイントを解説します。

“ダイレクト型か代理店型か?”で迷ったら、「補償内容」「事故対応」「ロードサービス」「特約」「保険料」を比較してみてください。

1.補償内容

自動車保険を契約する上で、必ず意識しておきたいポイントは「補償内容」です。

必ずしもダイレクト型が代理店型の補償に劣るわけではなく、基本補償に大きな差はありません。しかし中には「ダイレクト型の方が保険料は安くなるけど、〇〇の補償はオプションになる」といったこともあるでしょう。

特に、

  • 基本補償である「対人・対物賠償保険」は無制限になっているか?
  • 自動付帯が一般的な「無保険車傷害」と「自損事故傷害」はそれぞれ付いてくるか?

といった基本的な補償内容については、必ず確認した上で比較することが大切です。

2.事故対応

自動車保険を選ぶ上で次に比較できるポイントは、各保険会社の「事故対応」です。

実際に事故が起きたとき、保険会社の対応によっては手続きが煩わしく感じられることや、本当は受けられるはずの補償が受けられなかった、といったケースもあるかもしれません。

事故対応については契約前に体験することは不可能なので、利用者の口コミや評判などを確認すると良いでしょう。

保険会社によっては、実際の「お客様の声」を公式サイトに掲載しているところもあります。「不満の声」に誠実に対応しているか?も、良い保険会社を見極めるポイントです。

3.ロードサービス

「ロードサービスをどこまで充実させたいか」というのも自動車保険を比較する際のポイントのひとつです。

ロードサービスも、“ダイレクト型だから対応が悪い”というようなことはなく、補償内容やロードサービスの拠点数などは保険会社によって異なります。

例えば、

  • 宿泊費用や移動(帰宅)費用の補償
  • ペットの預け先の補償

といった、“保険会社によっては付かない補償”を備えたい場合は特に、補償の中身をしっかりと確認した上で比較すると良いでしょう。

4.特約

保険会社によって特約の内容も変わることがあります。

同じ系列の保険会社であっても、ダイレクト型と代理店型を比べると、特約が変わるケースも見られます。

例えばMS&ADグループの自動車保険を例に挙げると、「入院・後遺障害時における人身傷害諸費用特約(※)」は代理店型では自動セットになりますが、ダイレクト型ではこの補償を付けることはできません。

いざというとき、“自分が必要な補償は何か?”を第一に考え、欲しい補償が受けられるかを必ず確認しましょう。

(※)事故により入院や後遺障害となった場合にかかる諸費用の補償が受けられる特約。

ホームヘルパーやベビーシッター等にかかる費用も対象です。

5.保険料

補償内容を十分に確認した上で、最後に保険料を比較しましょう。

一般的にダイレクト型の方が「インターネット割引」や、紙の証券を発行しない人に向けた「ネット証券割引」などの割引が充実しているケースが多くあります。

ただし、「ダイレクト型の方が安いと思っていたが、特約をプラスしていくと代理店型の方が安くなった」といったケースもないとは限りません。

ダイレクト型と代理店型、両社の保険料を比較することをおすすめします。

ダイレクト型と代理店型のメリット・デメリット

ここからはダイレクト型と代理店型、それぞれの自動車保険のメリットとデメリットを確認していきましょう。

また、メリット・デメリットを踏まえた上でそれぞれの保険に向いている人の特徴も解説します。

ダイレクト型自動車保険のメリット・デメリット

【ダイレクト型のメリット】

  • ネット上で契約手続きが完結する
  • 保険料が割安
  • 事故対応がスピーディー

代理店を通さずに保険会社と直接契約ができるダイレクト型は、ネット上で必要な情報を入力していくだけで簡単に申込みが可能です。

代理店に支払う手数料もない分、保険料は割安になる傾向にあるのも大きなメリットといえるでしょう。

また、事故時にも代理店を通さず直接保険会社とのやりとりをするため、スピーディーな事故対応を実感できる上、保険金支払いまでの流れが見えやすいといったメリットも挙げられます。

【ダイレクト型のデメリット】

  • 保険会社と直接やりとりしなければならない
  • 補償内容が適切かを自分で判断しなければならない
  • クレジットカードがないと月払いができないケースが多い

保険会社と直接やりとりを行うダイレクト型は、保険契約から事故時の保険金申請に至るまで、すべて個人で保険会社と連絡を取る必要があります。

代理店型であれば代理店の担当者が仲介に入り、保険会社とやりとりを進行してもらえることもありますが、ダイレクト型には頼れる担当者は付きません。

契約前に補償内容の確認を行いたいときも保険会社に直接問い合わせる必要があり、「自分に合った補償になっているか?」なども気軽に聞くのは難しいかもしれません。

また代理店型と比べて保険料は安く済むものの、クレジットカード以外の月払いには対応していない保険会社が一般的です。年間保険料が10万円前後かかる人にとってはデメリットとなる可能性があります。

代理店型自動車保険のメリット・デメリット

【代理店型のメリット】

  • 担当者に相談しながら補償を組み立てられる
  • さまざまな手続きを代行してくれる
  • 保険料が割高になる分、毎月払いに対応している
  • 代理店型ならではのサービスを受けられることも

