「型式別料率クラス」とは?保険料への影響や料率クラスの決まり方

被保険者の年齢や居住地、車の主な利用シーン、走行距離など、あらゆる条件によって保険料が左右される自動車保険。

車の「型式」による保険料への影響も存在することをご存じでしたか?

「型式別料率クラス」では、車両の型式別の事故リスクを算出し、車ごとに保険料率のランク付けをしています。

今回は料率クラスの決まり方や、どんな車が保険料に影響しやすくなるのかなど、型式別料率クラスの特徴について解説します。

型式別料率クラスとは?

型式別料率クラスとは、車の型式ごとの事故発生率やユーザー層といったデータに基づいて算出する“保険料率区分”のことを指します。

より公平に保険料を算出するため、それぞれのリスクの差異に応じたものになるよう、“車種”ではなく、“型式”別に保険料率が定められているのが特徴です。

例えばOEM車(※)のように安全性能などまったく同じ車であっても、ユーザー層の違いによるリスクの差異が見受けられた場合は、メーカーごとに料率クラスが異なる可能性もあります。

なお参考純率の算出は、「損害保険料率算出機構(通称:損保料率機構)」が行っています。

(※)他社が開発した車を自社ブランドとして取り扱われる車のこと。見た目も性能もまったく同じだが、メーカーや車種名、型式などが異なる。

料率クラスは全部で17段階

型式別料率クラスは1~17段階まで存在しています。(※2023年2月現在)

軽自動車は1~3の3段階、普通自動車は1~17の17段階に分かれており、数値が低いほど保険料が安くなり、数値が高いほど保険料が高くなるといった仕組みです。

2020年1月1日以前、軽自動車には料率クラスの設定はありませんでした。

しかし近年、軽自動車の普及により型式ごとのリスクの差が生じるようになったため、軽自動車にも料率クラスを設定することになったという背景があります。

さらに以前は「1~9段階」までだった料率クラスを、2020年1月1日以降は「1~17段階」に細分化。より正確に、公平な保険料を算出できるようになりました。

料率クラスの改定前と改定後

時代の変遷に伴い、より公平な保険料を算出するために、こうしたルールの改定も行われています。

料率クラスが適用される車・されない車

料率クラスが適用されるのは、「自家用普通乗用車」「自家用小型乗用車」「自家用軽四輪乗用車」の3種類のみです。

小型トラックやライトバンといった貨物車や、キャンピングカーのような特殊自動車などは「自家用」であっても料率クラスの適用外となっています。

型式別料率クラスの仕組み

続いて、型式別料率クラスの仕組みについて見ていきましょう。

型式別料率クラスでは、自動車保険の基本補償である4つの補償について、保険料率の設定がされています。

  1. 対人賠償責任保険
  2. 対物賠償責任保険
  3. 人身傷害保険
  4. 車両保険

損保料率機構の公式サイト内にある「型式別料率クラス検索」を活用すると、型式別の料率クラスを調べることができます。

参考までに、ボディタイプ別人気車種の型式別料率クラスを表にまとめたのでご覧ください。

ボディタイプコンパクトカーSUVセダンワンボックス
車種/型式トヨタ ヤリス「MXPH15」トヨタ ライズ「A201A」トヨタ カローラ「ZWE215」アルファード「AGH35W」
対人5671
対物6776
人身傷害7795
車両8579
※保険始期2023年1月1日~12月31日

同じ型式でも補償別に見ると料率クラスに差が生じていることが分かります。

型式別料率クラスでは、主に前年度の事故発生率や保険料の支払い実績といったデータを元に保険料率を算出しています。

発売されたばかりの型式は保険データが蓄積されていないため、事故データではなく排気量や新車価格、発売年月などに基づき、料率クラスが決定されています。(※軽自動車の場合は一律クラス2からスタート)

さらに型式販売開始年月から3年以内の車には「ASV割引」や「初度登録後経過期間」を考慮した割引が適用されるなど、型式別料率クラスにはさまざまな仕組みがあるのです。

型式別料率クラスに影響する条件

型式別料率クラスを意識することで、保険料を少しでも抑えられたらありがたいですよね。

では、料率クラスに影響する特定の条件はあるのでしょうか?

一般的に以下に挙げるようなリスクが高い車は、型式別料率クラスに影響する可能性も高くなっています。

  • 事故リスクが高い車種
  • 盗難率が高い車種
  • 修理費が高い車種

それぞれ見ていきましょう。

事故リスクが高い車種

実際に事故発生のデータを集めないことには事故率を算出できないため、“事故率が高い車種”を予測して特定するのは難しいでしょう。

しかし一例を挙げると、スポーツカーのようにスピードの出やすい車は、“事故リスクが高い”とみなされ料率クラスも高くなる傾向にあります。

また、事故率の高い60代以上の高齢者に人気の車種も、料率クラスに影響する可能性があるでしょう。

盗難率が高い車種

料率クラスを算出する際に見る「事故率」には、交通事故のみならず「盗難率」も含まれています。

車両本体の盗難や車上あらしなどに狙われやすい車は、料率クラスも高く設定されています。

以下は、日本損害保険協会の「自動車盗難事故実態調査 2021」にて発表された、盗難件数ワースト5位の車種です。

車種件数
ランドクルーザー331件
プリウス266件
レクサスLX156件
アルファード 138件
クラウン81件
参考:日本損害保険協会「自動車盗難事故実態調査」第23回調査データ より

