自動車保険はどう選ぶ?比較のポイントや基本的な考え方を解説

いざ自動車保険検討しようとしたとき「保険の種類が多すぎてどう選べばいいか分からない!」と感じた経験はありませんか?

「よく分からないまま契約しているので、無駄な補償も含まれているかも……」という不安や疑問を抱えつつ、なんとなく自動車保険に加入している人もいるかもしれませんね。

“何を重視して選ぶのか”、考え方は人それぞれなので、“これがおすすめ”というのは、一概には言えません。

 

しかし自動車保険を比較する際の基本的な考え方や、選択に迷ったときの比較のポイントを押さえておくと、より自分に合った商品を選びやすくなるでしょう。

今回は、自動車保険を選ぶときの基本的な考え方や比較のポイントについて詳しく解説します。保険選びでお悩みの人は、ぜひ参考にしてください。

自動車保険商品は全部で何種類?

そもそも自動車保険の商品は全部で何種類あるのか、気になりませんか?

2022年10月現在、日本損害保険協会の会員となっている保険会社の中で、自動車保険を提供している会社は全部で17社あります。

さらに海外の損害保険会社など、日本損保協会の会員ではない保険会社の商品も合わせると、日本で契約可能な自動車保険は21種類にものぼります。

以下一覧にまとめたので、ぜひ比較の際の参考にしてください。

損保協会会員保険会社 商品名 契約形態
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 タフ・クルマの保険 代理店型
AIG損害保険株式会社 AAP(家庭用総合自動車保険) 代理店型
共栄火災海上保険株式会社 KAPくるまる 代理店型
セコム損害保険株式会社 セコム安心マイカー保険 代理店型
損害保険ジャパン株式会社 個人用自動車保険「THE クルマの保険」 代理店型
大同火災海上保険株式会社 DAY-GO! くるまの保険(個人用総合自動車保険) 代理店型 ※代理店があるのは沖縄県のみ
東京海上日動火災保険株式会社 トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険) 代理店型
日新火災海上保険株式会社 ユーサイド(新総合自動車保険) 代理店型
三井住友海上火災保険株式会社 GK クルマの保険 代理店型
アクサ損害保険株式会社 アクサダイレクトの自動車保険 ダイレクト型
イーデザイン損害保険株式会社 自動車保険 ダイレクト型
au損害保険株式会社 au自動車ほけん ダイレクト型
SBI損害保険株式会社 SBI損保の自動車保険(個人総合自動車保険) ダイレクト型
セゾン自動車火災保険株式会社 おとなの自動車保険(セゾン自動車保険) ダイレクト型
ソニー損害保険株式会社 自動車保険 ダイレクト型
三井ダイレクト損害保険株式会社 総合自動車保険 ダイレクト型
楽天損害保険株式会社 ドライブアシスト ダイレクト型

 

損保協会非会員の保険会社 商品名 契約形態
AGC保険マネジメント株式会社 自動車保険 代理店型
CHUBB損害保険株式会社 家庭用自動車保険 代理店型
ニューインディア保険会社 NIA自動車保険 代理店型
チューリッヒ保険会社 スーパー自動車保険 ダイレクト型

参考:日本損害保険協会会員|各社の「くるまの保険」商品会員会社等一覧

 

また、保険会社によっては1社で数種類の自動車保険を展開しているところもあるため、それらも含めるとさらに選択肢が増えることになります。

自動車保険の比較方法。基本的な考え方は?

前述の通り、自動車保険には実に膨大な商品が存在しており、この中から自分に合った自動車保険を選び取るのは至難の業ともいえるでしょう。

ここで「なんのために自動車保険に加入するのか」を思い出してみましょう。

自動車保険は、事故が発生したときに起こりうる金銭的な問題を、スムーズに解決へと導くために必要となる保険です。

実際に事故が起きたとき、“どんなことで困る可能性があるか”といった視点から考えてみると、自分にとって必要な補償が見えてくるかもしれません。

似たような内容であっても、保険会社によって補償の内容が少しずつ異なることもあります。まずは複数の保険会社に見積もりを依頼して、各社の補償内容を知ることから始めるのがおすすめです。

“自分に合った補償”とは?考え方の一例を紹介

基本的な補償内容は同じでも、保険会社ごとに独自の特約やサービスを提供しながらそれぞれ差別化を図っています。

数あるサービスに惑わされず、本当に必要な補償を選び取るには「自分に合った補償」を考えることが大切です。

とはいえ、漠然と“自分に合った補償”と言われても、何が自分に合っているのか?すぐに思い浮かべるのは難しいかもしれません。

そんな人に向けて、ここでは“自分に合った補償”の考え方の一例を紹介します。

他に加入中の保険契約はあるか

保険に加入する際の大前提として「補償内容が被っていないか」を確認することは非常に大切です。

例えば自分のケガや死亡・後遺障害に備える「人身傷害補償」や「搭乗者傷害補償」は、生命保険医療保険に加入していれば、そちらからも補償されるケースが多くあります。

他に加入中の保険契約の内容を考慮して、補償が重複しないようにすると、効率よく保険料を抑えることができます。

事故の際、どういったトラブルが発生する可能性があるか

例えば自分の車に友人や会社の同僚、上司などの他人を乗せる機会が多いという人は、事故発生から即座に保険金が支払われる「搭乗者傷害補償」を付帯しておくと安心できるでしょう。