代理店型は、なんといっても「担当者」の存在が心強いのではないでしょうか。

契約時、事故時、更新手続き時や解約時など、あらゆる場面で担当者に気軽に相談できるのは、難しい専門用語が飛び交う保険契約において大きなメリットだといえます。

また事故手続きの中で必要な保険会社とのやりとりを代理店が代行してくれる点も、「日頃忙しく保険会社からの電話をとりづらい」といった人にとってメリットになるでしょう。

代理店によってはキャンペーンを実施したり、独自のサービスを提供していたりすることもあり、親しみやすい雰囲気が特徴です。

保険料は割高になる傾向ではありますが、代理店型ではクレジットカードがなくても月払いに対応してくれるケースが一般的です。若い世代など、保険料が高額になる人にとってはメリットとなるでしょう。

【代理店型のデメリット】

  • 保険料が割高になる
  • 担当者が保険に詳しいとは限らない

代理店側に支払う販売手数料が保険料の中に含まれているため、その分どうしても保険料が割高になってしまうのが、代理店型のデメリットです。

また代理店といってもその形態はさまざまで、個人で経営している保険代理店もあれば、ディーラーや整備工場が代理店になるケースもあります。

日々保険を取り扱う専門家であれば安心できますが、ディーラーのスタッフなどは必ずしも保険に詳しいとは限りません。

「説明を受けたがよくわからなかった」

「付けたほうが良いと言われた特約が他の保険契約の補償と重複していた」

といったケースも考えられるため、“任せっきり”にならないよう注意が必要です。

ダイレクト型に向いているのはこんな人

ダイレクト型のメリット・デメリットを踏まえた上でダイレクト型自動車保険に向いている人をまとめると、以下のような人が挙げられます。

  • とにかく保険料を抑えたい人
  • 納得のいく補償内容を自分で選びたい人
  • 忙しく、代理店に行く時間がない人
  • 年間保険料を一括で支払える人

代理店型に向いているのはこんな人

対して、代理店型自動車保険に向いている人は以下の通りです。

  • 保険に詳しくなく、対面でしっかりと説明を聞きたい人
  • いざというとき相談できる担当者が欲しい人
  • 加入時や事故時などにサポートを受けたい人
  • 年間保険料が高額になるため、月払いを選択したい人

ダイレクト型にも代理店型にも、それぞれの良さが挙げられます。

向き・不向きを考慮しつつ、自分に合った自動車保険を選びましょう。

おすすめの自動車保険はこれ!

「で、結局どの保険会社にすればいいか分からない」という人のために、ダイレクト型と代理店型、それぞれでおすすめの自動車保険を3社ずつピックアップしました。

おすすめポイントもあわせて確認し、比較時の参考にしてください。

【ダイレクト型自動車保険TOP3】

まずはダイレクト型自動車保険のおすすめから紹介します。

1.ソニー損保

ソニー損保の特徴

  • 24時間365日事故受付、外国語事故対応サービスあり
  • セコム事故現場駆けつけサービスあり
  • 全国約10,000ヶ所のロードサービス拠点
  • 保険料は走る分だけ

ダイレクト自動車保険20年連続売上No.1の「ソニー損保」。保険料の安さや事故対応など、総合的な顧客満足度が高く、多くの人に選ばれ続けている保険です。

中でもユニークな特徴は、過去1年間の走行距離ではなく「予想走行距離」で保険料を算出する点。申告した走行距離を超えた場合はその分の保険料を支払う必要がありますが、余った分は翌年に繰り越され、割引が受けられる仕組みになっています。

事故対応には専用アプリをダウンロードすることでGPSを活用し、スムーズに場所の特定ができるのもうれしいポイントです。

ソニー損保の公式サイトはこちら

2.セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)

セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)の特徴

  • 1歳刻みで変わる保険料。事故率の低い世帯の保険料を割安に
  • 保険料は走った分だけ
  • 24時間365日事故受付
  • ALSOK事故現場安心サポートあり
  • 全国約13,000ヶ所のロードアシスタンス拠点

「40代・50代の保険料を安く」のキャッチコピーで一躍話題となった「おとなの自動車保険」。1歳刻みで保険料が変わるので、事故率が低い年齢に近づくにつれ割引率が高くなり、保険料が安くなるという合理的な仕組みを取り入れています。

さらに独自の割引を設けているほか、基本補償以外の特約をオプションにすることで自由に補償を選びやすく、保険料を抑えやすくなっているのも大きな特徴です。

おとなの自動車保険の公式サイトはこちら

3.イーデザイン損保

イーデザイン損保の特徴

  • 保険料は走った分だけ
  • 24時間365日事故受付
  • セコム事故現場急行サービスあり
  • ロードサービス拠点は全国約9,300ヶ所
  • もらい事故でも専任担当者のサポートが受けられる

