個人賠償特約は自動車保険に付けるべき?補償内容や必要性を解説

日常生活に潜む、あらゆる賠償リスクに備える「個人賠償特約」。自動車保険にも特約を付帯することが可能です。

とはいえ、個人賠償特約はさまざまな保険商品に付けられるため、

「どの契約に付けるべきなのか?」

「それぞれの保険で加入しておくべきなのか?」

など、仕組みについてよく理解していない人も多いかもしれません。

今回は、自動車保険に付帯可能な「個人賠償特約」について、補償内容や必要性、契約の際の注意点などを詳しく解説していきます。

個人賠償特約とは

個人賠償特約とは、日常生活で発生した事故で他人に損害を与えたことで損害賠償の支払い義務が生じた場合、補償を受けられる保険です。

各自治体での義務化が進んでいる「自転車保険」の対象となる特約としても知られています。

保険会社ごとに「個人賠償責任特約」「日常生活賠償特約」などと名称が異なりますが、基本的な補償内容はほとんど変わりありません。

「個人賠償保険」は、単体で契約できる商品がないため、自動車保険をはじめとした損害保険の契約に特約として付帯するのが一般的です。(※企業の団体保険など、一部単体契約可能な商品もあります)

日常の賠償リスクに幅広く備えるため、加入することをおすすめします。

平均的な保険金額は?

個人賠償特約の保険金額は、1億円、3億円、無制限のいずれかが一般的です。保険金額は自由に設定できるわけではなく、保険会社ごとに決められているケースが多く、それぞれ上限額が異なります。

個人賠償特約は他人に対して損害を賠償する責任が生じた場合に使用する保険です。

その時々によって賠償額は大きく異なりますが、損害賠償の支払い事例の中には1億円以上の支払いを命じられた事故も存在します。

特に自転車事故では高額賠償の事例も多いため、最低でも1億円以上の補償があると安心です。

自転車事故の高額賠償事例

判決認容額事故の概要
9,521万円男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。( 神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決)
9,330万円男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡した。(高松高等裁判所、令和2(2020)年7月22日判決)
9,266万円男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決)

※引用:一般社団法人 日本損害保険協会「自転車事故と保険」より

補償を使ったら等級はどうなる?

個人賠償特約の利用だけでは、自動車保険の等級に影響はしません。

等級ダウンによる翌年以降の保険料アップの心配がないので、数万円の損害賠償であっても損得を気にせずに補償を受けることができます。

個人賠償特約の補償範囲

ここでは個人賠償特約の補償範囲について解説します。

個人賠償特約の必要性を把握するうえで重要なポイントにもなるので、しっかりと押さえておきましょう。

補償の対象となる人

個人賠償特約は、1契約で家族全員補償が受けられるのが特徴です。

自動車保険では「運転者の範囲」として、補償の対象となる人をあらかじめ指定するのが一般的ですが、個人賠償特約は自動車保険で決めた補償範囲とは関係なく、家族全員が補償の対象になります。

具体的な補償の対象者は以下の通りです。

  1. 記名被保険者
  2. 記名被保険者の配偶者
  3. 記名被保険者または配偶者の同居の親族(同居の子含む)
  4. 記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子

4の「別居の未婚の子」について、「一度結婚したが離婚したため、現在は未婚」といった子は当てはまらないため注意してください。別居の子どもに関しては、あくまでも婚姻歴のない人が対象です。

また保険における「親族」とは、一般的に「6親等内の血族および3親等以内の姻族」を指します。

例えば子どもが結婚している場合、別居していると補償の対象外になりますが、親と同居中であればそれぞれが補償範囲に含まれます。

補償の対象となるケース

個人賠償特約の補償対象となるシーンは幅広くありますが、主なシーンは大きく以下の2つに分けられます。

  • 他人にケガを負わせた
  • 他人(お店)のモノを壊した

上記2つのシーンから、日常生活において発生した事故で法律上の損害賠償責任が生じたとき、個人賠償特約の補償を使うことができます。

補償対象外となるケース

個人賠償特約では、他人にケガを負わせた場合と他人のモノに損害を与えた場合に補償が受けられます。例えば「名誉棄損」「プライバシー侵害」といった損害賠償は補償の対象外です。

他には、以下のようなケースが補償対象外にあたります。

  • 契約者または被保険者の故意により生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 被保険者の同居の家族に対する損害賠償責任
  • 被保険者の業務遂行に起因する損害賠償責任
  • 業務の用に供される動産または不動産の所有、使用または管理に起因する損害賠償責任
  • 被保険者の心神喪失に起因する損害賠償責任
  • 航空機、船舶、車両または銃器の所有、使用または管理に起因する損害賠償責任

例えば「家族をケガさせた」など、過失により被保険者の家族に損害を与えてしまった場合、当然ではありますが個人賠償特約の補償対象にはなりません。

また「業務の用に供される動産~」について具体例を挙げると「業務に使用するため会社から貸し出されていたパソコンを誤って壊した」などが当てはまり、この場合も補償の対象外となります。

個人賠償特約の保険料

保険会社ごとに異なりますが、個人賠償特約を付帯することでになります。

月々200円程度の保険料で家族全員の賠償リスクに備えられるため、コスパの良い特約だといえるでしょう。

個人賠償特約が役立つのはこんなとき

個人賠償特約の利用シーンは「損害賠償責任を負ったとき」です。

とはいえ具体的にどのような場面なのか、思い浮かべづらいかもしれません。

ここでは実際に個人賠償特約の補償対象となる事故の事例を紹介します。

Case1.自転車事故により相手にケガを負わせた

個人賠償特約は、各自治体で加入の義務化が進んでいる「自転車保険」の対象にあたる保険です。自転車事故で相手にケガを負わせた場合は補償の対象となります。

また「事故の衝撃で相手の自転車も壊れてしまった」といった場合、自転車の損害も補償の対象です。

Case2.子どもが誤って隣家の窓ガラスを割ってしまった

個人賠償特約は「生計を共にする同居の家族」全員を補償の対象とするため、子どもが起こした事故であってもきちんと補償が受けられます。

他にも「子どもに犬の散歩を任せていたら、犬が歩行者に噛みついてしまいケガをさせてしまった」「子どもが友達に借りたゲーム機を壊してしまった(※)」といった場面も補償の対象です。

(※)「有償・無償問わず、他人から借りたモノ」の補償に関しては保険会社ごとに対応が異なります。詳細は契約前に各保険会社にお問い合わせください。

Case3.買い物中、未購入の商品を壊してしまった

例えば家電量販店にてサンプル商品を壊してしまった場合や、雑貨店で高価な商品を子どもが壊してしまった場合なども補償の対象となります。

同居の家族全員が補償範囲に含まれるため、幼い子どもが思いがけず起こした事故によって親に損害賠償責任が生じた場合にも、個人賠償特約が役に立ちます。

個人賠償特約は自動車保険に付けるべき?

個人賠償特約は原則として、すべての損害保険の契約に付帯できる特約です。

自動車保険以外にも、火災保険や傷害保険、ペット保険などに付帯できます。

個人賠償特約はどの保険に付けても補償内容にほとんど変わりはありません。

そのため「自動車保険の契約に付けるとよい」といったこともありませんが、自動車保険に特約を付けることで、毎年更新のたびに補償内容を再確認できるメリットが挙げられます。

火災保険や傷害保険は更新までの期間が長い契約が多く、一度加入したら特に見直しもせず自動更新するといったケースも多いでしょう。

いざというときに補償の存在を忘れている可能性も生じるため、定期的に補償内容を確認できる状態にしておくことをおすすめします。

個人賠償特約に加入する際の注意点

個人賠償特約は1契約あると日常の賠償リスクに備えられるため、未加入の人はぜひ加入を検討してほしい特約です。

しかし「特約」という性質上、加入する際に注意したいポイントがいくつかあります。

ここでは3つの注意点について解説します。

保険金額は十分か?

高額な賠償リスクに備えるため、個人賠償特約の保険金額は最低でも1億円は備えておきたいものです。中には「5,000万円」「1,000万円」のように保険金額が低く設定されている保険商品もあるため、十分な保険金額が備えられているか、契約前にしっかりと確認しましょう。

補償が重複していないか?

個人賠償特約はさまざまな損害保険契約に付帯できるため、補償が重複しやすい特約の1つでもあります。

補償内容をよく理解せずに、自動車保険・火災保険・傷害保険など、それぞれの契約に特約を付帯しているケースが多く見られます。

補償が重複していても、契約した分保険金が倍で受け取れるわけではないため、ムダな保険料を支払うだけです。また補償が重複していたとしても、保険会社側からの指摘は特にありません。

心当たりのある人は、いま一度ご自身が加入している保険の補償内容を確認してみましょう。

被保険者は誰か?

成人した子どもが同居している場合や、二世帯以上で同居している場合などは「記名被保険者は誰なのか?」に配慮して特約を付帯することをおすすめします。

被保険者によっては個人賠償特約の補償範囲が狭くなるケースや、気付いたら補償から外れているケースがあるため注意しましょう。

例えば同居中の子どもが契約している自動車保険に個人賠償特約を付帯する場合。

子どもと同居している間は親も個人賠償特約の補償対象となりますが、子どもが結婚して家を出ると、その途端に親は補償範囲から外れてしまうといったケースが考えられます。

まとめ:個人賠償特約で日常の賠償リスクに備えよう

個人賠償特約は、1つ契約しておくだけで家族全員の日常生活における賠償リスクに備えられる保険です。中には高額賠償の事例もあるため、最低でも1億円以上の保険を備えるとよいでしょう。

必ずしも“自動車保険に付けるべき”とはいえませんが、数ある損害保険契約の中でも更新頻度の高い自動車保険に付帯するのはおすすめだといえます。

「保険金額」と「補償の重複」に注意しつつ、個人賠償特約にまだ入っていない人は自動車保険契約に付帯してはいかがでしょうか。

車内身の回り品特約はいらない?補償内容や必要性を解説

自動車事故に遭ったとき、損傷するのは車だけとは限りません。

衝突により、車内に積まれた荷物まで壊れる可能性もあるでしょう。

車両保険では「車体の損傷」を補償してくれますが、たとえ事故の衝撃による損傷とはいえ、荷物までは補償してもらえません。

しかし「車内身の回り品特約」を付帯すれば、車内に積まれた荷物の損傷も補償されるのです。

今回は、車内身の回り品特約の補償内容や必要性について解説します。

車内身の回り品特約とは?

車内身の回り品特約は、自動車事故の発生により車内に積載された荷物が損傷した場合に、損傷した荷物に対して補償を受けられる保険です。一般的に車両保険の特約として付帯することができます。

事故の衝撃で車が大きな損傷を受ければ、トランクや車室に積まれた荷物にも被害が及ぶ可能性も十分にあるでしょう。そんなとき、車内身の回り品特約を付帯していれば安心です。

なお、車内身の回り品特約は保険会社によって、正式名称や補償内容が異なります。特に補償内容は意外と重要な部分が異なるケースもあるので、契約前の内容確認が非常に大切です。

車両保険との違いは?

車両保険で補償されるのは、車本体の損傷のみです。ボルトやねじなどであらかじめ車本体に固定されているものであれば、車両保険の補償対象になっています。(代表的な例は備え付けのカーナビです)

後付けされたオプション品(カーナビやドライブレコーダーなど)や、車内に積まれた荷物の損傷に関しては、車両保険からの補償は当然ながら受けられません。

事故の際に受けられる補償は車本体だけで良いか、それとも積載された荷物に関しても補償を受けたいのかによって、補償の必要性が異なります。

▶車両保険の内容・保険料について詳しい説明はこちら

特約を使用したとき、等級はどうなる?

