日常的に車を使用している人の中には、“生活に車が欠かせない”人もいるでしょう。
自動車事故を起こして車が損傷したとき、修理中の移動手段がなくて困る」という人は、レンタカーを借りるなどして修理期間中の代車を手配することになります。
とはいえ、レンタカーにもお金がかかるもの。
事故時レンタカー費用特約は、そんなときに役に立つ補償です。
今回は、事故時レンタカー費用特約の補償内容や必要性について解説します。
事故時レンタカー費用特約とは
事故時レンタカー費用特約とはその名の通り、事故により車が損傷して修理が必要となった場合、修理期間中に手配するレンタカーの費用を補償してくれる保険です。
保険会社によって、「レンタカー会社から借りた場合のみ補償」「わ・れナンバーであれば補償」「指定のレンタカー会社から借りた場合のみ補償」など、さまざまな補償内容が挙げられます。
※レンタカーのナンバーに記される一文字のひらがなは、一般的に「わ」「れ」が使用されます
また2023年1月1日以降の契約では、レンタカーの在庫不足や、ケガにより車の運転ができないといった理由で、移動手段としてタクシーやバスなどを利用した場合の交通費を補償する保険会社もあります。
実際にソニー損保では、2023年1月1日以降の契約で、タクシーやバスなどの費用を補償する予定です。
基本的に車両保険のオプションとして付帯可能ですが、特約保険料は安いとはいえないため、必要な人のみ付帯することをおすすめします。
特約を使うと等級は下がる?
事故時レンタカー費用特約のみを使っても等級に影響はありません。等級が下がる心配はないので、特約を付けておけばいざというとき安心して補償を受けることができます。
ただ車の修理が必要な場合、車両保険を使うケースが多いかもしれません。
車両保険自体は補償を使うことで等級が下がるため、注意しましょう。
修理中、代車は無料で借りられない?
「車検や点検で用意される代車は無料だよね?修理中もディーラーや整備工場で代車を無料で借りられないの?」
こんな疑問が浮かぶ人もいるかもしれません。
車検や点検時にはあらかじめ代車が用意され、無料で貸し出されることもありますが、修理時の代車費用は請求されるケースが一般的です。
車検や点検は事前に予約して代車を準備できるのに対し、事故による修理は突発的であるため、すぐに代車を用意できないといった背景もあります。
「お金は出すから代車を貸して!」と頼んでも、ディーラー側に代車の用意がない場合には貸し出すことができません。
そのため事故による修理の際は、自分で代車を手配しなければならない可能性が生じます。
事故時レンタカー費用特約の補償内容
それでは、事故時レンタカー費用特約の詳しい補償内容を見ていきましょう。
主な補償内容
事故時レンタカー費用特約は、事故により車の修理が必要となった場合、修理期間中(車が手元にない期間)に借りたレンタカー費用の実費が補償される保険です。
保険会社によっては事故による修理以外に、故障や盗難の場合も補償が受けられるケースがあります。
1日あたりのレンタカー費用 × レンタカーの使用日数
のうち、実際に負担した金額が基本的な補償内容です。
「保険金額(1日あたりのレンタカー費用)」と「レンタカーの使用日数」には、それぞれ上限が定められています。
■保険金額
保険金額の上限や決め方は、保険会社ごとに異なります。
「5,000円」「7,000円」「10,000円」のいずれかから日額を選べる保険商品が一般的です。
その他、あらかじめ上限が定められている保険商品もあれば、自分に合った保険金額を1,000円刻みで決定できる商品など、さまざまな補償内容が挙げられます。
■レンタカーの使用日数
レンタカーの使用日数は「30日」と上限が定められているのが一般的です。
「事故が起きた日から30日」なのか「レンタカーを借りた日から30日」なのか、基準は保険会社によって異なります。
また、保険会社によっては「故障の場合は15日」などの日数制限が設定されているケースもあります。
補償の対象となる人
- 契約の車の所有者
補償の対象外となるケース
事故時レンタカー費用特約の補償が使えないケースは以下の通りです。
- 故意または重大な過失によって生じた損害
- 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
- 詐欺または横領によって生じた損害
- 欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
- 故障による損害(※保険会社ごとに異なる)
- 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
- レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)
「故障による損害」に関しては、保険会社ごとに異なる点に注意が必要です。
「故障の場合もOK」とする商品と「故障は対象外」とする商品の2つに分かれます。
事故時レンタカー費用特約の保険料
続いて、事故時レンタカー費用特約の特約保険料について見ていきましょう。
保険料は契約者の年齢や補償範囲のほか、保険金額をいくらに設定するかによっても異なります。
目安として、日額と同額の保険料が年間で上乗せされると考えて良いでしょう。
例えば保険金額を日額5,000円に設定した場合、年間約5,000円の保険料がプラスになるといったイメージです。
中には、自動車保険の契約に自動で付帯する「ロードサービス」の補償内容の中に、レンタカー費用特約が含まれているケースや、車両保険に自動付帯されるケースもあります。その場合、特約保険料は無料になります。
保険金額の決め方は?