東京海上日動グループが提供する「イーデザイン損保」。ロードサービスやセコムの現場急行サービスなど、基本的な補償が充実しています。

さらに2021年11月より、スマートフォンと車を連携させる“デジタル時代の共創型自動車保険”「&e(アンディー)」が発売され、注目が集まっています。

イーデザイン損保の公式サイトはこちら

【代理店型自動車保険TOP3】

続いて、代理店型自動車保険のおすすめ商品を紹介します。

1.AIG損保

AIG損保の特徴

  • 24時間365日事故受付・初期対応
  • 緊急アシストサービスあり
  • 自転車事故のリスクもカバー可

AIG損保最大の特徴は、人身傷害保険の補償範囲に「自転車事故による傷害」も含まれている点です。補償の対象になるのは被保険者の家族全員なので、自転車に乗る機会があるご家庭にとって大きなメリットとなるでしょう。

AIG損保の公式サイトはこちら

2.損保ジャパン

損保ジャパンの特徴

  • 24時間365日事故受付・初動対応
  • ロードアシスタンスの拠点は全国約17,000ヶ所
  • 「つながるドラレコDriving!」で事故時も安心

業界最大規模のロードアシスタンス拠点数を誇り、事故時やトラブル発生時の素早い対応が評判の「損保ジャパン」。事故対応専任スタッフは10,000人以上。さらに事故相手が外国人だったときのために、21か国語での事故対応を可能にしています。

損保ジャパンの公式サイトはこちら

3.三井住友海上

三井住友海上の特徴

  • 24時間365日専門スタッフが受付
  • 夜間、休日も初期対応を実施
  • ロードサービス拠点は全国約4,600ヶ所
  • 「プレミアムドラレコ型」で事故や安全運転をサポート

業界大手の「三井住友海上」。代理店型ならではの強みを生かしたさまざまな特約を用意しており、補償を充実させることができます。

ロードサービスの補償内容も充実しており、例えばレッカーけん引の移動距離は安心の500kmまで対応可能。自分で手配したレッカーも補償範囲に含むなど、手厚い補償が特徴です。

三井住友海上の公式サイトはこちら

※参考: J.D. パワー 2022年自動車保険事故対応満足度調査「顧客満足度ランキング」より

まとめ:自分に合った自動車保険を選ぼう

一般的に代理店型よりもダイレクト型の自動車保険の方が、保険料が抑えられる傾向にあります。

しかし、保険料だけで選んでしまうと必要な補償を用意できない可能性も生じるため、必ず「補償内容」もあわせて確認することが大切です。

それぞれの違いを押さえて、自分に合った自動車保険を選びましょう。

自動車保険のロードサービスは必要?補償内容やJAFとの違いを解説

自動車保険に付帯するロードサービス。いまやほとんどの保険会社が無料でサービスを提供しています。

しかしいざトラブルが起きて自動車保険のロードサービスを使おうとした結果、補償の対象外だった!なんてことがあるかもしれません。

  • 自動車保険のロードサービスが使えるのはどんなシーンなのか?
  • 年会費を支払うJAFのロードサービスとの違いは何か?
  • そもそもロードサービスは必要なのか?

今回は自動車保険のロードサービスについて、どんな場面で役に立つのか?具体的な補償内容やJAFとの違いについて解説します。

自動車保険のロードサービスとは

自動車保険のロードサービスは、契約中の車が事故や故障といったトラブルにより自力での走行ができなくなった場合に、レッカーけん引や応急処置を行ってくれるサービスです。

また、車の事故や故障が原因で自宅に帰れなくなった場合のホテルの宿泊費用や、帰宅するための交通費といった費用の補償を無料で提供する保険会社も多く存在します。

事故により車が動かなくなったシーン以外にも、故障やタイヤのパンクといった車のトラブルにも対応できるのが特徴です。

自動付帯(無料)・オプションの2種類がある

自動車保険のロードサービスは、保険契約に自動で付いてくるケースが一般的です。

しかし中にはオプションになったり、車両保険を付帯した契約にのみ自動付帯するといった保険商品もあったりします。

ロードサービスの内容は、自動付帯とオプションのどちらであっても、基本補償に大きな違いはありません。「無料か有料か」ではなく、保険会社ごとの補償内容をしっかりと比較して選ぶと良いでしょう。

ロードサービスの利用は等級に影響しない

ロードサービスの利用だけでは、自動車保険の等級には影響しません。

ただし事故により保険を使った場合は、補償の内容に応じて次年度から等級が下がる可能性があります。

等級に影響しないトラブル例

  • バッテリー上がり
  • ガス欠
  • キー閉じ込み など

等級に影響する可能性があるトラブル例

  • 事故で車が全損(レッカーけん引)

→車を修理するために車両保険を使用した場合は3等級ダウン

ロードサービスは必要か?