反対に「車には1人で乗ることが多い」「生命保険に加入している」という人は、搭乗者傷害補償を手厚くする必要はないことが考えられます。

また、遠方まで運転する機会が多い人であれば、そうでない人に比べて出先での事故やトラブルに巻き込まれる可能性が高くなるため、ロードサービスが充実した保険商品を選ぶと安心です。

このように、自分のライフスタイルや車の利用シーンと照らし合わせて、懸念されるトラブルに特化した補償を選ぶと良いでしょう。

契約する車は「コネクティッドカー」か

「コネクティッドカー」とは、ICT端末としての機能を持ち、常時インターネット接続がされた車のことをいいます。

位置情報を送受信できるため、例えば運転中のコネクティッドカーが衝撃を検知するとオペレーターへ自動で通知され、救急車やレッカー車の手配といったさまざまなサポートを即座に受けられるのが特徴です。

こうしたコネクティッドサービスと連動した保険商品は「テレマティクス保険」と呼ばれ、一部の保険会社から販売されています。

スムーズな事故対応が受けられるだけでなく、安全運転を心がけることにより保険料が安くなる可能性もある「テレマティクス保険」。コネクティッドカーのみならず、通信機能付きのドライブレコーダー搭載車などもテレマティクス保険の加入が可能です。

保険会社によっては通信機器を貸し出してくれるところもあるので、テレマティクス保険が気になる人は、検討してみてはいかがでしょうか。

自動車保険を比較する際の5つのポイント

“自分に合った補償の考え方”が分かったあとは、5つのポイントを押さえて自動車保険を比較していきましょう。

1.契約方法で比較する

代理店を通した契約、いわゆる「代理店型」の保険か、直接保険会社と契約する「ダイレクト型」の保険か、まずは契約方法で比較してみましょう。

代理店型のメリットは、担当者と対面で補償内容を相談しながらじっくり決められる点や、代理店によっては事故時の保険会社とのやりとりを担当者に任せられる点などが挙げられます。

ダイレクト型のメリットは、代理店を通さない分の保険料が抑えられる点です。インターネット上から気軽に契約できる点も、忙しい人にとってはメリットとなるでしょう。

2.保険料で比較する

自動車保険を選ぶ際、“保険料の安さ”で比較するのも良いでしょう。

複数社から一括見積りをとることで、保険料の比較がしやすくなります。

保険料の安さを重視して比較する際は「補償内容と保険料のバランス」も忘れずにチェックしましょう。特に相手方への補償(対人・対物)が低くなりすぎないよう、注意が必要です。

3.補償内容で比較する

基本的な補償は、どの保険会社もさほど変わりはありません。

しかし中には重視したい補償が自動付帯になるケースとそうでないケースなど、保険会社によって補償内容が異なることがあります。

どんな補償が自動で適用されているのか、その中に不要な補償はないかをチェックするのも大切です。

「自分にとって必要な補償」が契約に含まれているかどうかも、忘れずに確認しましょう。

4.事故時の対応力で比較する

事故発生時の保険会社の対応力は重視しておきたいポイントです。

例えば以下のような観点から、どのようなサポートが受けられるかを確認できます。

  • 事故対応は24時間365日受け付けているか(深夜・早朝の事故も即座に受け付けてくれるか
  • ロードサービスの内容は充実しているか(レッカー車の手配までしてもらえるのか、レッカー費用を負担してくれるだけなのか、など)

また「ロードサービス」「ロードアシスト(アシスタンス)」でサービスの内容が異なる点にも注目してみてください。

5.口コミや利用者の評判で比較する

実際に事故時の対応を経験した人の口コミから判断するのもひとつのポイントです。

クレームばかりを目にする保険会社など、不信感のある保険会社は避けたほうが無難かもしれません。

評判をリサーチする際は、日本損害保険協会に寄せられた苦情件数やクレームの内容を参考にするのも良いでしょう。

知っておきたい特約の種類

基本補償に加えて「特約」といういわゆるオプションの補償を付帯することで、より補償を充実させることができます。

特約の種類もまた膨大で、その数は100種類以上にものぼるといわれています。

保険会社ごとに独自の特約が設けられていることも多く、特約を知り尽くすのもまた困難かもしれません。

ここでは、最低限知っておきたい自動車保険の特約を3つのカテゴリに分けて紹介します。

保険会社によっては自動付帯となる特約

まずは、自動で付帯されることが多い特約について、よくあるものを見ていきましょう。

名称 概要
自損事故保険 単独事故を起こした際に補償が受けられる保険。
無保険車傷害保険 任意保険に未加入の相手との事故や、当て逃げ事故など相手が特定できない場合、損害賠償が補償される保険。
ロードサービス 事故や故障などのトラブルにより車が走行不能となったときに、レッカー移動の費用などが補償される特約。