特約の使用による等級への影響は保険会社によって異なります。

等級には影響しない「ノーカウント事故」となる保険商品もあれば、1等級ダウンにあたる商品もあります。気になる人は、契約前に補償内容の確認をおすすめします。

ただし車内身の回り品特約を使うシーンは、原則として「事故が起きたとき」なので、多くの場合「車の損傷」もセットになるでしょう。

損傷した車の修理に車両保険を使用した場合は等級ダウンの対象となるので、等級を気にされる人は注意してください。

▶等級による保険料の決まり方や、等級の上げ方についての解説はこちら

車内身の回り品特約の主な補償内容

ここからは車内身の回り品特約の主な補償内容について解説していきます。

「全部の荷物が対象になるの?」

「保険金額はどのくらい?」

といった疑問をこちらで解消していきましょう。

補償対象となるモノ

まずは、補償の対象となる荷物について見ていきましょう。

基本的には以下のような荷物が補償の対象となります。

  • カメラ
  • ゴルフ用品
  • キャンプ用品
  • 釣り用品
  • スキー用品
  • 衣類
  • バッグ
  • 楽器 など

上記に挙げた荷物の中から、保証書や購入時のレシートなど、購入日時と購入金額が分かる資料のあるものが、車内身の回り品特約の補償対象となります。

また保険会社ごとの補償内容によっても異なりますが、カーナビやドライブレコーダーといったカー用品は、後付けされたモノであれば補償が受けられるケースが多くあります。

反対に上記に挙げた中にも、保険会社によっては補償対象外となるケースもあるため、注意深く補償内容を確認してみてください。

補償対象外となるモノ

中には、車内身の回り品特約では補償されない荷物もあります。

  • 自転車、サーフボード(※)
  • パソコン、タブレット端末、携帯電話(※)
  • 通貨、小切手、株券、有価証券、電子マネー、クレジットカード
  • 貴金属、書画、骨董
  • 設計図、証書、模型
  • 眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、義肢、義歯
  • 動物、植物 など

例えばバッグが盗難に遭った場合、バッグ本体は補償されても現金類は補償の対象外になります。

(※)自転車、サーフボード、パソコン等の電子機器は、保険会社によっては補償の対象となるケースもあります。

保険金額と免責金額

車内身の回り品特約の保険金額は、30万円が相場です。

中には「10万円まで補償」「100万円まで補償」「10万円、30万円、50万円の中から選択」のように、保険会社によって保険金額は異なります。

免責金額(※)も保険会社ごとに異なりますが、あらかじめ「3,000円」または「5,000円」の免責が設定されているケースが一般的です。

(※)免責金額分は自己負担となります。例えば3,000円の免責金額が設定されている場合、3,000円を差し引いた補償額が保険金として受け取れる仕組みです。

補償が適用されないケース

そもそもこの補償が使えない事故のケースについても確認しておきましょう。

  • 身の回り品に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
  • かすり傷や塗料のはがれなど、機能上に影響しない程度の損害
  • 車の屋根またはトランクに設置されたキャリア等に固定された荷物の盗難による損害
  • 故障や紛失による損害
  • 故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

例えば、事故の衝撃で助手席に置いていたカメラが落ちてしまい、カメラ本体に外傷がついたケース。「傷は付いたものの、問題なく操作できる」状態であれば、補償は受けられません。

また、キャリアなどで車の外側に固定されている荷物に関しては、事故による損傷は補償の対象となりますが、盗難のみ対象外になっているのが一般的です。

盗難に関する補償内容も、保険会社ごとに対応が変わるため、注意して確認しておきたいところです。

車内身の回り品特約の保険料目安は?

車内身の回り品特約は、いくらで付帯できるのでしょうか。

以下に大手2社とダイレクト型保険2社の保険料を記載したのでご覧ください。

<試算条件>
車種:ヤリスクロス
等級:15等級
年齢:30歳
免許証の色:ブルー
使用目的:日常・レジャー
走行距離:3,000km以下

保険会社 保険料(年間) 保険金額 免責金額
あいおいニッセイ同和損保 900円 30万円 なし
東京海上日動 1,080円 20万円

(10~100万円の範囲で設定可)

5,000円
ソニー損保 120円 10万円 5,000円
イーデザイン損保 1,079円 30万円 5,000円

数百円程度で特約を付帯できる保険会社もあれば、1,000円以上の保険料が必要となる保険会社もあるようです。

また条件によって保険料が左右されることもあれば、一律で保険料が設定されている保険会社もあります。

車内身の回り品特約の注意点

車内身の回り品特約には、主に3つの注意点があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

保険会社ごとに補償内容が大きく異なる

主な補償内容について解説してきましたが、中にはそれに当てはまらないケースもあり、保険会社ごとに補償内容の違いが目立つ特約になっています。

特に車内身の回り品特約のような特殊なケースを補償可能とする特約は、商品としての差別化が図りやすく、独自の補償を提供する保険会社も多くあります。

例えば盗難のケース一つを取っても、

「車両ごと盗難に遭ったケースのみ補償」
「車上荒らしによる荷物の盗難を補償」
「盗難は補償対象外」

といったように、保険会社によって大きな違いが生じるため注意が必要です。

故障や紛失は補償対象外

例えば乗降時、車内の荷物を誤って落としたことに気付かずそのまま紛失してしまったケースや、カーナビが故障により動かなくなったケースなどは、車内身の回り品特約の補償対象にはなりません。

あくまでも「自動車事故による損傷」が補償の対象です。

また、盗難被害については補償範囲に含む保険会社とそうでない保険会社が存在します。

「盗難の場合も補償してほしい」という人は、契約前に補償内容の確認をしましょう。

補償されるのは時価額まで

車内身の回り品特約の補償を受ける際は、購入時期や購入金額が分かる資料(レシートや保証書など)を保険会社に提示する必要があります。

資料をもとに、減価償却費を差し引いた額のみ補償が受けられる仕組みです。

修理費や買い替え費用が全額支払われるわけではないので注意しましょう。

車内身の回り品特約が必要なのはこんな人

車内身の回り品特約が必要になるのは、車内に趣味用品などの高額な荷物を積載している人です。

例えば、

「ゴルフクラブを常にトランクに収納している」
「釣り用品を車に積んで出かけることが多い」
「仕事で使うスーツを車に常備している」

など、常に車内に荷物を載せている人や、高額な趣味用品を載せて車で出かける機会が多い人は車内身の回り品特約の補償がいざというときに役立つかもしれません。

年間1,000円程度で付帯できる特約なので、事故が起きたときの荷物の損害も気になる人は、付帯してみてはいかがでしょうか。

まとめ:自分に合った補償が受けられる保険会社を探そう

事故発生時、車内に積載していた荷物が損傷した場合に補償が受けられる「車内身の回り品特約」。保険金額や補償の範囲など、具体的な補償内容は保険会社ごとにさまざまな設定がされているのが特徴です。

いざというときに十分な補償が受けられるよう、補償を受けたいモノの価値や受けられる補償範囲などを考慮して、自分に最適な保険会社を探してくださいね。

事故時レンタカー費用特約はいらない?補償内容や必要性を解説

日常的に車を使用している人の中には、“生活に車が欠かせない”人もいるでしょう。

自動車事故を起こして車が損傷したとき、修理中の移動手段がなくて困る」という人は、レンタカーを借りるなどして修理期間中の代車を手配することになります。

とはいえ、レンタカーにもお金がかかるもの。

事故時レンタカー費用特約は、そんなときに役に立つ補償です。

今回は、事故時レンタカー費用特約の補償内容や必要性について解説します。

事故時レンタカー費用特約とは

事故時レンタカー費用特約とはその名の通り、事故により車が損傷して修理が必要となった場合、修理期間中に手配するレンタカーの費用を補償してくれる保険です。
保険会社によって、「レンタカー会社から借りた場合のみ補償」「わ・れナンバーであれば補償」「指定のレンタカー会社から借りた場合のみ補償」など、さまざまな補償内容が挙げられます。

※レンタカーのナンバーに記される一文字のひらがなは、一般的に「わ」「れ」が使用されます

また2023年1月1日以降の契約では、レンタカーの在庫不足や、ケガにより車の運転ができないといった理由で、移動手段としてタクシーやバスなどを利用した場合の交通費を補償する保険会社もあります。

実際にソニー損保では、2023年1月1日以降の契約で、タクシーやバスなどの費用を補償する予定です。

参考:ソニー損保|事故時レンタカー費用特約

基本的に車両保険のオプションとして付帯可能ですが、特約保険料は安いとはいえないため、必要な人のみ付帯することをおすすめします。

特約を使うと等級は下がる?

事故時レンタカー費用特約のみを使っても等級に影響はありません。等級が下がる心配はないので、特約を付けておけばいざというとき安心して補償を受けることができます。

ただ車の修理が必要な場合、車両保険を使うケースが多いかもしれません。

車両保険自体は補償を使うことで等級が下がるため、注意しましょう。

▶自動車保険の等級の上がり方や保険料についてはこちら

修理中、代車は無料で借りられない?

「車検や点検で用意される代車は無料だよね?修理中もディーラーや整備工場で代車を無料で借りられないの?」
こんな疑問が浮かぶ人もいるかもしれません。

車検や点検時にはあらかじめ代車が用意され、無料で貸し出されることもありますが、修理時の代車費用は請求されるケースが一般的です。

車検や点検は事前に予約して代車を準備できるのに対し、事故による修理は突発的であるため、すぐに代車を用意できないといった背景もあります。

「お金は出すから代車を貸して!」と頼んでも、ディーラー側に代車の用意がない場合には貸し出すことができません。

そのため事故による修理の際は、自分で代車を手配しなければならない可能性が生じます。

事故時レンタカー費用特約の補償内容

それでは、事故時レンタカー費用特約の詳しい補償内容を見ていきましょう。

主な補償内容

事故時レンタカー費用特約は、事故により車の修理が必要となった場合、修理期間中(車が手元にない期間)に借りたレンタカー費用の実費が補償される保険です。

保険会社によっては事故による修理以外に、故障や盗難の場合も補償が受けられるケースがあります。

1日あたりのレンタカー費用 × レンタカーの使用日数

のうち、実際に負担した金額が基本的な補償内容です。

「保険金額(1日あたりのレンタカー費用)」と「レンタカーの使用日数」には、それぞれ上限が定められています。

■保険金額

保険金額の上限や決め方は、保険会社ごとに異なります。

「5,000円」「7,000円」「10,000円」のいずれかから日額を選べる保険商品が一般的です。

その他、あらかじめ上限が定められている保険商品もあれば、自分に合った保険金額を1,000円刻みで決定できる商品など、さまざまな補償内容が挙げられます。

■レンタカーの使用日数

レンタカーの使用日数は「30日」と上限が定められているのが一般的です。

「事故が起きた日から30日」なのか「レンタカーを借りた日から30日」なのか、基準は保険会社によって異なります。

また、保険会社によっては「故障の場合は15日」などの日数制限が設定されているケースもあります。

補償の対象となる人

  • 契約の車の所有者

補償の対象外となるケース

事故時レンタカー費用特約の補償が使えないケースは以下の通りです。

  • 故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 詐欺または横領によって生じた損害
  • 欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
  • 故障による損害(※保険会社ごとに異なる)
  • 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

「故障による損害」に関しては、保険会社ごとに異なる点に注意が必要です。

「故障の場合もOK」とする商品と「故障は対象外」とする商品の2つに分かれます。

事故時レンタカー費用特約の保険料

続いて、事故時レンタカー費用特約の特約保険料について見ていきましょう。

保険料は契約者の年齢や補償範囲のほか、保険金額をいくらに設定するかによっても異なります。

目安として、日額と同額の保険料が年間で上乗せされると考えて良いでしょう。

例えば保険金額を日額5,000円に設定した場合、年間約5,000円の保険料がプラスになるといったイメージです。

中には、自動車保険の契約に自動で付帯する「ロードサービス」の補償内容の中に、レンタカー費用特約が含まれているケースや、車両保険に自動付帯されるケースもあります。その場合、特約保険料は無料になります。

保険金額の決め方は?

保険金額を自分で設定できる場合、どのようにして保険金額を決めれば良いのでしょうか。

目安として、必要な車のグレードの平均日額を参考にするのがおすすめです。

自分の車と同グレードでレンタカーを借りた場合、日額はいくらになるのか。平均を算出して保険金額を決定しましょう。

車の種類別レンタカー費用の目安

レンタカー費用は、車のグレードや車種によって平均日額が異なります。

軽自動車、コンパクトカー、セダン、SUV、ワンボックスの1日あたりの基本料金目安を記載したので、保険金額を決める際の参考にしてください。

車種 24時間あたりの基本料金 日額目安
軽自動車 3,800~6,820円 5,000円
コンパクトカー 4,000~7,150円 7,000円
セダン 6,000~9,900円 7,000円または10,000円
SUV 7,500~13,200円 7,000円または10,000円(※)
ワンボックス 10,000~20,900円 10,000円~20,000円(※)

近年普及している格安レンタカーと大手のレンタカー会社では、基本料金に大きく差が生じますが、長期間借りる場合は割引が適用されるケースもあります。

「万が一のとき、どの会社からレンタカーを借りられそうか?」

「長期で借りるとどのぐらい割引になるのか?」

といった観点も考慮しながら平均日額と照らし合わせて、最適な保険金額を設定してください。

(※)中には日額10,000円以上~20,000円の保険金額を設定できる保険も存在するので、必要に応じて自分に合った保険商品を探すと良いでしょう。

事故時レンタカー費用特約の注意点

事故時レンタカー費用特約には、いくつか注意点があります。

保険会社によっては以下に挙げる注意点をカバーする補償を提供している商品もあるので、契約前に必ず補償内容を確認してください。

故障による修理は対象外

事故時レンタカー費用特約は、事故以外の原因で故障した場合には補償の対象外となるケースがあります。あくまでも、“事故により” 修理が必要となった場合のみ、レンタカー費用が補償される保険です。