“ロードサービス”というと、バッテリー上がりやタイヤのパンクといった車のトラブル発生時に使われるイメージが先行する人もいるかもしれません。

“車が好きでちょっとした修理なら自分で対応できる”という人であれば、ロードサービスを要請する確率も低くなるでしょう。

しかし、万が一事故により車が走行不能状態になった場合、けん引や搬送を自分の力だけで確実に行うのは難しいかもしれません。

万が一に備えて、自動車保険のロードサービスだけでも備えておけると安心できるのではないでしょうか。

自動車保険のロードサービスの主な補償内容

続いて自動車保険のロードサービスの主な補償内容を見ていきましょう。

自動車保険のロードサービスには、すべての保険で補償される基本的なサポートと、保険会社ごとに内容が異なる補償の2種類に分けられます。

基本的なサポート内容

すべてのロードサービスで対応可能となる、基本的なサポート内容は以下の通りです。

  • レッカーけん引・搬送:自力走行不能になったとき、現場から修理工場まで無料で故障車を搬送します。(保険会社ごとに距離や料金などの規定あり)
  • バッテリー上がりのジャンピング作業:バッテリーが上がってエンジンが掛からなくなったとき、ジャンピング作業を行います。(バッテリー交換は対象外)
  • タイヤのパンク(スペアタイヤ交換):タイヤのパンクにより走行不能となったとき、スペアタイヤへの交換作業を行います。(タイヤの修理は原則対象外)
  • ガス欠時の給油サービス:ガス欠が原因で車が動かなくなったとき、10Lのガソリンを無料(※)で届けてくれるサービスです。(※保険会社によっては有料の場合あり)
  • キー閉じ込み時の鍵開け:車の中にキーを入れたまま施錠してしまった場合、鍵開け作業を行います。
  • 落輪したときの引き上げ作業:側溝などにタイヤがはまったとき、引き上げ作業を行います。(保険会社によって“タイヤ1本まで無料”などの規定あり)

現場で30分以内の作業で済む修理であれば、その場で対応してくれる保険会社が一般的です。30分以内の作業が難しい場合は、最寄りの修理工場などにレッカー移動されます。

保険会社によっては付帯するサポート内容

次に、保険会社ごとに内容が異なるサポート内容を見ていきましょう。

  • 宿泊費用:トラブル発生が自宅から遠い場所であったり、真夜中で公共交通機関が利用できなかったりしたとき、一時的なホテルの宿泊費用を補償します。
  • 帰宅移動費用:自宅または出発地点までの帰宅費用を補償します。
  • 修理後の搬送費用:修理後の車を自宅に搬送する場合、かかった費用を補償します。
  • 修理後の引取費用:修理後の車を引き取りに行くためにかかった交通費を補償します。
  • レンタカー費用:車の修理期間中にレンタカーを借りた場合、保険金日額を上限に実費を補償します。(保険会社によっては、帰宅の際や修理後の車を引き取りに行くために借りたレンタカー費用を補償するケースもあり)

なお、これらはロードサービスの補償内容には含まれていない場合でも、別途オプションを付けることで補償が賄えるケースや、車両保険に自動付帯されているケースもあります。

またレンタカー費用のように、同じ名称でも保険会社によって補償内容が異なる場合もあるため、保険会社ごとの補償内容をじっくり確認することが大切です。

補償対象外となるケース

続いて、自動車保険のロードサービスのサポート対象外となるケースも確認しておきましょう。

まずは一般的に補償対象外とされる主なケースは以下の通りです。

  • 被保険者の故意または過失により発生した損害
  • 被保険者が無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

ロードサービスの使用のみであっても、故意に起こした事故や飲酒運転が原因で生じた事故などの場合は補償が受けられません。

それ以外に、

  • 違法改造を施した車
  • 車検・自賠責保険切れの車
  • 積雪、降雨、降雪等によってできた水たまりやぬかるみが原因で走行不能に陥った場合
  • 走行不能の発生原因がキー紛失の場合

においては、自動車保険のロードサービスのサポート対象外となるケースが多くあります。

特に「雪が原因で動けなくなった」といったシーンに対応していない保険商品が多いため、注意が必要です。

よくあるロードサービスの利用シーン

そもそも、ドライバーのみなさんはどのようなシーンでロードサービスを利用することが多いのでしょうか?

2021年度のJAFの調査によると、ロードサービスの出動理由は以下の3つが挙げられました。

順位JAFロードサービス出動理由
1位バッテリー上がり
2位タイヤのパンク
3位落輪・落込

参考:2021年度 JAFロードサービス出動理由TOP3 より

上記は一般道路と高速道路の両方を合わせた総合的な結果ですが、一般道路で見ると1位は「バッテリー上がり」、高速道路で見ると1位は「タイヤのパンク(バースト)」と道路別の違いも見られるようです。

自動車保険のロードサービスでは一般的によくあるトラブルに対応可能な保険会社がほとんどですが、「落輪・落込」の引上げ作業においては保険会社ごとに規定が異なるため、注意しましょう。

自動車保険のロードサービス比較のポイント

自動車保険を検討する際は、ロードサービスの補償内容も意識しておきたいところです。

欲しいサービスは人それぞれ異なるかと思いますが、これだけは押さえておきたい比較ポイントは「ロードサービスの拠点数」「レッカー移動の距離」です。

ロードサービスの拠点数

サービス提供の「拠点」は、事故受付とロードサービスで異なるケースが一般的です。

「事故受付の拠点数は多いけど、ロードサービスの拠点数が少ない」といったこともあるでしょう。

ロードサービスの拠点数が多いほどロードサービス要請時、現場への到着時間も短くなる可能性が高まり、トラブル時に有利です。

レッカーけん引の移動距離

レッカー移動に関する規定は、保険会社ごとにさまざまな設定がされています。

  • 保険会社が指定する修理工場までの搬送なら距離制限なし
  • 契約者自ら手配したレッカー車も補償の対象
  • 応急処置費用と合算して〇万円まで

などサービス内容が異なるため、契約前の確認が必須となります。

各社のロードサービスを比較

ロードサービスは、各保険会社が他社との差別化を大きく図れる特約の一つでもあります。独自のサービスを設けている保険会社も多いため、各社のサービス内容を知り比較することが大切です。