これらは契約に自動で付くケースが多いものの、保険会社によってはオプションになることがあります。

保険会社特有のユニークな特約

続いて、一部の保険会社にしか見られないユニークな特約を見てみましょう。

名称 概要
事故現場駆けつけサービス 保険会社と提携する警備会社の警備員が事故現場に駆けつけ、事故対応の助言などサポートをしてくれるサービス。
ドラレコ特約 保険会社から通信機能付きのドライブレコーダーを借りられる特約。事故の際、ドラレコの記録が保険会社に共有されるのが特徴。

特に「事故現場駆けつけサービス」は、保険会社によっては自動付帯される特約なので、気になる人はチェックしてみると良いかもしれません。

付けると安心な特約

最後に、数ある特約の中でも「これを付けておけば安心」な特約を3つピックアップしました。

名称 概要
弁護士費用補償特約 こちらが被害者となったとき、弁護士への相談費用や書類作成費用などの補償が受けられる特約。
個人賠償責任補償特約 日常生活のトラブルにより生じた損害賠償が補償される特約。自転車事故による損害賠償も対象となる。
ファミリーバイク特約 原付バイク使用時に生じた事故に関して補償が受けられる特約。原付バイク保有者は加入がおすすめ。

他にもさまざまな特約が挙げられますが、自分が欲しい特約を提供する保険会社の中から選ぶと、選択肢も絞れるでしょう。

ライフスタイルや家族構成などを考慮しつつ自分に合った特約を選びとり、必要な補償を充実させるのがおすすめです。

1日保険やドライバー保険って?任意保険との違いは?

自動車保険の中には、通常の任意保険の他に「1日保険」「ドライバー保険」などの保険商品もあります。

ここでは任意保険との違いに加え、それぞれ適している人の特徴を解説します。

任意保険が適している人

自分の車を保有している人は一般的な任意保険への加入が適しています。

車の買い替えや車自体を手放す予定のある人も、車を保有している間は任意保険に加入しましょう。

1日自動車保険が適している人

自分の車は保有しておらず、別居中の家族(父母など)や友人の車をたまに運転するという人は「1日保険」への加入がおすすめです。

ドライバー保険が適している人

長期間(1年単位)他人の車を借りて運転する機会のある人は、ドライバー保険に加入すると安心です。

ドライバー保険に加入しておけば、いざというとき相手の車に紐づけられた自動車保険を使わずに補償を用意することができます。

車を借りる相手の保険を利用して等級を下げることになると迷惑をかけてしまいかねないため、他人の車を借りる際はドライバー保険への加入をおすすめします。

カーリースの場合、適しているのは「カーリース専用任意保険」

カーリースはリース会社名義の車を借りることになるので、ドライバー保険が適しているかのように思う人もいるかもしれません。

しかしカーリースの場合、「カーリース専用任意保険」に加入するのが最適です。

ドライバー保険だと車が損傷した際の補償が受けられないため、満期後に車を返却する仕組みのカーリースには向いていません。

共済と任意保険の違いは?

今回、民間の保険会社が提供する自動車保険について紹介してきましたが、「こくみん共済」や「県民共済」といった自動車共済を検討するのも良いでしょう。通常の任意保険と比べて、基本補償に大きな違いはありません。

ただし、共済の種類によっては等級を引継げないこともあるため注意が必要です。

また特約の種類に関しても、任意保険に比べると少ないと感じるかもしれません。

「必要な補償を用意できるか」も考慮して検討すると良いでしょう。

まとめ:まずは見積もりをとって自動車保険を比較しよう!

2022年10月現在、日本国内で加入できる自動車保険の商品の種類は20種類以上にも及びます。その中から自分に合った保険に加入するためには、「何を重視して選ぶのか」を考えて比較するのがおすすめです。

ライフスタイルや車の利用シーンなどを想定して、事故が起きた際どういった場面でお金がかかるのか考慮しながら、必要な補償を選ぶと良いでしょう。

それを踏まえた上で「代理店型かダイレクト型か」「保険料の安さはどうか」「補償内容は自分に合っているか」「保険会社の事故対応力はどうか」「評判はどうか」といったポイントを押さえて比較していくと、よりスムーズに選びやすくなるかもしれません。

まずは複数の保険会社から見積もりをとって、各社の補償内容などを比較することから始めましょう。