とはいえ近年では補償の見直しが行われており、保険会社によっては「事故時以外の故障も対象」としている保険商品も存在します。

レンタカー以外の代車費用は対象外

こちらも保険会社によって補償内容が異なりますが、基本的にはレンタカー会社から借りるレンタカー費用のみが補償の対象となります。

  • ディーラーや整備工場から有料で代車を借りた場合
  • 知人から車を有償で借りた場合

こうした費用は補償の対象外となるケースが一般的です。

車両保険を付帯した契約のみ付帯可能

基本的には車両保険に付帯可能な特約なので、車両保険を契約しなければ、事故時レンタカー費用特約は付帯できません。

車両保険の保険料+レンタカー費用特約の保険料がかかるため、その分保険料が割高になる可能性もあります。

保険会社によっては、車両保険に自動付帯されるケースや、自動車保険の契約に自動付帯するロードサービスに補償が付いてくるケースなど、補償の内容はさまざまです。

自分が加入する保険には、どんな補償が自動付帯するのか、その補償はどんな内容なのかを契約前にしっかりと確認することが大切です。

事故時レンタカー費用特約が必要な人

最後に、事故時レンタカー費用特約が必要な人について考えてみましょう。

この特約がもっとも必要となるのは、「日常生活に車の使用が欠かせない人」です。

通勤や通学、毎日の子どもの送迎に車の使用が欠かせない人や、買い物は車でしか行けないような遠い場所にしかないなど、それぞれに車が必要な事情があるでしょう。

2~3日で終わるような修理であればレンタカー費用もそこまで高額にはなりませんが、修理期間が1ヶ月近くかかるような大々的な修理の場合はその分レンタカー費用もかさみます。

例えば2台目以降の車を持っているケースや、いざというときは親戚に車を借りられるといった人にとっては、不要な特約となる可能性が高いのではないでしょうか。

まとめ:自分に必要な補償を見極めよう

事故時レンタカー費用特約は、必要な人とそうでない人に分かれる補償です。

そのため、“自分にとって必要な補償かどうか”を見極めることが大事だといえます。

特約を付帯すればその分充実した補償を得られますが、使わない補償にまで保険料を支払う必要はありません。

いざというときの出費をシミュレーションして、必要だと感じた人は迷わず特約を付帯しましょう。

新車買替特約(新車特約)とは?補償内容や必要性を解説

任意の自動車保険に特約で付帯できる「新車買替特約(新車特約)」。

「新車買替特約って本当に必要なの?」

「車両保険だけで十分じゃないの?」

といった疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。

車両保険の補償の限度額は、事故当時の車の時価額までとなっています。

そのため、購入から間もない車で全損事故を起こした場合であっても、車両保険だけでは補償が賄えない可能性もあります。

そんなときに役に立つのが「新車買替特約」です。

今回は、新車買替特約の補償内容やメリット・デメリット、必要性について詳しく解説します。

▶車両保険の保険料について知りたい方はこちら

新車買替特約とは

新車買替特約とは車の買い替えや修理が必要になるほどの事故にあった場合、車両保険だけでは補償されない部分の費用をカバーできる保険です。

車両保険では、事故時点の車の時価額の範囲内でしか補償が受けられません。

例えば事故により車が全損となり、同等の車を200万円出して購入したといった場合。

もし事故時の車の時価額が160万円だとしたら、車両保険から受けられる補償は160万円のみなので、差額の40万円は実費になります。

こんなとき「新車買替特約」があれば、差額の40万円も補償されるといった仕組みです。

なお、保険会社によって以下のように名称が異なります。

  • 新車特約
  • 新車買替特約
  • 車両新価特約

補償内容が異なる場合もありますが、いずれも「車両保険で賄いきれない補償をカバーする目的」で加入する特約と考えていただいてOKです。

新車購入後、何年目まで付帯できる?

新車買替特約は、主に「新車」の間のみ付帯可能な特約となっています。

ただ「新車」の定義は保険会社によってさまざまです。

25ヶ月(約1年)以内というところもあれば、73ヶ月(約6年)以内という保険会社もあります。そもそも新車買替特約を用意していない保険会社も中には存在します。

以下に新車買替特約の取扱いがある保険会社と、契約可能な車の年数をまとめました。

損保協会会員保険会社商品名新車特約の名称契約可能な車の年数
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社タフ・クルマの保険新車特約初度登録の翌月から61ヶ月以内
AIG損害保険株式会社AAP(家庭用総合自動車保険)車両新価特約初度登録の翌月から61ヶ月以内
損害保険ジャパン株式会社個人用自動車保険「THE クルマの保険」車両新価特約初度登録の翌月から73ヶ月以内
東京海上日動火災保険株式会社トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険)車両新価特約初度登録から61ヶ月以内
日新火災海上保険株式会社ユーサイド(新総合自動車保険)車両新価特約初度登録から61ヶ月以内
三井住友海上火災保険株式会社GK クルマの保険新車特約初度登録の翌月から61ヶ月以内
アクサ損害保険株式会社アクサダイレクトの自動車保険車両新価特約初度登録の翌月から61ヶ月以内
イーデザイン損害保険株式会社自動車保険車両新価特約初度登録の翌月から11ヶ月以内
セゾン自動車火災保険株式会社おとなの自動車保険(セゾン自動車保険)車両新価特約初度登録の翌月から25ヶ月以内
ソニー損害保険株式会社自動車保険新車買替特約初度登録から25ヶ月以内
三井ダイレクト損害保険株式会社総合自動車保険新車特約初度登録から61ヶ月以内
楽天損害保険株式会社ドライブアシスト車両新車取得費用補償特約初度登録の翌月から61ヶ月以内

※2022年12月時点、筆者調べ

もっとも多いのは「初度登録の翌月から61ヶ月以内」です。つまり、一般的に初度登録年月から5年以内の車両に付帯できる特約であることがいえます。

ただし初度登録年月から年数が経つほど、新車買替特約の保険料は高くなるため、「何年目まで特約を付帯するか」の見極めが肝心となるでしょう。

1年ごとに値落ちする!?減価償却の考え方

車両保険で補償されるのは、事故当時の車の時価額までです。

そもそも「車の時価額」とは、どういった仕組みで算出されているのでしょうか。

車両保険の保険金額は限度額が定められています。そのため、車の修理費や買い替え費用をすべて補償してもらえるというわけではありません。

限度額の基準には、車両の“市場価値”ではなく、“減価償却”による判断基準が取り入れられています。

車や建物のような固定資産の価値は、年数が経過するごとにだんだんと下がっていくというのが減価償却の考え方です。

新車で購入した場合であっても、1年ごとに約20%ずつ車両価値が下がっていく計算になり、車両保険で支払われる保険金の限度額も年々減少してしまいます。

新車買替特約は、購入時の新車価格と減価償却により下がった車両価値の差額分を埋める役割を果たしてくれる保険です。

新車買替特約の補償内容について

続いて、新車買替特約の補償内容を詳しく見ていきましょう。

補償内容

新車買替特約で受けられる補償は、実際にかかる自動車の再取得費用(車両本体価格+付属品+消費税)または修理費用のいずれかです。保険会社によっては、車の再取得にかかる税金などの諸費用部分も補償されるケースがあります。

一般的に、契約時に設定した「新車保険価額(新車価格の相当額)」が補償の限度額になります。

補償が受けられる条件

ただ単に「塀にこすって車体に傷がついた」「バンパーが少し凹んだ」といった軽い修理では、新車買替特約の出番はありません。

新車買替特約の補償を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まずは車の状態から見ていきましょう。

  1. 車が全損になった場合
  2. 車の修理費が、加入時に設定した「新車保険価額」の50%を超える場合

全損=車の買い替えが必要となるケースが多いので、そうなると車両保険だけでは補償が賄えないケースが多くなるでしょう。「全損」というのが、新車買替特約を利用できるひとつの条件です。

次に、全損にはあたらないが大規模な修理が必要となった場合。修理費が新車保険価額の半分を超えなければ、新車買替特約を利用することができません。

また、買い替えや修理には「期限」がある点に注意が必要です。

保険会社によって、事故日の翌日から「90日以内」「6ヶ月以内」「1年以内」というように、期限にばらつきがあります。

加入中の保険は、いつまでに買い替えや修理を済ませる必要があるのか?

しっかりと把握しておくことが大切です。

補償対象外となるケース

事故の内容によっては、新車買替特約の補償が受けられないケースもあります。

具体的には以下のような損害が補償対象外とされています。

  • 盗難や自然災害による損害
  • 内装のみの損害や軽微な損害
  • 車両保険で補償されない損害

盗難について補足すると、「盗難された車が返ってきたが、盗難中に損害を受けていた」という場合は、補償の対象とされるのが一般的です。

また「内装のみの損害や軽微な損害」も補償対象外となっていますが、具体的にはフレームやエンジンといった車の主要部分に大きな損傷がない場合、補償の対象にはなりません。

車両保険で補償されない損害には、以下のようなケースが該当します。

  • 故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 詐欺または横領によって生じた損害
  • 欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
  • 故障による損害
  • 法令により禁止されている改造を行った部分品または付属品に生じた損害
  • 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

新車買替特約のメリット・デメリット

新車買替特約は心強い補償である半面、万人に必要性の高い補償とは限りません。

ここでは新車買替特約のメリットとデメリットを解説します。

「自分にとってメリットとなるか、デメリットとなるのか?」の判断基準になれば幸いです。

新車買替特約を付帯するメリット

新車買替特約を付帯しておけば、事故による車の買替費用のほとんど(※)を保険で賄うことができます。この点は大きなメリットだといえるでしょう。(※新車購入時にかかる諸費用は自己負担になる可能性があります)

事故による精神的なダメージはそれなりに大きいものですが、さらに金銭面の負担もかかるとなると、二重で苦痛を受けることになります。せめて金銭面の負担だけでも軽減できたらありがたいですよね。

また契約時に設定した新車保険価額の範囲内であれば、違う車種に乗り換え可能な点も大きな特徴です。

新車買替特約を付帯するデメリット

事故時の金銭的な負担を軽減する新車買替特約。デメリットは、特約を付帯する分保険料が割高になってしまう点です。

新車買替特約は、あくまでも車両保険に付帯可能な“特約”になっています。

そのため、新車買替特約の保険料に加え、車両保険料も支払わなければなりません。

もう一つのデメリットとして、実際に事故が起きたとき車両保険を使うと、3等級ダウンしてしまう点が挙げられます。

等級が落ちると翌年以降、一定期間は保険料が割高になるため、場合によっては保険を使わずに対応した方が良いケースもあります。

新車買替特約の注意点

新車買替特約は、すべての事故が補償の対象になるわけではなく、補償対象外となるケースも多く存在します。

中でも、車の損傷度合いによっては補償が受けられないケースに注意が必要です。

契約時に設定した新車保険価額の50%以上の修理費が実際にかからなければ、新車買替特約からの補償を使うことはできません。

例えば新車価格を200万円と設定した場合、修理費が100万円以下のときは新車買替特約の出番はないことになります。せっかく特約を付帯しても、使える機会が少ないのです。

その他、「盗難」の被害に遭った場合の補償内容にも要注意

盗難被害に遭ったとき車両が見つからなければ、車両保険では全損扱いとして補償が受けられますが、新車買替特約からは補償が受けられないことを覚えておきましょう。

新車買替特約の保険料相場

“特約”といえども自動付帯の補償ではないので、新車買替特約を付帯するには「特約保険料」を支払わなければなりません。

新車買替特約の保険料は「一律〇〇円」のように決まってはおらず、車種や初度登録年月からの期間によって、3,000円~10,000円程度と大きく差が生じます。

加入時に「新車保険価額」を設定する必要があるので、ネット上のシミュレーションや一括見積もりには対応していないケースが一般的です。

新車買替特約を付帯したい場合は、別途保険会社への問い合わせが必要となります。

新車買替特約が必要なのはこんな人

ここまで、新車買替特約の特徴やメリット・デメリットなどをお伝えしてきました。

これらを踏まえた上で、新車買替特約が必要な人の特徴を以下にまとめています。

「新車買替特約を付帯しようか迷っている」という人は、ぜひ参考にしてください。

新車を購入したばかりの人

新車を購入して早々に、車が大破するほどの事故に見舞われる可能性もないとは言い切れません。確率の問題にはなりますが、どれだけ細心の注意を払って運転したとしても事故を100%防ぎきることは難しいからです。

せっかく新車を買ったばかりなのに、事故のせいでまた買い替えとなれば、金銭的な負担が懸念されるでしょう。そうした事態を防ぐなら、新車購入から間もない時期は特約を付帯するのがおすすめです。

ローンを組んで車を購入した人

自動車ローンを組んで新車を購入した場合、万が一事故により車に乗り続けることができない状態になってしまったとしたら、手元にはローンのみが残ることになります。

また、直近で“ローンを組んで新車を買った”ということは、再度車を購入する際もローンを組むことになるはずです。そうなるとダブルローンを組むことにもなり、ローンの審査が厳しくなったり、審査に通っても返済が厳しかったりとさまざまな問題が発生するでしょう。

例え車が無くなってもローンは無くならないので、ローンを組んで新車を購入した人は、万が一に備えて新車買替特約を付帯することをおすすめします。

まとめ:新車買替特約で補償を手厚く!

新車買替特約は、車両保険では賄いきれない「時価額以上」の補償をカバーしてくれる保険です。

新車を購入したばかりの人や、車をローンで購入した人にとって大きなメリットがあります。

とはいえ、実際に新車買替特約を使う場面はあまり多くはないかもしれません。

しかし特約を付帯することで、手厚い補償を用意できます。

新車買替特約を付帯するには車両保険料も支払う必要があるので、保険料支払いと特約を付帯するメリットとのバランスを見極めることが大切です。

自損事故を起こしたら?補償内容や適用対象外の損害について解説

自動車事故には、必ずしも相手がいるとは限りません。中には自損事故、いわゆる“単独事故”を起こすこともあるでしょう。

事故の相手がいる場合、保険を使って補償を賄うのは想像がつきそうですが、自損事故の場合は保険が使えるのか?と疑問に思う人も多いかもしれません。

結論から申し上げると、自損事故であっても任意保険が適用となる可能性は十分にあります。

今回は自損事故を起こした時に使える「自損事故保険」を中心に、補償内容や適用対象外となる損害の特徴について詳しく解説します。

自損事故保険とは?