ここでは主要な自動車保険商品をピックアップし、それぞれの比較ポイントを一覧にまとめました。

商品名名称自動付帯拠点数レッカー移動距離特徴
あいおいニッセイ同和損保/タフ・クルマの保険ロードアシスタンスサービス約4,000ヶ所約500km相当(30万円まで)初期対応コンシェルジュサービスあり
AIG損保/AAP(家庭用総合自動車保険)ロードレスキュー/ロードレスキューミニ

 

(※)

約500km相当(30万円まで)(※)車両搬送費用特約または車両搬送時諸費用特約を付けた場合のみ自動付帯
チューリッヒ/自動車保険ロードサービス約10,400ヵ所約100km(※指定の修理工場までなら無制限)・キー紛失時、キー作製費用が無料

 

・ペット宿泊費等も補償

セコム損保/セコム安心マイカー保険ロードアシスタンス約250km(20万円相当)事故発生時、セコムの現場急行サービスあり
損保ジャパン/個人用自動車保険「THE クルマの保険」ロードアシスタンス約17,000ヶ所約180km(15万円相当。応急処置費用と合算の限度額)業界最大級の拠点数
東京海上日動/トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険)ロードアシスト約9,300ヶ所約180km(15万円相当)

 

※事前に承認された修理工場までの搬送なら無制限

「おクルマ故障相談サービス」あり
三井住友海上/GK クルマの保険おクルマQQ隊約4,300ヶ所約500km(30万円相当)LINEからロードサービスを要請できる(要事前登録)
アクサ損保/アクサダイレクトの自動車保険AXAプレミアムロードサービス10,410ヶ所約150km(※指定の修理工場までなら無制限)「雪道スタック引上げ作業」対応可
イーデザイン損保/自動車保険ロードサービス約9,300ヶ所約100km(※指定の修理工場までなら無制限)ロードサービスの拠点数が多い
au損保/au自動車ほけんロードサービス約4,300ヶ所約50km(※指定の修理工場までなら無制限)MS&ADグループとの提携で事故対応力◎
SBI損保/個人総合自動車保険SBI損保安心ロードサービス約10,300ヵ所約50km(※指定の修理工場までなら無制限)雪道や砂浜などでのスタックも引き上げ可
セゾン/おとなの自動車保険ロードアシスタンス特約×約13,000ヶ所約180km(15万円相当。応急処置費用と合算の限度額)タイヤ2つ以上、クレーン使用の引き上げ作業も対応可
ソニー損保/自動車保険ロードサービス約10,000ヵ所約100km(※指定の修理工場までなら無制限)・レッカーサポートの利用回数制限なし

 

・ペット宿泊費用サポートあり

三井ダイレクト損保/総合自動車保険ロードサービス約4,300ヶ所約100km(※指定の修理工場までなら無制限)雪道でのスタックにも対応可(※スタッドレスタイヤorチェーン着用時のスタックのみ)
楽天損保/ドライブアシストロードアシスタンス約8,500ヶ所約250km相当(20万円。引取り費用等と合算の限度額)ALSOKの現場駆けつけサービスあり

※2023年1月現在/筆者調べ

必ずしもロードサービスを重視して選ぶ必要はなく、ロードサービスの内容を重視するか、他の補償を重視するかは人それぞれです。

しかし「ロードサービスに入っていたと思ったけど、必要な時に使えなかった」といった事態に陥っては意味がありません。

特に「自動車保険のロードサービスのみで十分」と考える場合、最低限の補償が備えられるか契約前に補償内容を確認することが大切だといえるでしょう。

自動車保険のロードサービスとJAFの違いは?

自動車保険のロードサービスに入っていれば十分なのでしょうか?JAFとの違いを理解して必要性を考えることが大切です。

自動車保険のロードサービスとJAFが提供するロードサービスの違いは主に3つあります。

自然災害によるトラブル対応の違い

自動車保険のロードサービスは、降雪や大雨といった自然災害によるトラブルには対応できないケースが一般的です。(※)

  • 路面凍結によるスリップ
  • 雪道や大雨で一時的にできたぬかるみでのスタック

こうした場面にも確実に対応できるのはJAFの強みとなっています。

(※保険会社によっては対応可能なケースもあります)

ロードサービス利用可能回数の違い

自動車保険のロードサービスは「年1回まで無料」のように、利用回数に制限を設けているケースが一般的です。

1年更新のJAFは、1年の間に何度ロードサービスを利用しても年会費以外の追加料金はほとんどの場合かかりません。

補償範囲の違い

自動車保険とJAFでは、補償の対象が異なります。

自動車保険のロードサービスが使えるのは保険と紐づけた契約車両のみです。

対するJAFは、JAFにロードサービスを依頼すれば会員・非会員問わず、誰でも利用することができます。(非会員の場合は利用料が発生します)