保険金額を自分で設定できる場合、どのようにして保険金額を決めれば良いのでしょうか。
目安として、必要な車のグレードの平均日額を参考にするのがおすすめです。
自分の車と同グレードでレンタカーを借りた場合、日額はいくらになるのか。平均を算出して保険金額を決定しましょう。
車の種類別レンタカー費用の目安
レンタカー費用は、車のグレードや車種によって平均日額が異なります。
軽自動車、コンパクトカー、セダン、SUV、ワンボックスの1日あたりの基本料金目安を記載したので、保険金額を決める際の参考にしてください。
車種 | 24時間あたりの基本料金 | 日額目安 |
軽自動車 | 3,800~6,820円 | 5,000円 |
コンパクトカー | 4,000~7,150円 | 7,000円 |
セダン | 6,000~9,900円 | 7,000円または10,000円 |
SUV | 7,500~13,200円 | 7,000円または10,000円(※) |
ワンボックス | 10,000~20,900円 | 10,000円~20,000円(※) |
近年普及している格安レンタカーと大手のレンタカー会社では、基本料金に大きく差が生じますが、長期間借りる場合は割引が適用されるケースもあります。
「万が一のとき、どの会社からレンタカーを借りられそうか?」
「長期で借りるとどのぐらい割引になるのか?」
といった観点も考慮しながら平均日額と照らし合わせて、最適な保険金額を設定してください。
(※)中には日額10,000円以上~20,000円の保険金額を設定できる保険も存在するので、必要に応じて自分に合った保険商品を探すと良いでしょう。
事故時レンタカー費用特約の注意点
事故時レンタカー費用特約には、いくつか注意点があります。
保険会社によっては以下に挙げる注意点をカバーする補償を提供している商品もあるので、契約前に必ず補償内容を確認してください。
故障による修理は対象外
事故時レンタカー費用特約は、事故以外の原因で故障した場合には補償の対象外となるケースがあります。あくまでも、“事故により” 修理が必要となった場合のみ、レンタカー費用が補償される保険です。
とはいえ近年では補償の見直しが行われており、保険会社によっては「事故時以外の故障も対象」としている保険商品も存在します。
レンタカー以外の代車費用は対象外
こちらも保険会社によって補償内容が異なりますが、基本的にはレンタカー会社から借りるレンタカー費用のみが補償の対象となります。
- ディーラーや整備工場から有料で代車を借りた場合
- 知人から車を有償で借りた場合
こうした費用は補償の対象外となるケースが一般的です。
車両保険を付帯した契約のみ付帯可能
基本的には車両保険に付帯可能な特約なので、車両保険を契約しなければ、事故時レンタカー費用特約は付帯できません。
車両保険の保険料+レンタカー費用特約の保険料がかかるため、その分保険料が割高になる可能性もあります。
保険会社によっては、車両保険に自動付帯されるケースや、自動車保険の契約に自動付帯するロードサービスに補償が付いてくるケースなど、補償の内容はさまざまです。
自分が加入する保険には、どんな補償が自動付帯するのか、その補償はどんな内容なのかを契約前にしっかりと確認することが大切です。
事故時レンタカー費用特約が必要な人
最後に、事故時レンタカー費用特約が必要な人について考えてみましょう。
この特約がもっとも必要となるのは、「日常生活に車の使用が欠かせない人」です。
通勤や通学、毎日の子どもの送迎に車の使用が欠かせない人や、買い物は車でしか行けないような遠い場所にしかないなど、それぞれに車が必要な事情があるでしょう。
2~3日で終わるような修理であればレンタカー費用もそこまで高額にはなりませんが、修理期間が1ヶ月近くかかるような大々的な修理の場合はその分レンタカー費用もかさみます。
例えば2台目以降の車を持っているケースや、いざというときは親戚に車を借りられるといった人にとっては、不要な特約となる可能性が高いのではないでしょうか。
まとめ:自分に必要な補償を見極めよう
事故時レンタカー費用特約は、必要な人とそうでない人に分かれる補償です。
そのため、“自分にとって必要な補償かどうか”を見極めることが大事だといえます。
特約を付帯すればその分充実した補償を得られますが、使わない補償にまで保険料を支払う必要はありません。
いざというときの出費をシミュレーションして、必要だと感じた人は迷わず特約を付帯しましょう。