自損事故で使える保険として一般的なのは「自損事故保険」です。

自損事故保険では、相手がいない交通事故(いわゆる単独事故)で生じた人身傷害を補償してくれます。

補償の対象となるのは、運転者と同乗者、契約車両の所有者です。

「人身傷害」なので、ケガや死亡・後遺障害といった“人”に対する補償として、あらかじめ決められた金額を上限に保険金を受け取ることができます。

自損事故保険は保険料の負担なしで、任意保険の「対人賠償責任」がある保険契約に自動付帯されるのが一般的です。

自損事故保険の補償内容

すべての自損事故が自損事故保険でカバーされると思われがちですが、実はそうとも限りません。ここで自損事故保険の補償内容について、詳しく見ていきましょう。

自損事故保険が適用となる事故

自損事故保険が適用となる事故について解説します。

まず事故の条件として、以下のいずれかを満たす必要があります。

①契約時に特定した自動車(以下「被保険自動車」といいます。)の運行に起因する事故

②被保険自動車の運行中の、飛来中もしくは落下中の他物との衝突、火災、爆発または被保険自動車の落下(ただし、被保険者が被保険自動車の正規の乗車装置またはその装置のある室内に搭乗中である場合に限ります。)
引用:日本損害保険協会|「自損事故保険はどのような保険ですか?」より

①は単純に、保険契約のある車の運行中による事故を指しています。

運転操作を誤って電柱やガードレールなどに衝突してしまった場合、こちらの条件に当てはまります。

②は走行中、飛び石により車体に傷がついたり、崖に落下したりといったケースが挙げられます。

さらに、以下に挙げる3つの要件をすべて満たす必要があります。

①急激かつ偶然な外来の事故により身体に傷害を負った場合

②自賠法第3条「ただし書き」に定められている内容(注1)に基づく損害賠償請求権が発生しない場合(注2)

③人身傷害保険から保険金が支払われない場合(注3)
引用:日本損害保険協会|「自損事故保険はどのような保険ですか?」より

定義が難しい内容もありますが、簡単にまとめると、

  1. 偶然に起きた事故であること(故意ではない)
  2. 他人に傷害を与えていないこと
  3. 人身傷害保険から保険金が支払われないこと

この3つがすべて満たされた事故の場合にしか、自損事故保険を使うことができません。

特に「人身傷害保険から保険金が支払われない場合」に当てはまるかどうかがカギとなるでしょう。

自賠責保険よりも人身傷害保険の方が幅広く補償されるため、基本的には自損事故であっても人身傷害保険から保険金を受け取れます。

自損事故保険を適用とするか、人身傷害保険を適用とするかの判断は保険会社ごとに異なるため、補償内容を把握することが大切です。

▶人身傷害補償特約の保険料などについて知りたい方はこちら

自損事故保険の保険金額

自損事故保険の保険金額は保険会社によって異なるケースもありますが、以下に挙げる金額が一般的です。

保険金支払事由 保険金額
死亡の場合 1,500万円(一律)
後遺障害の場合 障害の程度により50万~2,000万円
介護状態の場合 200万円(一律)
ケガの場合 通院 4,000円/日
入院 6,000円/日

 

自損事故保険の補償範囲

自損事故保険の補償範囲は以下のとおりです。

  • 記名被保険者(車の所有者)
  • 被保険自動車の運転者
  • 被保険自動車の同乗者

基本的には事故発生当時、車に乗車していた人(自分自身を含む)が補償の対象となると考えて良いでしょう。

補償されないケース

自損事故保険の適用外となる事故は、以下のケースです。

  • 被保険者の故意により発生した損害
  • 被保険者の自殺行為・闘争行為・犯罪行為によって生じた損害
  • 被保険者が無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

参考:日本損害保険協会|「自損事故保険はどのような保険ですか?」より

運転者の故意による事故や、重大な過失のもとに発生した事故は、当然ながら補償の適用対象外となります。

自損事故で使える保険・使えない保険

自損事故により「自損事故保険」が使えるケースは非常に少ないことを前項で解説しました。では、よくある自損事故で使える保険は何になるのでしょうか。

「人身傷害の場合」と「物損の場合」に分けて、自損事故で使える保険・使えない保険について、詳しく見ていきましょう。

人身傷害の場合

自損事故により生じた「人身傷害(ケガや死亡・後遺障害)」の場合に使える保険の種類は以下のとおりです。

  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 自損事故保険
  • (自分以外の同乗者のみ)自賠責保険

自損事故なので、人に対する損害賠償請求権は基本的に発生しません。そのため「対人賠償責任保険」は、自損事故では使えない保険になっています。

自損事故で一番に想定される補償は「人身傷害保険」と「搭乗者傷害保険」の2種類です。

自分以外に乗車していた人が負傷した場合、自賠責保険から保険金が請求できます。(任意保険会社が手続きを行ってくれるのが一般的です)

万が一、人身傷害保険の補償対象外であっても、自損事故保険の適用が受けられる事故であれば自損事故保険が請求可能です。

なお、「人身傷害」と「搭乗者傷害」は両方から保険金が受け取れますが、「人身傷害」と「自損事故保険」の保険金はいずれかしか受け取れません。

▶搭乗者傷害保険の保険料・保険金についてはこちら

物損の場合

続いて、物損の場合に使える保険について見ていきましょう。

  • 車両保険
    (自損事故を補償する契約がある場合のみ)
  • 対物賠償責任保険
    (自損事故によりガードレールや電柱などの公共物や他人のモノを壊した場合)

自損事故保険は「人身傷害」しか補償されないため、物損には使えません。

自損事故で考えられる物損は「自分の車」または「衝突物」のいずれかとなるでしょう。

自分の車の修理費用を補償するのは「車両保険」ですが、電柱のような公共物などを損傷した場合には「対物賠償責任保険」を使う必要があります。

また自損事故の場合、必ずしも車両保険の補償が使えるとは限らない点に注意が必要です。

車両保険の補償範囲は大きく2種類に分かれており、契約内容によっては自損事故時の補償が受けられないケースもあります。

自損事故であっても自分の車に対する補償を受けるためには、自損事故保険の有無だけでなく、車両保険の補償も確認するのがおすすめです。

自損事故でも使える車両保険の補償内容

車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2種類があります。

自損事故であっても車両保険の適用を受けるためには、「一般型」の補償にしましょう。

一般型であれば、自損事故であっても補償を受けることができます。

■主な事故例

  • 運転操作を誤って電柱やガードレールに衝突した
  • カーブを曲がり切れずに崖から転落した
  • 自宅の車庫で車をこすった

▶車両保険の補償・保険料についてはこちら

自損事故発生~保険申請手続きまでの流れ

自損事故を起こしてしまったとき、どのような対応をすれば良いのでしょうか。

事故時の対応次第では保険請求ができなくなる恐れもあるため、冷静に適切な対応をとることが大切です。

1.負傷者がいれば救急(#119)に通報

交通事故発生時のルールであり、ドライバーの義務です。ドライバーは負傷者の救護を第一にしなければなりませんので、同乗者の中に負傷した人がいればすぐに救急に連絡しましょう。

2.事故の発生を警察(#110)に通報

次に事故の発生を警察に通報します。たとえ自損事故であっても警察への通報は必須です。

保険の申請に必要な「交通事故証明書」の発行も事故発生時にした方が、その後の手続きがスムーズになります。

3.保険会社に連絡

事故発生時点で保険を使うかどうか分からないといった状況であっても、まずは保険会社に相談するのがおすすめです。保険金が支払われる事故にあたるのか、どの種類の保険金が受け取れるのかなどを聞くことができます。

4.ケガの治療開始

事故の衝撃により負傷した場合、病院の受診をおすすめします。同乗者はもちろん、自分自身もしっかり受診することが大切です。ケガをしても病院を受診しなければ、保険金の請求はできません。

また「事故当時は目立った外傷が見られなかったが、数日後に不調を感じ慌てて病院を受診した」といったケースでは、事故との因果関係が曖昧になり保険金を請求できる可能性が低くなってしまいます。

5.必要書類を準備・保険申請

保険金申請に必要な書類を準備して保険金の請求を行います。

自損事故の場合、主に「診断書」や「事故証明書」といった書類が必要です。

使用する保険が「人身傷害保険」か「自損事故保険」かによっても必要書類が異なります。

保険会社の指示に従って書類を準備し、郵送しましょう。

人身傷害保険が適用となるか、自損事故保険が適用となるかは、保険契約の約款に基づき保険会社側が判断します。

人身傷害保険の補償範囲の方が広いものの、適用外の事故の場合は自損事故保険が重宝するでしょう。

保険会社によって補償内容が異なるため、対応も変わるかもしれません。

契約前には補償内容をしっかりと確認しましょう。

▶自動車事故を起こしてしまった時の請求手続きの流れについてはこちら

自損事故で保険を使ったら等級はどうなる?

一般的に自動車事故で保険を使うと等級が下がるため、翌年以降の保険料が高くなってしまいます。

自損事故であっても保険を使ったら等級に響くのでしょうか。

以下、具体的に見ていきましょう。

保険の種類 等級
人身傷害保険 ノーカウント事故
搭乗者傷害保険 ノーカウント事故
自損事故保険 3等級ダウン
車両保険 3等級ダウン

自損事故保険を使用すると、3等級下がります。

もし人身傷害が適用されず自損事故保険の補償の対象となった場合、軽症であれば保険を使わないのもひとつの手でしょう。

3等級ダウンになると等級ダウンに加え、3年間事故ありの等級が適用されるため、保険料が割高になる期間が長くなるといったデメリットが挙げられます。

人身傷害保険が使える自損事故であれば保険を使っても等級には響きませんので、積極的に補償を活用するのがおすすめです。

▶等級による保険料の決まり方・上げ方はこちら

まとめ:加入中の自動車保険の補償内容を確認しよう

自損事故保険は、一般的に任意の自動車保険契約に無料で自動付帯される保険です。

自損事故保険を使用するケースは多くないため、あまり重要視される補償ではありませんが、いざというときに備えて加入中の保険の補償内容を把握しておくことをおすすめします。

中には、人身傷害保険を契約しない場合に自動付帯されたり、自損事故保険を付帯するかどうかを選べたりといった保険商品も存在します。

場合によっては「入っていたつもりだったけど補償の対象になっていなかった」なんてことも考えられるかもしれません。

人任せにせず、自分自身で補償内容を確認し、自動車事故の“万が一”にしっかりと備えましょう。

無保険車傷害保険とは?必要性と人身傷害保険との違いを解説

任意の自動車保険の補償内容の中には、よく知られていないような補償もあります。

しかし保険契約をする以上、ひとつずつ「どんなときに補償が受けられるのか」といった内容を把握しておきたいものです。

今回は、任意保険の中でもあまり重要視されにくい「無保険車傷害保険」について解説します。

どのような補償なのか?必要性はあるのか?また、「人身傷害保険」との違いについて確認していきましょう。

無保険車傷害保険とは

無保険車傷害保険とは、主に自動車事故の加害者が自賠責保険や任意の自動車保険に未加入だった場合に、自分や同乗者への補償として利用できる保険です。

被害者となった人が死亡または後遺障害を被った場合のみ、補償が受けられます。

一般的に死亡や後遺障害状態といった、これまで通りの生活ができなくなるほどの傷害を負わせた場合、加害者は高額な損害賠償金を負担する必要があるでしょう。

しかし加害者に賠償能力がなければ、被害者は十分な損害賠償が受けられず、泣き寝入り状態となってしまいます。無保険車傷害保険は、そんな事態を避けるためにつくられた補償です。

また、車対車の事故に限らず、“歩行中に衝突してきた車が無保険だった”といったケースも補償の対象となっています。

“無保険車”とはどんな車のこと?

無保険車の定義は、単純に「保険に加入していない車」だけでなく、加害者側に「十分な賠償能力がない」といった条件があてはまります。

具体的なケースは、以下の通りです。

  • 任意の自動車保険に加入していないケース
  • 自賠責保険に加入していないケース(契約不備や期限切れを含む)
  • 保険に加入しているが条件違反など保険金支払いが認められないケース
  • 契約している保険金額の設定が低く、賠償金が賄えないケース
  • ひき逃げや当て逃げなど、加害者が特定できないケース

「保険契約はあるものの補償が著しく低い」「契約時の告知義務違反により保険金の支払いが認められない」「ひき逃げなど加害者が特定できない」といったケースも補償の対象となります。

人身傷害保険との違いは?