JAFでは「車」ではなく「人」に保険をかけるイメージなので、自分名義の車以外にもレンタカーや他人の車なども対応可能です。

補償内容の違い

さらに自動車保険とJAFのロードサービスの補償内容が異なる点にも注目です。

JAFはあくまでも「車のトラブル」がサービスの対象となりますが、自動車保険では車のトラブルのみならず、帰宅できなかったときの臨時宿泊費用や自宅までの交通費といった部分まで補償されるケースが多くあります。

万が一自宅から遠く離れた場所で事故を起こした場合、一旦自宅へ帰るための交通費に加え、修理が完了した車を引き取りに行くための交通費がかかってしまいます。

JAFのみではこうした費用のサポートまでは受けられないため、万が一を考慮すると自動車保険のロードサービスは必要な補償といえるのではないでしょうか。

なお、自動車保険のロードサービスはJAF会員を優遇して補償が受けられるケースが多くあります。例えば「JAF会員なら消耗品代が無料」「JAF会員なら契約1年目からガス欠トラブルに対応可」など。

JAFと自動車保険、それぞれのロードサービスを併用すると手厚い補償を得ることができます。

自動車保険のロードサービスの使い方

自動車保険のロードサービスは、専用ダイヤルを設けているケースが一般的です。

事故受付の窓口とは異なる場合が多いので、“事故によりロードサービスを使いたい”というときは「事故受付」と「ロードサービス」の両方に問い合わせる必要があります。

その際、証券番号が分かればスムーズですが、証券番号が分からなくても名前や生年月日といった契約者情報を伝えることで照会は可能です。

また保険会社によっては、ロードサービス専用のWebページや専用アプリを設けている場合もあります。

いざというときスムーズに利用できるように、「どこに連絡すればよいか」は覚えておくと良いでしょう。

自動車保険のロードサービス利用時の注意点

自動車保険のロードサービスを利用する際には、いくつか注意点があります。

ここでは特に知っておきたい2つの注意点を解説します。

部品代や作業費がかかることがある

自動車保険のロードサービスでは、サポート内容により細かく規定が設けられています。

規定の時間を超えた場合の作業費や、場合によっては修理に必要な部品代など、追加費用が発生する可能性があります。

「こんなときは有料になるかもしれない」といったケースは契約前に確認しておくと安心です。

自ら手配したレッカー費用は補償対象外

ロードサービスを利用してレッカーけん引をお願いする場合、保険会社を経由してレッカー車を手配してもらう必要があります。

保険会社によっては自ら手配したレッカーの費用は補償の対象外とされることがあるため、確実に補償を受けるには事故時にどんな対応をすればよいか?を確認しておくと安心です。

また応急処置などの作業も、保険会社経由以外のロードサービスを利用した場合は補償が受けられないため注意しましょう。

まとめ:ロードサービスの内容ももれなく確認しよう

自動車保険のロードサービスは保険契約に無料で付いてくる商品が多くあります。

今や一般的な車のトラブルのほとんどを無料でサポートしてくれるため、自動車保険のロードサービスだけでも十分といえるかもしれません。

しかし補償内容を確認せず「保険にロードサービスが付いているので安心」と考えるのは危険です。

保険会社によって補償内容が異なるため、「A社では〇〇のサポートが受けられたがB社では対応していない」といったことも珍しくありません。

ロードサービスの補償内容も必ず確認して、いざというときに備えましょう。

ソニー損保「おりても特約」の補償内容は?必要性や注意点を解説

 さまざまな自動車保険がある中、特約で差別化を図る保険会社も多く存在します。

ソニー損保の「おりても特約」もその一つ。

“車からおりたあと”の事故を幅広く補償するとあって、注目度の高い特約です。

今回はソニー損保の「おりても特約」について、

  • どのような場面で補償が使えるのか?
  • どのような人にとって役に立つ補償なのか?
  • 特約を付けるときの注意点は何か?

といった観点から補償内容を詳しく解説します。

おりても特約とは

おりても特約はソニー損保が独自に提供している自動車保険の特約です。

2023年1月現在、ソニー損保以外にまったく同じ内容の特約を提供している保険会社は存在しません。

おりても特約は、車で出かけて家に帰宅するまでの間で、車から降りたときに生じた損害を補償してくれるのが特徴です。

おりても特約は「傷害特約」「身の回り品特約」の2種類の補償に分かれており、1契約でそれぞれの補償を受けることができます。

おりても傷害特約

おりても傷害特約では、車を降りている間の事故によるケガについて補償が受けられます。

補償範囲は「本人型」「夫婦型」「家族型」の3タイプから選択可能です。

補償範囲補償の対象者
本人型被保険者本人のみ補償
夫婦型被保険者とその配偶者のみ補償
家族型被保険者と同居中の家族全員および別居の未婚の子を補償

おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約では、車を降りている間、車から持ち出した荷物が損傷した場合に損害額が補償されます。