相手方ではなく、自分や家族のケガや死亡・後遺障害への補償として備える「人身傷害保険」

事故の相手が無保険車のケースであっても、自分の保険を使って補償を受けることはもちろん可能です。

人身傷害保険を使えば、自分や家族が被ったケガが後遺障害認定されなかったとしても、最低限の補償は受けることができます。

しかし人身傷害保険の基準は、各保険会社の約款に基づくものであり、本来、加害者側から請求できるはずの「対人賠償」の基準に比べると低くなってしまうといった欠点があります。

また一般的に人身傷害保険の保険金額を無制限に設定する人は少なく、万が一重度の後遺障害が残ってしまったケースなど、人身傷害保険だけでは十分な補償が受けられないことも考えられます。

▶人身傷害補償特約の保険料・補償についてはこちら

無保険車傷害保険の補償内容

続いて、無保険車傷害保険の補償内容について詳しく見ていきましょう。

無保険車傷害保険の被保険者

まずは無保険車傷害保険の適用が受けられる“被保険者”となる人物について解説します。

  • 記名被保険者
  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
  • 記名被保険者またはその配偶者の別居の子(婚姻歴のある方を除く)
  • 被保険自動車に乗車中の者

一般的に補償範囲に含まれる“家族”は補償の対象です。

それ以外に、被保険自動車に乗車中に起きた事故のみ、家族以外の搭乗者であっても補償の対象となります。

(例:被保険者と歩行中に無保険車に衝突されたケースは、他人のみ補償の対象外)

▶任意保険の記名被保険者についてはこちら

支払われる保険金は?

無保険車傷害保険から支払われる保険金の限度額や条件は、以下の通りです。

支払い要件
死亡または後遺障害の場合のみ
支払い限度額
2億円または無制限
※保険会社によって異なる
利用条件
・相手の車が無保険車に該当する場合
・人身傷害保険や自賠責保険から受け取れる保険金以上の損害を被った場合
支払い基準
通常相手方から受け取る対人賠償の基準
※人身傷害の基準とは異なる

 

保険金が支払われないケース

事故の相手が無保険車であっても、無保険車傷害保険から保険金が支払われないケースは以下の通りです。

  • 契約者または被保険者の故意により発生した損害
  • 被保険者の自殺行為・闘争行為・犯罪行為によって生じた損害
  • 被保険者が無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

無保険車傷害保険は“自分側に対する補償”にあたるので、違反運転によって生じた事故は補償の対象外となります。

また、親族間で起きた事故は免責事由にあたり、無保険車傷害保険からの保険金は受け取れません。

無保険車傷害保険の保険金額

ここでは、無保険車傷害保険の保険金額を紹介します。

主な保険商品をピックアップしたので、ぜひ比較の際の参考にしてください。

保険会社 商品名 無保険車傷害自動セット 保険金額
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 タフ・クルマの保険 2億円
AIG損害保険株式会社 AAP(家庭用総合自動車保険)  2億円
共栄火災海上保険株式会社 KAPくるまる 2億円
セコム損害保険株式会社 セコム安心マイカー保険 無制限
損害保険ジャパン株式会社 個人用自動車保険「THE クルマの保険」 無制限
東京海上日動火災保険株式会社 トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険) 2億円
日新火災海上保険株式会社 ユーサイド(新総合自動車保険) 対人賠償と同額
三井住友海上火災保険株式会社 GK クルマの保険 2億円
アクサ損害保険株式会社 アクサダイレクトの自動車保険 2億円
イーデザイン損害保険株式会社 自動車保険 2億円
au損害保険株式会社 au自動車ほけん 2億円
SBI損害保険株式会社 SBI損保の自動車保険(個人総合自動車保険) 無制限
セゾン自動車火災保険株式会社 おとなの自動車保険(セゾン自動車保険) 無制限
ソニー損害保険株式会社 自動車保険 無制限
三井ダイレクト損害保険株式会社 総合自動車保険 無制限

※2023年1月1日以降契約の場合

楽天損害保険株式会社 ドライブアシスト 保険金額を限度に補償
チューリッヒ保険会社 スーパー自動車保険 無制限

2022年11月現在、ほとんどの保険商品に無保険車傷害保険が自動付帯されています。

保険金額は、被保険者1名につき「2億円」または「無制限」のケースが多く見られます。

また無保険車傷害保険は、「対人賠償保険」または「人身傷害保険」のいずれかに付帯する特約です。人身傷害を契約しない保険では、無保険車傷害保険が自動付帯となる場合と、希望により付帯できる場合の2種類が挙げられます。

どちらに特約が付帯するのかは保険会社によって異なるため、契約前に補償内容を確認しておきましょう。

事故の相手が無保険だったときの補償

自動車事故を起こした相手(加害者)が無保険状態であった場合でも、国の被害者救済制度を利用して補償を受けることができます。

しかし国の補償制度では人身傷害、つまりケガや死亡・後遺障害といった「人」に対する損害賠償しか補償されない点が大きな特徴です。以下、詳しく見ていきましょう。

1.まずは相手方の自賠責保険に請求する

任意保険には未加入であっても、自賠責保険に加入せず運転しているといったケースはかなり稀でしょう。第一に相手方の自賠責保険から損害賠償を請求できることが考えられます。

国の補償制度である自賠責保険は、ケガや死亡・後遺障害といった「人身傷害」は補償されますが、車の修理費のような「物損」に関しては補償が受けられません。

また、自賠責保険には補償の限度額が設定されている点にも注意が必要です。

  • ケガ・・・120万円まで
  • 死亡・・・3,000万円まで
  • 所定の後遺障害・・・4,000万円まで

限度額以上の損害を被っても、相手が任意保険にて十分な補償を備えていなければ、その分の損害賠償金は受け取れないことが考えられます。

そうしたケースにおいて、無保険車傷害保険を活用することができます。

▶自賠責保険の補償内容や保険金についてはこちら

2.(自賠責にも未加入の場合)政府の保障事業に請求する

車検切れの車など、加害者側が自賠責保険にすら未加入であるケースもないとは言い切れません。その場合は、被害者側から国の保障事業に損害賠償を請求することができます。

請求の手順は以下の通りです。

  1. 損害保険会社の窓口にて「請求キット」を入手する
  2. 請求書類を作成し、損害保険会社に提出する
  3. 「損害保険料率機構」にて調査
  4. 「国土交通省」にて審査・決定
  5. 損害保険会社から保険金が支払われる
    ※参考:損害保険料率機構「政府の保障事業とは」より

損害賠償の支払い基準は自賠責保険と同等になるため、物損は補償されない上、人身傷害も高額賠償には対応していません。

また国から被害者に支払われた損害賠償金は、最終的に国から加害者へと請求されるため、“自賠責保険に加入しなくてもよい”ということには決してならない点に注意しましょう。

3.加入中の任意保険の補償を利用する

最後に頼れるのが、自らが加入している自動車の任意保険です。

任意保険の補償の中で、自分側に生じた被害に対して補償が受けられるのは、以下の特約です。

ケガや死亡・後遺障害 ・人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
車の損害 車両保険

上記の補償を備えていれば、人身傷害・物損(車)問わず、実際の損害額に対して保険金が受け取れます。

ただし、一般的に加害者側から受け取れる「対人・対物賠償」の支払い基準ではなく、保険会社独自に設けられた基準までしか補償が受けられません。

いずれも「任意保険基準」であることに変わりはありませんが、相手方から受け取れる損害賠償の認定基準と、自分側に対して支払われる損害額の認定基準は異なる場合があります。

そのため人身傷害や搭乗者傷害の補償のみの場合、本来よりも受け取れる保険金が少なくなる可能性が考えられるでしょう。

▶搭乗者傷害保険の保険料・補償についてはこちら

▶車両保険の保険料・補償についてはこちら

無保険車傷害保険は必要か?事故後の流れ

現状、ほとんどの自動車保険商品に自動付帯されている「無保険車傷害保険」ですが、実際にこの特約を利用する場面はあるのでしょうか。

ここでは無保険車と事故を起こしてケガをした場合の、事故後の流れを見ていきましょう。

1.ケガの治療開始

無保険車傷害保険を受け取るには後遺障害認定を受ける必要があります。

後遺障害認定を受けるには、一定期間の通院が必要です。

【治療期間中に請求可能な保険金】

  • 搭乗者傷害保険
  • 人身傷害保険
  • 自賠責保険
    ※相手方が加入している場合

2.後遺障害認定を受け、無保険車傷害保険を請求

症状固定の診断を受け後遺障害が認定されたら、いよいよ無保険車傷害保険への請求が可能となります。

加入中の保険会社へ問い合わせ、手続きを進めていきましょう。

無保険車傷害保険を使うかどうかは、後遺障害認定が下りたあと決定する必要があります。

重度の後遺障害が残った場合は、人身傷害の基準以上の保険金を受け取れる可能性があるため、無保険車傷害保険を利用した方が良いでしょう。

無保険車傷害保険の注意点

無保険車傷害保険を利用する場合であっても、こちら側が無過失の事故だと保険会社は一切介入できないといった点に注意が必要です。

法律上の規定により、こちら側に過失のない事故の場合、第三者である保険会社は被害者に代わって相手側との示談交渉ができないといったきまりがあります。「無保険車傷害保険が使える」といったアドバイスも、場合によってはもらえないかもしれません。

もらい事故で、お客さまに事故の責任(過失)がない場合は、弁護士法(第72条 非弁活動の禁止)により、保険会社がお客さまに代わり示談交渉をすることができません。
引用:おとなの自動車保険|当社が示談交渉を行うことができない場合

無保険車傷害保険の保険金請求時も、保険会社が加害者とのやりとりをすることはできません。そのため、そもそも加害者が本当に無保険なのかの証明が必要になるなど、手続きがややこしいといった欠点が挙げられます。

もらい事故かつ加害者が無保険のケースでは、交通事故解決に強い弁護士に相談すると安心です。

とはいえ弁護士費用は高額になるケースもあるため、自動車保険の「弁護士費用特約」をあわせて付帯しておくことをおすすめします。

無保険車の割合はどのぐらい?

2021年3月末時点の統計では、対人賠償に加入している車両が全体の「75.1%」、対物賠償に加入している車両は全体の「75.3%」という結果になっています。

自家用車のみで算出してみても、任意保険の加入率は全体の約8割程度となっており、およそ5台に1台は無保険であることが分かります。

こうした実態を客観的に見ると、万が一の備えは必須だということが言えるのではないでしょうか。

※数値参照:損害保険料率機構|2021年度自動車保険の概況より
「自家用普通乗用車」「自家用小型乗用車」「軽四輪乗用車」の保有車両数の合計(61,706,303台)と対人賠償の付保台数の合計(49,202,869台)の割合を算出した結果

まとめ:無保険車傷害保険も忘れずに加入しよう

無保険車傷害保険は、基本的な自動車保険の契約に自動セットされる補償です。まれにオプションとなるケースもあるため、契約前に見落とさず確認することが大切だと言えるでしょう。

無保険車傷害保険を利用する事故の中には、もらい事故のため保険会社が示談交渉を行えないケースも存在します。

いざというときに迷わず弁護士に相談できるよう、「弁護士費用特約」を付帯しておくと安心でしょう。

“5台に1台は任意の自動車保険に未加入”といった実態も踏まえ、自分が加入している保険は万が一に備えられているかどうか、いま一度見直してみませんか?

対物賠償責任保険とは?補償内容や対物超過修理費用補償との違いを解説

自動車の任意保険の補償の中で、もっとも大切なのは「相手方に対する補償」

いざというときのトラブルを最小限に抑えるために加入する保険なので、特に事故の相手方に対する補償はしっかりと備えておきたいものです。

「対物賠償責任保険」は、自動車事故における“物損”の損害賠償金を負担してくれる大事な保険です。

今回は自動車の任意保険における対物賠償責任保険の補償内容や、設定すべき保険金額について解説します。

併せて検討しておきたい「対物超過修理費用」の特約の内容についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

対物賠償責任保険とは

対物賠償責任保険は、事故の相手方の車をはじめとする、“モノ(=財物)”に対して生じる損害賠償金を補償してくれる保険です。

補償の対象は相手の車だけとは限りません。

例えば事故の相手が車ではなく自転車だった場合、こちらの過失によって相手方の自転車が壊れてしまったときは、「対物賠償責任保険」から自転車の修理費が支払われます。

車や自転車といった乗り物に限らず、自動車事故の衝撃で他人のモノを壊した場合であれば、補償が適用されます。

▶対人賠償責任保険の補償内容はこちら

対物賠償責任保険と車両保険の違いは?

意外にも間違えやすい「対物賠償責任保険」と「車両保険」の違いについて。

自動車事故の際、いずれも「車に生じた損害」を補償してくれる保険にあたりますが、大きな違いは補償の対象、すなわち「誰の車に対する補償なのか」による違いです。

対物賠償責任保険は事故の相手方に対する補償なので、“他人”が所有する車の損害を補償してくれます。

車両保険は、自分の車が損害を受けた場合に保険金が受け取れる仕組みの保険です。車両保険には事故の相手方に対する補償の役割は一切ありません。

▶車両保険の保険料・保険金はこちら

対物超過修理費用補償特約とは?

対物賠償責任保険と併せて紹介されることが多い「対物超過修理費用補償特約」。

対物賠償の保険金が支払われる事故において、相手の“車”の修理費が時価額を超えた際、対物賠償責任保険では賄えない部分の補償が受けられるのが特徴です。

限度額は50万円に設定されることが多く、最近では対物賠償がつく保険に自動セットされている保険商品も多くあります。

対物賠償責任保険の補償内容

次に対物賠償責任保険の補償内容について詳しく見ていきましょう。

こちら側に過失がある自動車事故によって他人の財物が壊れた際、相手方に支払う損害賠償金が補償されるのが「対物賠償責任保険」の役割です。

物損の損害賠償の種類は、「直接損害」と「間接損害」の大きく2つに分けられます。

直接損害

直接損害とは、車や自転車など壊れた“モノ”に対して生じる損害のことをいいます。

  • 相手方の車や自転車の修理費
  • 建物の修復費用(お店に突っ込んだ事故など)
  • 事故の衝撃によって破損した他人のスマホ

など、他人の財物に直接生じた損害は「直接損害」にあたります。

間接損害

間接損害とは、相手のモノを壊した結果、生じた損害のことです。

例えば路線バスに衝突し、バスの運行予定時刻を大幅に狂わせてしまった場合、運行の遅れによって生じた損害が「間接損害」にあたります。

一般的には直接損害がメインになりますが、事故の影響によって他人になんらかの損害を与えてしまった場合には、間接損害の賠償請求が発生するケースもあります。

【具体例】

  • 店舗に突っ込み、休業させた
  • 誤って線路に立ち入り、電車の運行を停止させた など

保険金が支払われないケース

続いて、対物賠償責任保険からの保険金が受け取れない事故についても確認していきましょう。

まず、下記のいずれかの人が所有・使用・管理する財物に生じた損害は、補償の対象外となっています。

  • 記名被保険者
  • 契約の車を運転中の人またはその配偶者
  • 契約の車を運転中の人の父母または子(同居している場合)
  • 被保険者またはその配偶者
  • 被保険者の父母または子(同居している場合)

対人賠償同様、家族関係にある人同士で起きた事故は、基本的に補償の対象外です。

また、モノ自体は他人の所有物であっても、その人の許可を得て使用中に発生した事故の場合は、対物賠償責任保険からは保険金が支払われません。

 

なお、下記の事故により生じた損害も補償の対象外ですのでご注意ください。

  • 契約者または被保険者の故意により発生した損害
  • 台風、洪水、高潮といった水災害に起因する損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

対人賠償同様、相手方に対する補償なので、こちらが飲酒運転や無免許運転といった違反をしていた場合であっても補償の対象にはなります。

対物賠償責任保険の保険金額

対物賠償責任保険の保険金額は、いくらが適切なのでしょうか。

やはり、相手方に対する補償は「無制限」に設定するのがおすすめです。

事故の相手や事故状況、損害を与えた場所など、事故によって補償すべき金額は大きく異なりますが、こちらも対人賠償保険同様、少額で済むような事故ばかりとは限りません。

実際に高額賠償の事例もあるので一部紹介します。

認定損害額 裁判所 事故年月日 判決年月日 被害物件
2億6,135万円 神戸地裁 1985.5.29 1994.7.19 積荷

(呉服・洋服・毛皮)

1億3,450万円 東京地裁 1991.2.23 1996.7.17 店舗

(パチンコ店)

1億2,036万円 福岡地裁 1975.3.1 1980.7.18 電車・線路・家屋
1億1,798万円 大阪地裁 2007.4.19 2011.12.7 トレーラー

参考:損害保険料率算出機構 2021年度自動車保険の概況「第43表 交通事故高額賠償判決例(物件事故)より

高額賠償の事例を見る限り、店舗や電車、トレーラー、積荷といった物件事故は、賠償金が高くなる傾向にあるようです。

どんなに気を付けて運転していても事故はいつどんな風に発生するか予測不可能なもの。

もらい事故であってもこちらに過失割合が1割でもついてしまえば、相手方に対して損害賠償金を支払う必要性が生じます。

また、強制加入である自賠責保険からは、物損に対する補償は一切受けられません。

万が一に備える意味でも、対物賠償の保険金額は「無制限」に設定しておくと安心できるでしょう。

対物賠償責任保険が適用となる事故の例

ここではよくありそうな事例を挙げて、対物賠償責任保険が適用となる事故について確認していきましょう。

【例1:信号待ちしていた前の車に衝突し、リアバンパーの修理が必要となった】

信号待ちで停車中の車に後ろから衝突した場合、過失割合は10:0とされるケースが一般的です。この場合、相手方の車の修理費を全額負担する必要があります。

対物賠償責任保険から補償されるのは車の時価額まで。万が一年式の古い車で時価額が著しく低い場合は修理費が時価額を上回ってしまい、結果的に保険だけでは賄えなくなる可能性が生じます。

【例2:運転操作を誤って店舗に突っ込んでしまった】

店舗に突っ込んだ場合も、過失割合は10:0です。

お店の窓ガラスが割れた、店内に陳列されていた商品にも傷を付けてしまったなど、さまざまな損害が懸念されますが、これらは対物賠償責任保険から補償が受けられます。

お店側が休業を余儀なくされた場合、休業期間中の損失や従業員の給与などを賠償しなければならないケースもあります。

こんな事故の場合は……?

自宅の駐車スペースにうっかり車をぶつけて、車庫が損傷してしまうといった事故もあるでしょう。そんなとき、果たして対物賠償責任保険から保険金が受け取れるのでしょうか?

ポイントは、駐車スペースが「自己所有物」または「他人の所有物」かどうかにあります。

  • 一戸建ての場合→NG(自損事故保険や車両保険から補償)
  • マンションやアパートなどの共用スペースが損傷した場合→OK

自己所有の一戸建てにある車庫の場合、自己所有物を破損したことになるので、相手方の損害を補償する対物賠償責任保険からの補償は受けられません。

もし自宅がマンションやアパートの場合、車庫は共有物にあたるため、対物賠償責任保険から補償を受けることができます。

対物賠償責任保険の注意点

ここまでの解説で、対物賠償責任保険は「時価額を限度に補償」といった話も挙げてきました。中には「保険金額を無制限にしていたら関係ないのでは?」といった疑問を浮かべる人もいるかもしれません。

実はここに対物賠償責任保険の落とし穴があります。

対物賠償責任保険で補償される範囲は、車の時価額まで。実際に支払われた修理費や買い替え費用などをまるごと補償してくれるわけではありません。

事故の相手方の車の年式が古いケースでは、修理費が時価額を超えてしまうこともありますが、その場合、超過した分は自腹で支払う必要があります。

保険金額を「無制限」に設定していても、必ずしも全額が補償されるわけではない点に注意しましょう。

対物超過修理費用補償特約は必要?

前項で挙げた注意点を回避するために「対物超過修理費用補償特約(※)」が必要になります。(※)正式名称は保険商品により異なります。

ここで、「対物賠償責任保険」と「対物超過修理費用補償」の違いをおさらいしましょう。

名称 補償内容 特徴
対物賠償責任保険

(基本補償)

事故の相手方の財物を壊したことにより生じた損害賠償金を補償 相手の車に対する補償は「時価額まで」しか適用されない
対物超過修理費用補償

(オプション)

相手方の車の修理費が時価額を上回った場合、50万円を限度に保険金が支払われる 対物賠償の弱点をカバーできる

基本的な補償が「対物賠償責任保険」で、車の修理費が時価額を超えた場合のみ補償が受けられる特約が「対物超過修理費用補償」にあたります。

両方セットにすることで補償を充実させることができます。

対物超過修理費用補償の特約保険料は数百円程度で済むため、事故による思わぬ出費を抑えるためにも備えておくのがおすすめです。

最近では、対物超過特約が自動付帯されている保険商品も多くあります。

迷ったらあらかじめ特約がセットになった商品の中から選ぶのも良いでしょう。

まとめ:対物賠償には対物超過修理費用補償もつけよう

対物賠償責任保険は、相手方の車やモノが損傷し、損害賠償責任が生じたときに補償が受けられる保険です。

しかし特に古い年式の車の場合、修理費が時価額を超えるケースがあるため、保険金額を「無制限」に設定した対物賠償責任保険であっても十分に補償を受けられないことがあります。

対物賠償にはオプションの「対物超過修理費用補償」も付けておくと安心できるでしょう。

補償を正しく理解して必要な補償を選びとり、無駄なく安心できる保険に加入しましょう。

対人賠償責任保険とは?補償内容や人身傷害保険との違いについて解説

自動車の任意保険において欠かせない補償のひとつとなる「対人賠償責任保険」

なんとなく理解しているようでも、いざ補償内容を聞かれると正確に答えられない人も多いのではないでしょうか。

補償内容を理解していないと契約時、適切な保険金額を設定できない可能性が生じるため、それぞれどういった補償が受けられるのか知っておくことは大切です。

今回は、任意自動車保険に付帯する「対人賠償責任保険」の補償内容や設定すべき保険金額について詳しく解説します。

名称を聞くだけでは区別が難しい「人身傷害保険」との違いについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

対人賠償責任保険とは

対人賠償責任保険とは、事故の相手方に生じたケガや死亡・後遺障害による治療費や慰謝料といった「損害賠償金」を補償する保険です。いわゆる「人身傷害」に対する補償が受けられる保険にあたります。

便宜上、人身傷害に対する補償の名称は「対人賠償責任保険」と「人身傷害保険(補償)」の2つに分けられています。

いずれも人身傷害、すなわち「人」の「身」に生じた「傷害(ケガ)」に対する補償が受けられますが、その中でも「対人=相手の人」のケガに対する損害賠償金を補償してくれるのが対人賠償責任保険です。

相手方に対する人身傷害補償は、自賠責保険から優先して保険金が支払われます。

しかし自賠責保険で受け取れる補償は、ケガの場合で120万円、死亡の場合で3,000万円、重度の後遺障害の場合で4,000万円とそれぞれ限度額が決められているのが特徴です。

自賠責保険の上限を超えた分の損害賠償金をカバーする目的で加入するのが「対人賠償責任保険」です。

https://insurance.frm.media/car/post/car-insurance

対人賠償責任保険の補償内容

続いて、対人賠償責任保険の補償内容について詳しく見ていきましょう。

「保険金が支払われるケース」「誰に対する補償なのか」「補償の対象外となる人物は誰か」「補償がおりないケースはあるのか」の4つのポイントから解説します。

保険金が支払われるケース

対人賠償責任保険において保険金が支払われるケースは、以下の通りです。

  • 事故の相手が死亡したとき
  • 事故の相手が後遺障害を負ったとき
  • 事故の相手がケガをしたとき

これらに付随する治療費や休業損害、逸失利益や葬儀費用などが支払われます。

なお自賠責保険の基準では、補償が受けられるのは「車の運転中に起きた事故のみ」となっています。

一方で任意保険の対人賠償責任は、運転中に限らず、車の「所有・使用・管理」上、なんらかの問題が生じて発生した人身事故において補償が受けられるのが特徴です。

誰に対する補償なのか?

対人賠償責任保険は、自分以外の他人に生じた傷害に対する損害賠償金を補償する保険です。基本的には、事故の相手方が補償の対象になると考えて問題ないでしょう。

また自分の車に家族以外の同乗者がいて、事故により負傷した場合は、その人に対しても対人賠償責任保険から優先的に保険金が支払われます。

補償対象外になる人物

対人賠償責任保険から保険金が受け取れない人物は、ざっくりと「家族関係にある人」と考えておいて良いでしょう。

具体的には以下の人物が挙げられます。

  • 記名被保険者
  • 契約の車を運転中の人またはその配偶者
  • 契約の車を運転中の人の父母または子(同居中に限る)
  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者の同居の父母または子
  • 被保険者の業務に従事中の使用人
    ※記名被保険者・・・主に車を運転する人
    ※被保険者・・・保険の対象となる人

上記に挙げた人が、運転中の事故によってケガをしたとしても、対人賠償責任保険からは補償が受けられません。

代わりに自賠責保険や任意保険の人身傷害保険といった部分からの補償が受けられます。

補償がおりないケース

続いて、上記に挙げた「人」以外の理由で対人賠償責任の補償が受けられなくなるケースについても確認してみましょう。

  • 契約者または被保険者の故意により発生した損害
  • 台風、洪水、高潮といった水災害に起因する損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

対人賠償責任保険の補償範囲は、運転中以外にも車の所用・使用・管理における損害について幅広く設定されているものの、基本的な自然災害によって生じた事故に関する補償は受けられません。

ただし、無免許運転や飲酒運転といった違反運転が原因で起きた事故については、補償が受けられるのがポイントです。

対人賠償責任保険の保険金額

「被害者の救済のため、最低限の補償を提供する」といった目的で強制加入となっている自賠責保険では、ケガ・死亡・後遺障害、それぞれのケースにおいて補償の上限額が決められています。しかし、事故の相手が被った損害がすべて数千万円で事足りるとは限りません。

過去の事例の中には高額な賠償請求も見受けられるため、万が一に備える意味でも保険金額は「無制限」で設定するのがおすすめです。

以下、実際に起きた交通事故による高額賠償請求の事例を記載したのでご覧ください。

認定損害額 態様 事故年月日 判決年月日 被害者の

年齢・性別

被害者の職業
5億2,853万円 死亡 2009.12.27 2011.11.1 41歳・男性 眼科開業医
4億5,375万円 後遺障害 2012.11.1 2017.7.18 50歳・男性 コンサルタント
4億3,961万円 後遺障害 2010.11.9 2016.12.6 58歳・女性 専門学校教諭
3億5,929万円 後遺障害 2010.7.22 2018.11.27 14歳・女性 中学生