おりても身の回り品特約の補償範囲は、傷害特約で定めた範囲にかかわらず、被保険者の家族全員が対象になります。

おりても特約の補償内容

binary comment

おりても特約では具体的にどのような補償が受けられるのでしょうか。

ここでは、おりても特約の「保険金額」と「補償の対象となるケース・ならないケース」について詳しく見ていきましょう。

おりても特約の保険金額

万が一事故が起きた際、どれだけの金額が補償されるのか?まずは保険金額について解説します。

おりても傷害特約とおりても身の回り品特約で保険金額が異なるので、それぞれ見ていきましょう。

■おりても傷害特約

おりても特約を5口で契約した場合、保険金額は以下の通りです。

死亡1名ごとに500万円
後遺障害後遺障害の程度に応じて、1名ごとに 20~500万円
入院した場合1名ごとに5,000円/日額
手術した場合手術の種類に応じて、1名ごとに5~20万円
通院1名ごとに1,500円/日額

 

※最大90日まで

※事故日当日を含めて180日以内に限り補償。

参考:ソニー損保|おりても特約

新規契約は5口から、継続時に1口ずつ契約できる仕組みになっています。

■おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約の保険金額の上限は、保険期間を通じて10万円までです。

ソニー損保の自動車保険の保険期間は1年間なので、契約(または更新)から1年を通して10万円までであれば何回でも補償が受けられます。

補償の対象となるケース

続いて、補償の対象となる事故のケースを見てみましょう。

いずれも、自動車保険の契約車両または被保険者の家族が所有する車で出かけることが大前提です。

■おりても傷害特約

おりても傷害特約は車に乗って外出し、途中で車を降りた際に、なんらかの事故で負ったケガや死亡・後遺障害といった“身体の損傷”に関する補償が受けられる特約です。

相手ではなく、自分に対する補償にあたります。

また他人の過失ではなく、自分の不注意によるケガに関して補償が受けられるのが特徴です。

例:登山中、転んでケガをした、スキー中に転倒してケガをした など

■おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約では、車で外出した先で手荷物を壊したり、盗難被害に遭ったりといった場合に補償が受けられます。

おりても傷害特約同様、誰かに壊された場合ではなく「誤って落とした」など、偶然な事故によって生じた損害が補償されます。

例:誤ってカメラを落として壊した、車のキャリアに固定していたサーフボードを盗まれた など

※車のキャリアに固定された荷物の損傷に関しては、盗難のみが対象となるためご注意ください。

補償の対象外となるケース

おりても特約の対象外のケースについても必ず確認しておきましょう。

まず、おりても傷害特約とおりても身の回り品特約の両方において共通するケースは以下の通りです。

  • 車の運転中・乗車中
  • 通勤中や業務中

車を運転している最中に発生した事故による損害は、通常通り自動車保険から補償されるため、おりても特約の補償対象にはなりません。

また通勤や業務で車を使用している間は、例えそれが社用車ではなく自分の車であっても、おりても特約の補償対象外となるため注意してください。

その他、

  • 被保険者の故意または重大な過失により発生した損害
  • 被保険者の自殺行為・闘争行為・犯罪行為によって生じた損害
  • 被保険者が無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害

など、一般的に補償対象外とされる事項も含まれます。

■おりても傷害特約

おりても傷害特約の補償対象外となる事故は、以下の通りです。

  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

つまり、危険な競技中(練習を含む)に負ったケガに関しては補償が受けられません。

また一般的な登山は補償範囲に含まれますが、ロッククライミングのような危険を伴うアクティビティは補償の対象外になっています。

日頃行うレジャーが補償範囲に含まれるかどうか?気になる人は、契約前に問い合わせることをおすすめします。

■おりても身の回り品特約

被害に遭っても補償が受けられないモノの代表例は以下の通りです。

  • 通貨、小切手、株券、有価証券、クレジットカード など(現金含む)
  • 貴金属、書画、骨董 
  • 設計図、証書、模型
  • 船舶、航空機、自動車、雪上オートバイ
  • 山岳登坂、ボブスレー、スカイダイビング等、危険なスポーツに使用する用具
  • 携帯電話
  • 眼鏡、コンタクトレンズ、義肢、義歯
  • 動物、植物 など

一般的な「車内身の回り品特約」では、パソコンやタブレット端末は補償対象外とされるケースがありますが、おりても身の回り品特約では補償が受けられます。

ただし、スマートフォンは補償対象外となるため注意しましょう。

他にも、

  • 身の回り品に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さび、自然の消耗
  • 故障による損害
  • 自転車の盗難被害
  • 漁具、サーフボード、ウインドサーフィンの流失による損害
  • 詐欺または横領
  • 身の回り品の置き忘れによる紛失

といったケースでは補償を受けることができません。

おりても特約が適用されるシーンはこんなとき

おりても特約の補償を受けるには、保険契約の車や家族が所有する車で出かけることが大前提です。

車で出かけた先で、「ケガを負ったとき」や「モノを壊してしまったとき」に、おりても特約の補償が受けられる可能性があります。(内容によっては補償対象外になるので注意しましょう)