参考:損害保険料率算出機構 2021年度自動車保険の概況「第42表 交通事故高額賠償判決例(人身事故)より

高額な損害賠償請求に当てはまる事故であっても真摯な対応ができるよう、十分な保険金額を設定しましょう。

対人賠償責任保険から支払われる項目

対人賠償責任保険からはどのような費用に関する補償がされているのでしょうか。

相手方に支払われる項目には、以下のような種類が挙げられます。

ケガの場合 後遺障害の場合 死亡の場合
治療費 治療費 治療費
休業損害

(仕事を休んだ場合)

逸失利益 葬儀費
通院交通費 通院交通費 逸失利益
慰謝料(精神的損害) 慰謝料(精神的損害) 慰謝料(被害者本人および遺族)

補償されるのは治療費など実際にかかった費用だけではありません。

仕事を休んだことによる「休業損害」や「精神的損害」など、目に見えない費用に関しても「損害賠償金」として算出され、相手方に支払われます。

対人賠償責任保険が適用となる事故の例

対人賠償責任保険の補償内容について、ご理解いただけたでしょうか。

より理解を深めていくため、ここでは対人賠償責任保険が適用となる事故の例を見てみましょう。

【例1.運転操作を誤って対向車と衝突し、相手にケガを負わせた】
自分の車:同乗者なし、自分自身も負傷
相手の車:同乗者1名(ケガ人は計2名)

この場合、相手方のケガに対する損害賠償は「対人賠償責任保険」から補償されます。

自分のケガに対する補償は「人身傷害保険」から保険金が受け取れる仕組みです。

【例2.運転中、誤ってガードレールに衝突。近くにいた歩行者が事故の衝撃から転倒し、負傷した(同乗者である友人も負傷)】
自分の車:友人1名が同乗(軽傷)
相手:歩行者1名がケガ

この場合対向車はいませんが、歩行者を負傷させてしまったので、歩行者に対して「対人賠償責任保険」から損害賠償金が支払われます。

そして自分の車に同乗していたのが友人なので、この友人に対しても「対人賠償責任保険」から治療費などの損害賠償が補償されます。

なおこの友人は、対人賠償責任保険以外に人身傷害保険からも補償を受けることができます。

対人賠償責任保険と人身傷害保険の違いは?

任意の自動車保険には、人に対する補償として「対人賠償責任保険」と「人身傷害保険」の2種類があることを冒頭で解説しました。

どちらも「人」のケガや死亡・後遺障害に対する補償ですが、両者の決定的な違いは「補償の対象となる人」です。

  • 対人賠償責任保険・・・事故の相手方に対する補償(同乗者も家族以外の他人であれば対象)
  • 人身傷害保険・・・自分を含む同乗者(家族も他人も対象)

 

また、対人賠償責任保険には過失割合により補償が減額されるケースもありますが、人身傷害保険には過失相殺が発生しないといった違いもあります。

https://insurance.frm.media/car/post/jinshinshogai

示談交渉サービスとは?

任意の自動車保険には、多くの場合「示談交渉サービス」が自動で付いてきます。

示談とは調停や裁判といった形ではなく、当事者間の話し合いによって事故を解決する方法です。自動車事故においては過失割合や損害賠償の金額などを交渉することになるでしょう。

任意保険に付帯する「示談交渉サービス」を使えば、保険会社が示談にて事故の解決ができるよう、相手方(もしくは相手方の保険会社)と交渉を進めてくれます。

まとめ:対人賠償責任保険は「無制限」で加入しよう

対人賠償責任保険は、事故の相手方の身体に生じた損害に対する損害賠償金を補償する保険です。

事故の度合いによっては高額賠償に当てはまる可能性も十分に考えられます。

対人賠償責任保険の保険金額を少なくすると補償が足りずに「損害賠償金が支払えない」といった事態にもなりかねません。

万が一に備えて、対人賠償責任保険は「無制限」で設定するのがおすすめです。

補償内容をしっかりと理解して、適切な保険金額を備えた保険に加入しましょう。

自動車事故を起こしてしまったら?保険の請求手続きや解決までの流れ

どんなに安全運転を心がけていても起こり得る自動車事故

万が一に備えて任意保険に加入はするものの、実際に事故を起こしてしまったとき、どのように保険金を請求するのか気になったことはありませんか?

せっかく保険に入っても、いざというときに利用できなければ意味がありませんよね。

大まかな手続きの流れを知っておくだけでも、事故が起きた際、慌てずに対応できるでしょう。

今回は、自動車事故が発生した際の保険金請求手続きの方法や事故解決までの流れについて、詳しく解説します。

事故発生時点で保険会社に連絡しよう!

突然の交通事故。どうしよう!と焦る心をぐっと落ち着かせて、冷静に対応することが大切です。

自動車事故が発生したら、ドライバーの義務として最初に必ずやるべきことが3つあります。

  1. ケガ人の救護
  2. 事故現場の安全確保(二次被害軽減のため)
  3. 警察に通報

これらは、道路交通法に定められた運転者の義務です。事故が起きたら安全な場所に車を停め、警察や救急が来るまで適切な対応をとりましょう。

任意保険会社への連絡はその後です。事故状況によってはその場で保険会社に連絡する余裕は、実際にはないかもしれません。しかし可能な限り、事故現場上で事故の発生を報告した方が、その後の対応がスムーズに進みます。

事故の記憶も時間が経つと薄れてしまうので、状況を正しく報告するためにもなるべく早めに保険会社へ連絡しましょう。

自賠責保険の保険会社にも連絡すべき?

自賠責保険の保険会社への報告は、基本的に加入中の任意保険会社がしてくれます。

自賠責保険金の請求手続きも、任意保険会社が代行して済ませるケースが一般的なので、通常は自賠責の保険会社への連絡は不要です。

ただし、事故発生時に任意保険に未加入だった場合は、自賠責の保険会社への連絡が必要となります。

事故連絡時、保険会社に伝えることは?

事故状況にもよりますが、事故の相手方の情報を聞かれることがあります。

  • 相手の名前
  • 相手の住所
  • 相手の電話番号
  • 相手の車のナンバー
  • 相手の加入中の任意保険会社

を最低限控えておくとスムーズです。

また、事故発生時の状況や双方のケガの度合いなども聞かれるため、まずは現状を伝えましょう。

事故現場の住所を特定するのは難しいですが、電柱に貼られている住所や管理番号、自販機の住所表記、コンビニの店舗名などを目印に、ある程度の情報は伝えられるようにしておくのがおすすめです。

事故後の流れ

続いて、事故後の流れについて見ていきましょう。

保険金の請求手続きは、任意保険会社側が進めてくれるのが一般的です。

自分が加害者であるか被害者であるかによっても、用意する書類や手続きにかかる期間は異なりますが、基本的には保険会社がサポートしてくれるので安心してください。

保険金が支払われるまでの間、自分は何をするべきなのか?

ここでは事故発生後から保険金請求までの大まかな流れについて解説します。

1.治療開始

自分が加害者であるか被害者であるかにかかわらず、まずは病院に行くことが大切です。

事故の衝撃は思わぬところに支障をきたしている可能性が考えられます。事故との利害関係が曖昧にならぬよう、事故日から日を空けずに通院しましょう。

「自分が加害者の場合は関係ない?」と思った人は要注意。例え自分が加害者側であっても、人身傷害や搭乗者傷害といった補償を付けていれば、治療費や休業損害などを請求することが可能です。

また自分だけでなく同乗者も、人身傷害や搭乗者傷害から補償が受けられます。

万が一任意保険に加入していなくても、同乗者のケガに関しては自賠責保険の適用が可能です。

加害者・被害者問わず、ドライバーだけでなく、同乗者にも必ず病院へ行ってもらい、身体に異常がないか確認してもらうことをおすすめします。

2.保険金請求書を郵送

次に「保険金請求書」「事故発生状況報告書」などの書類を任意保険会社宛てに送付します。

必要な書類はすべて保険会社側が用意して郵送してくれるので、必要事項を記入し、決められた期間内に書類を返送します。

事故が解決するまでは、保険会社とのやりとりが肝心です。頻繁に電話がかかってくることもありますが、保険金の支払いがすべて終わるまでは誠実に対応しましょう。

3.損害調査&示談交渉(保険会社)

事故報告を受けた保険会社は、その事実を確認するため「損害調査」を行います。

また、相手方との示談交渉も保険会社を通じて進行されます。

損害調査や示談交渉を進めていくにあたって、こちらが何かをする必要は特にありません。

4.保険金支払い完了

保険金の支払いは、保険金の種類ごとに支払い時期が異なるのが特徴です。そのため対応が終了した分から順次保険金が支払われ、支払い完了のお知らせが保険会社より届きます。

自分宛てに支払われる保険金の詳細はもちろん、相手方に支払われた保険金の詳細も「事故解決の案内」として報告されます。

保険金請求に必要な書類

「保険金の請求って役所に行かないともらえない書類が必要だったりするの?」

「手間がかかりそうだよね」

などと敬遠する人も中にはいるかもしれません。

しかし死亡事故のような大きな事故でない限り、複雑な書類が必要になることはないので安心してください。

事故の種類や請求する保険金の種類によっても異なりますが、保険金請求には主に下記の書類が必要になります。

保険金請求書 請求する保険金の種類や保険金支払先の口座情報など保険金の請求に必要な基本情報を記入する書類
同意書 医療機関が保険会社に治療費等を請求するために、患者の医療情報等の取得を保険会社が直接行うことに同意する旨の書類
事故発生状況報告書 事故状況図や事故の原因や状況図の説明などを記入する書類
交通事故証明書 交通事故の発生を公的に証明する書類。事故現場で警察により発行される
診断書 ケガの症状や治療機関などを記した、医師によって作成される書類(※病院によって診断書作成料が発生する)
示談書 事故の内容と解決の内容を記した書類。当事者双方の署名・捺印が必要となる

こちらで何か記入しなければならない書類に関しては、基本的にすべて保険会社が用意してくれます。指示に従って必要事項を記入したうえで、速やかに返送しましょう。

この他にも状況に応じて、

  • 通院交通費明細書
  • 治療費領収書
  • 診察券のコピー
  • 人身事故証明書入手不能理由書
  • 休業損害証明書
  • 所得証明書
  • 後遺障害診断書

などといった書類を準備しなければならないケースもあります。

住民票や印鑑証明書のような、取寄せに手間がかかるような書類が必要になることはあまりありません。

保険金が支払われるまでの期間は?

すべての保険金が支払われる=事故解決の意味にも当てはまります。できるだけ早く事故が解決してくれた方がありがたいですよね。

とはいえ保険金が支払われるまでの期間は、事故の状況や請求する保険金の種類によってさまざま。一般的には事故対応が終了した保険金から順番に支払われていきます。

すべての保険金が支払われるまでには、最低でも半年~1年以上かかるケースが多いでしょう。

代表的な保険金の種類は以下の通りです。

保険金の種類 保険金の内容(保険金が支払われるタイミング)
相手方への補償 対人賠償保険金 相手方の治療費や休業損害、慰謝料、通院交通費など(治療が完了したら)
対物賠償保険金 相手方の車の修理費など(修理が完了したら)
自分に対する補償 人身傷害保険金

(自賠責保険金を含む)

自分や同乗者の治療費や休業損害、精神的損害、通院交通費など(治療が完了したら)
搭乗者傷害保険金 自分や同乗者の入院または通院に対して支払われる一時金(一定期間入院または通院したら)
自損事故保険金 電柱やガードレール、植栽、建物との衝突などによる死傷を補償(治療が完了したら)
車両損害保険金 事故により自分の車が損傷した際の修理費等を補償(修理が完了したらまたは全損と判断されたら)

この他にも「弁護士費用特約」や、車両保険の中でも「レンタカー費用特約」などを付帯していれば、該当する特約からも保険金が受け取れます。

この中でもっとも早く支払われるのは、自分に対する補償である「搭乗者傷害保険金」です。

ケガの度合いや治療日数、後遺障害の有無にかかわらず、自分または同乗者がある一定期間治療のために通院すれば、あらかじめ決められた保険金が支払われる仕組みだからです。

もし自分が加害者だとしたら、被害者より先に保険金を受け取るのははばかれるかもしれませんが、相手方への保険金も必ず支払われるので安心してください。

被害者が受け取れる保険金は「対人賠償保険金」「対物賠償保険金」の2種類。

対人賠償保険金は、被害者のケガの度合いにより、保険金支払いまでに最低でも3~6ヶ月以上の時間がかかります。

「症状固定」と診断され、後遺障害等級認定の申請までいくと、さらに時間がかかるでしょう。後遺障害等級認定が診断された後に、ようやく相手方へ保険金が支払われます。

対物賠償保険金は、相手方の車の修理費がメインになるでしょう。

こちらは車の修理が終わり、最終的な修理費用が決定したら保険金が支払われるイメージです。

状況によっては事故解決までに1年以上の期間を要するケースもあります。

保険金請求にかかわる事故対応の注意点

実は「任意保険に加入していれば必ず保険金が受け取れる」というわけではありません。

酒気帯び運転や故意に起こした事故などはもちろんNGですが、特に違反をしていなくても事故後の対応によっては保険金請求ができなくなることもあるのです。

ここでは保険金の請求にかかわる、事故対応のNG例を紹介します。

その場で示談交渉をするのはNG

軽い事故にありがちですが、当事者同士がその場で示談交渉をするというのは絶対にやめましょう。例え口約束だけの示談であっても、成人同士であれば法的な効力があるとみなされるため、一度取り付けた示談を覆すことは困難だといえます。

その場では大丈夫だと思っても、後々身体の調子がおかしくなったり、よく見たら車に大きな傷が付いていたりと、本来であれば保険金が請求できる状況だったというケースはよくあります。

一度示談交渉をしてしまうと保険会社が介入する余地もなくなり、保険金が請求できなくなる可能性が高くなるため、当事者間の示談交渉は避けましょう。

警察に通報しないのはNG

事故の発生を警察に通報するのは、道路交通法で定められたドライバーの義務です。

軽微な事故だからといって、警察に通報しないという選択肢をとるのは絶対にやめましょう。

また、警察が発行する「交通事故証明書」がなければ、保険金の請求もできなくなります。

自分にとっても不利益でしかないため、事故後の通報は必ず行いましょう。

通報するのは、加害者・被害者どちらであっても構いません。どちらかが一度110番をすれば大丈夫です。

例え軽微な事故であっても、正しい手順で事故対応をとるのが大切です。

トラブルを防ぐためにも自己判断での対応は避け、保険会社を味方につけると良いでしょう。

まとめ:自動車事故が起きたら任意保険会社に連絡しよう

自動車事故が発生してしまったら、まずは落ち着いて冷静に対応することが大切です。

事故現場におけるケガ人の保護や交通整理、警察や救急への通報など、実際に事故が起きると、状況によってはその場の対応に追われてしまうかもしれません。

それでもしっかりと適切な対応をとった上で、なるべく早めに任意保険会社へも事故の発生を連絡し、今後の指示を仰ぎましょう。

その場で相手方と示談交渉をしてしまうのは絶対にNG。

トラブルを防ぎ自分の身を守るためにも、いざというときこそ保険会社に頼ってください。

自動車の任意保険はいつ加入する?契約の流れやタイミングを解説

初めて契約する自動車の任意保険。加入を決意したものの、

「どこで手続きしたら良いのかな?」

「いつ加入するべきなんだろう?」

などと疑問に思う人は多いのではないでしょうか。

任意保険の契約が初めての場合「本当に自分のやり方は合っているのか?」と不安になることがあるかもしれません。一般的な流れを知っておくだけで、安心して契約に臨めるでしょう。

今回は、初めて自動車の任意保険に加入する人に向けて、任意保険の加入のタイミングや契約の流れについて解説します。

自動車の任意保険に加入するタイミングは?

自動車の任意保険は「車を持つことが決まったら」、忘れないうちに加入手続きを済ませることをおすすめします。「保険始期日」を納車日に設定すれば、補償開始まで保険料が発生することはありません。

そのため車の購入契約を交わし、納車日が決定したら、納車前に加入するのが理想です。

また、車を譲り受ける場合も、車や自賠責保険の名義変更と平行して任意保険の契約も早めに済ませましょう。

とはいえ任意保険は自賠責保険と違って、法律で加入が定められているわけではないため、なんらかの理由で任意保険の加入を見送っていた、もしくは忘れていたという人もいるかもしれません。納車後すぐに加入しなくても、特に大きな問題はないため安心してください。

しかし、任意保険に加入しようと“思っている”だけでは、補償を受けることはできません。事故が起きてからでは遅いので、保険に加入しようと思ったタイミングですぐに行動することが大切です。

自動車の任意保険契約までの流れ

それでは、自動車の任意保険の契約に至るまでの流れについて見ていきましょう。

それぞれの状況に応じて異なるケースもありますが、契約の流れは大きく3ステップに分かれます。

1.見積もりをとる or 損保会社に問い合わせ

納車日が決まったら、まずは見積もりをとりましょう。特に初めて自動車保険に加入する人は、保険料の相場や一般的な補償内容を知る上でも一括見積りをとるのがおすすめです。

もし加入したい保険会社や保険商品が決まっている場合は、一括ではなく個々に見積もりをとることもできます。その場合は、保険会社の公式サイト上で見積もりを出しても良いですし、電話で直接問い合わせてみるのも良いでしょう。

見積もりの段階で車種情報が必要になるケースが多いため、可能であればあらかじめ車検証を準備しておきます。

2.補償内容を決める

見積もりを依頼すると、「シンプルプラン」「標準プラン」「充実プラン」のように3パターンほどの補償プランが保険会社から提示されます。

その中から自分に合った補償内容のプランを選びましょう。

見積もりの段階で保険会社から提示されたプランは、必ずしも自分のカーライフに合うとは限りません。必要であれば特約をつけたり補償金額を変えたりするなど、自分好みにカスタマイズすることも可能です。

3.決定したプランで申込み

最終決定したプランで、いよいよ契約手続きを進めていきます。

申込み時点でも車が手元にある必要はなく、「納車日」さえ決まっていればOKです。

ディーラーから自宅へと車を持ち帰る(=運転する)ときから補償がスタートするように配慮して、契約手続きを済ませておきましょう。

契約場所や契約の手順については、加入するのが「代理店型自動車保険」か「ダイレクト型自動車保険」かによって異なります。

自動車の任意保険の契約手順

任意保険の契約に際し、代理店型保険とダイレクト型保険の大きな違いは「契約可能な場所」。代理店型は保険代理店に出向く必要があるのに対し、ダイレクト型はネット上で手続きが完了するのが特徴です。

自動車の任意保険の契約手順について、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。

代理店型の場合

代理店型自動車保険の場合、保険代理店の窓口に直接出向いて契約手続きを行います。

担当者によっては自宅まで足を運んでくれる代理店もあります。

契約には「自動車保険加入申込書(契約申込書)」の提出が必要です。

その場で一から記入することもありますが、事前に見積もりをとるなど代理店にあらかじめ伝えた情報があれば、その部分は印字されているケースもあります。

補償プラン、車種情報、氏名・住所などの個人情報といった項目に誤りがないか、しっかりと確認しましょう。

申込書にサインをしたら、契約は完了です。代理店にて契約手続きを行うと、最短で契約したその日から補償が開始されます。

また、代理店によっては郵送でも手続きが可能です。その場合は最短で2~3日程度、書類の不備などでやりとりが長く続くと1週間~1ヶ月程度の時間がかかることもあるでしょう。納車までの日数が短いときは注意が必要です。

ダイレクト(通販)型の場合

ダイレクト型自動車保険はスマホやパソコンから、インターネット上で加入手続きができます。あらかじめネット上で見積もりを出していれば、そこから加入手続きを進めていくことも可能です。

契約は車検証を手元に用意し、画面の指示に従って必要事項を入力していくだけ。ネット上で24時間365日、いつでも契約手続きができるため、日中は忙しい方でも時間を気にせず保険に加入できるといったメリットも挙げられます。

ダイレクト型自動車保険は、最短で翌日から補償が開始されます。

自動車の任意保険契約時の必要書類

自動車の任意保険契約時に必要となるのは、「車種情報」「免許証の色」です。

そのため、

  • 車検証(コピー可)
  • 運転免許証

の2点を準備しておきましょう。

代理型自動車保険の場合、印鑑が必要となることもあるため、あらかじめ担当者に契約時の持ち物を確認しておくと安心です。

自動車の任意保険料の支払い方法

次に、自動車の任意保険料の支払い方法について見ていきましょう。

保険料は下記のいずれかの方法により、1年分を一括払い、または月払い(分割払い)にて支払いを行います。

  • 口座振替
  • クレジットカード
  • 銀行振込
  • 払込票(コンビニやペイジーなど)

また保険会社によっては、QRコード決済やバーコード決済も利用できます。保険料の支払いも多様化が進んでいるようです。

自動車の任意保険料は、1年分を一括で支払うのが一般的ですが、中にはクレジットカードの分割払いや月払いを可能としている保険会社もあります。

クレジットカードの分割払いになると、カード会社指定の手数料がかかるため、その分の保険料支払いが高くなる点に注意が必要です。

代理店型自動車保険はどこで契約する?

ここまでの解説の中で「代理店型の自動車保険は、店舗に出向いて契約する必要がある」というのはご理解いただけたでしょうか。

しかし実際、どこの店舗に出向けば良いのかと疑問に思う人もきっと多いはず。

実は、代理店=保険会社の窓口だけとは限らず、意外にも街のあちこちに“保険代理店”が点在しているのです。

具体的には以下のような代理店が挙げられます。

  • ディーラー
  • 自動車販売店
  • 保険代理店(個人・法人)
  • 保険ショップ
  • カー用品店(※)
  • ガソリンスタンド(※)

(※)保険商品の取扱いがない店舗もあります。

自動車保険の見積もりをとると、同時に最寄りの代理店を紹介してくれるケースが一般的です。しかし、もし行きつけのカー用品店など、信頼できる店舗に契約しようとしている保険商品の取扱いがあれば、そちらで契約するのも良いでしょう。

どこで契約しても補償内容はもちろん、サービス内容も変わりません。その意味では、“せっかく加入するなら”顔見知りの担当者がいる代理店でお任せするのもおすすめです。

取扱い商品は代理店により異なるため、あらかじめ保険会社の公式サイトにて「代理店検索」などを利用して検索してみることをおすすめします。

自動車の任意保険の保険料目安を調べる方法

「自動車保険の保険料はいくらになるのか、事前に目安を知りたい!」と考える人も多いのではないでしょうか。

自動車保険は年齢や免許証の色、車種などのさまざまな条件によって左右されるため、一概に平均値を出すのは難しいといえるでしょう。

自分の条件下における保険料の平均値を知るためには、一括見積もりをとるのがおすすめです。複数の保険会社と比較してみると、より相場が見えやすくなります。

「いきなり一括見積もりはちょっと……」という人は、気になる保険会社の公式サイトをのぞいて簡易見積もりを出すだけでも、保険料の目安を知ることができますよ。

自動車の任意保険料を安く抑える契約方法

人によって年間数万円~十数万円単位と、決して安い買い物とはいえない自動車の任意保険料。少しでも安くできたらうれしいですよね。

ここでは、自動車の任意保険料を抑えて契約するためのポイントを2つ紹介します。

一括見積もりをとる

保険料を少しでも安くしたいとお考えなら、複数社から見積もりをとるのがおすすめです。1社ずつ請求せずとも、一度の請求で10社以上の見積もりをとれる「一括見積もりサイト」も多数存在しています。

最近では一括見積もりサイト限定のキャンペーンも充実しているようです。気になるキャンペーンを実施しているサイトを選んで、見積もりをとるのも良いでしょう。

保険会社特有の割引やキャンペーンを利用する

「自動車保険はどこも同じ」という印象を払拭させるべく、保険会社ごとに独自の割引を設定したりキャンペーンを実施したりと、さまざまな手法で差別化を図っています。

特に「少しでも保険料を安く済ませたい」とお考えの人は、自分に当てはまる割引を行っている保険会社を探すのもおすすめです。

割引の種類は、以下のようなものが挙げられます。

  • 早期割
  • ネット割
  • 継続割
  • 子育て応援割

ここに挙げたのはほんの一例です。今後もさまざまな割引が出てくる可能性も考えられます。

割引の種類によってはすべての人が当てはまるわけではないため、より「自分にマッチする保険」に出会いやすくなるかもしれません。ぜひ保険会社特有の割引やキャンペーンにも注目してみてください。

一括見積もりのデメリットはある?

「一括見積もりばかりを勧めているけど、デメリットは何もないの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

一括見積もりの大きなデメリットとして「営業電話や営業メールが一斉に来る」点を煩わしく思う人もいるでしょう。

また、各保険会社から提示されるプランは同じ条件で作られるわけではないため、保険料と補償内容のバランスが見えにくい点もデメリットといえるかもしれません。

公平に保険料を比較するとしたら、気になるプランは別途個別見積もりを試すといったひと手間をかける必要があります。

保険会社によってサービス内容も異なるため、単純に「一番保険料が安い自動車保険に加入する」という選び方は避けたほうが無難です。必ず、“補償の中身”を確認しましょう。

まとめ:自動車の任意保険の加入は簡単!まずは見積もりから

自動車の任意保険は、納車と同時に補償が始まるようにあらかじめ加入手続きを済ませておくのが理想です。契約には「車検証」「免許証」に記載の情報が必要になります。

代理店型とダイレクト型、それぞれの保険商品により契約手順は異なりますが、補償内容さえ決まれば手続き自体はスムーズに進行します。

特に初めて自動車保険に加入する人は、保険料や補償内容を比較する上でも、複数社から見積もりをとるのがおすすめです。

自分なりのこだわりがある場合はそこから選ぶのももちろんOK。保険料と補償のバランスを確認して、自分に合った自動車保険に加入しましょう。