一例を挙げると、以下のようなシーンがあります。

  • ゴルフ
  • 釣り
  • スキー
  • サーフィン
  • 登山
  • キャンプ

このようなスポーツやレジャーシーンでケガをしたり、高額なレジャー用品を壊したりといった場合に、おりても特約が役に立ちます。

おりても特約の保険料と等級について

おりても特約の保険料は以下の通りです。

条件:12等級、30歳以上、ブルー免許で試算

補償範囲年間特約保険料月換算
本人型2,240円/年1ヶ月あたり187円
夫婦型3,530円/年1ヶ月あたり294円
家族型8,450円/年1ヶ月あたり704円

(※2023年1月現在/筆者試算)

等級や年齢など、条件による違いはほとんどありませんでした。

また、おりても特約を使用してもノンフリート等級は下がらないので、安心して特約を使用することができます。

おりても身の回り品特約と車内身の回り品特約の違い

ここまでの解説を読んで、一般的な自動車保険に用意される「車内身の回り品特約」とどう違うのかと疑問をもつ人がいるかと思いますので、ここで違いを整理してみましょう。

ソニー損保のおりても特約で補償される身の回り品は、“車から持ち出した荷物の損害”が対象です。車内に置かれた荷物の盗難以外の損害に関しては、補償の対象外になっています。

車内身の回り品特約は、一般的に車内に置かれた荷物のみが補償対象です。

おりても身の回り品特約とは反対に、車外に持ち出した荷物に関しては補償が受けられません。

▶車内身の回り品特約についてはこちら

おりても特約と似た補償を用意したいときは?

「ソニー損保以外で契約したいと思っていたけど、おりても特約が魅力的で捨てがたい」とお悩みの人もいるかもしれませんね。

おりても特約とまったく同じ補償を提供する保険会社は現時点ではありませんが、他の保険で代用することも可能です。

おりても傷害特約の補償内容は「傷害保険」にあたり、おりても身の回り品特約は傷害保険に付帯可能な「携行品損害補償特約」でカバーできます。

デメリットは「保険料」です。

おりても特約は補償範囲を「車で出かけたときの損害」に狭めているため、割安な保険料で備えられますが、傷害保険では車に限らずすべてのシーンを幅広く補償の対象とするため、その分保険料も高くなります。

おりても特約の注意点

おりても特約は特殊な補償で、車で出かける機会の多い人にとっては魅力的な特約といえるでしょう。しかし、契約前に知っておきたい注意点もあります。

必ず確認して、加入後の「こんなはずじゃなかった!」をなくしましょう。

自転車保険の代わりにはならない

ソニー損保のおりても特約は、あくまでも“自分”に生じた損害を補償するための保険です。

自転車保険のような他人に対する損害賠償には対応していないため、自転車保険の代わりにはなりません。

(※過去には他人に対する損害賠償を補償する「おりても個人賠償特約」もセットになっていましたが、現在は補償内容が変更されています)

免責金額5,000円を支払う必要がある

おりても身の回り品特約にはあらかじめ免責金額(自己負担額)5,000円が設定されています。つまり修理品が5,000円に満たない場合は、補償を使うことができません。

保険金額と免責金額の差額が少ないほど、補償を使う必要性が低くなります。

おりても身の回り品特約の補償は、あまり高額な持ち物を所持していない人に関しては不要な補償になるかもしれません。

特約を複数回使うと継続拒否される可能性がある

ソニー損保に限らず自動車保険では、保険期間を通じて2回以上保険を使うと、“リスクが高い契約者” とみなされ、翌年以降の継続を断られる、いわゆる「継続拒否」が発生する可能性が高まります。

特にソニー損保のおりても特約は、幅広いシーンで補償を使うことが可能なため、実際に継続拒否を経験した人も多いようです。

翌年以降も保険契約を継続したいと考えるのであれば、1年間の契約期間中に2回以上保険金請求をしないように、利用シーンをよく考える必要があるでしょう。

おりても特約が必要なのはどんな人?

上記の注意点を踏まえつつも、付けておくと幅広いシーンで役に立つ特約です。

特に恩恵を受けやすいのは、

  • 車に乗ってレジャーやスポーツをしに行く機会が多い人
  • 高価なレジャー用品を所持している人
  • 子どもを連れて車で出かける機会が多い人(家族)

などが当てはまるでしょう。

ケガの場面にはこだわらないので、例えば「車に乗って公園にお出かけ。子どもが遊んでいたら大ケガをした」というようなケースでも、子どもの通院費等が補償されます。

車に乗って出かける機会が多い人はおりても特約を付帯すると安心できるでしょう。

まとめ:おりても特約で手厚い補償を備えよう

おりても特約は車での外出中、途中で車を降りたときに生じた損害を補償してくれるソニー損保独自の特約です。

ケガや死亡・後遺障害等の補償だけでなく、手荷物品の損害までも幅広く補償されるため、頻繁に車で出かける人が恩恵を受けやすい特約といえるでしょう。

中には補償の対象外にあたるケースや、補償を使いすぎて継続拒否を言い渡されるなど、注意点もありますが、車でレジャーやスポーツに出かける機会が多い人は、加入を検討してみてはいかがでしょうか。