毎年盗難事故の常連となっている「ランドクルーザー」の人気型式の料率クラスを見てみると、「対人:8、対物:8、人身:5、車両:17」でした。

料率クラスを意識して保険料を抑えたいのであれば、上記に挙げた車種は避けた方が良いかもしれません。

修理費が高い車種

万が一事故により車両の修理が必要になった場合、修理費用が高額になる可能性が高い車種は、車両保険の料率クラスも高くなる傾向にあります。

このように、保険料の支払いリスクが総じて高い傾向の車種は、料率クラスも高く設定されている可能性が大いに考えられます。

運転歴や居住地は料率クラスに影響しない

自動車保険では、被保険者の年齢や運転歴、居住地など、ドライバー属性によって保険料率が異なりますが、これらは料率クラスに直接影響しているわけではありません。

あくまでも料率クラスに反映されるのは「型式ごとの事故リスク」のみです。

型式別料率クラスによる保険料の差

型式別料率クラスは全部で17段階の料率に分かれていることを冒頭で解説しました。

保険料が最も安い「クラス1」と、保険料が最も高い「クラス17」を比較すると、保険料率の差は約4.3倍になっています。また各クラス間の保険料率の差は約1.1倍です。

1~3段階に区分されている軽自動車は、各クラス間の料率差が約1.1倍、クラス1とクラス3の差は約1.2倍に設定されています。

料率クラスによる保険料の差は、意外にも大きいことがいえるでしょう。

「新しい型式を選べば保険料は安くなるのか?」と気になる人がいるかもしれません。

一例として、2022年の乗用車販売台数ランキング3位の人気車種「日産 ノート」の型式別保険料を比較してみましょう。

ソニー損保の見積もりにて筆者算出

上段「SNE13」と「HE12」が比較的新しい型式です。

古い型式の「NE11」「E11」と比較すると、車両保険のクラスの違いはひと目で分かるものの、対人・対物・人身傷害は、新旧による差が目に見えるわけではないということがお分かりいただけるかと思います。

それどころか料率クラスではなく保険料で比較すると、古い型式の方が安く済むことが明らかです。

車両保険金額は車の時価額までしか設定できないため、必然的に古い型式の車は車両保険金額が低くなっており、結果として保険料が抑えられています。

あくまでも一例ではあるので、他の車種ではまったく違う結果が出ることもあると思いますが、少なくとも「新車or中古車」が料率クラスに直接影響することは考えづらいでしょう。

型式別料率クラスはどのように決定している?

型式別料率クラスの参考純率の算出は、損保料率機構が実施しています。

型式別の事故率やユーザー層などのデータから総合的に判断して、型式ごとの料率クラスを振り当てているのが特徴です。

その他にも注目しておきたい、料率クラスの決まり方について、以下解説していきます。

料率クラスの見直しは1年ごと

損保料率機構の料率クラスの見直しは年1回、毎年1月に行われています。

「等級が上がって条件が良くなったはずなのに、翌年の保険料が上がった」というケースは、“料率クラスの見直し”が影響しているかもしれません。

損保料率機構では前年度の事故データから、その型式のリスク実態を調査します。調査の結果、現状のクラスが見合っていると判断された場合には料率の変更はありません。

現状のクラスと比較して、リスクが高いまたは低いとみなされた場合には、その度合いによって最大で「±2」のクラス移動があります。

突然「クラス5がクラス10になる」といった大幅な料率変更はないのでご安心ください。

(※発売後約3年が経過した新しい型式についてはリスクが低い場合のみ、-2以上のクラス移動の可能性があります)

最終的な料率クラスの決定権は保険会社ごと

損保料率機構が算出する料率クラスは、あくまでも全体的なデータから算出された参考純率です。

損保料率機構の会員になっている保険会社であれば、損保料率機構が算出した料率クラスを利用することができますが、必ずしも利用しなければいけないといったルールはありません。

つまり、最終的な料率クラスの決定権は保険会社ごとに異なるのです。

料率クラスが気になるときは、どんなルールに沿っているのか?保険会社や保険代理店から直接説明を聞くことをおすすめします。

料率クラスの自主的な変更は不可

料率クラスは最終的に保険会社側が決定する項目のため、型式が異なる車種に乗り換えない限り、自分の意思で料率クラスを変更することはできません。

年1回の料率クラスの見直しに伴い、次年度以降の保険料が変わる可能性は十分に考えられます。しかし保険料の増減を事前に判断するのは難しく、料率クラスをコントロールすることも不可能です。

まとめ:料率クラスの最終決定は保険会社ごと

型式別料率クラスによる保険料への影響は大きいものといえるでしょう。

しかし、型式ごとの事故発生データに基づき毎年数値が見直されるため「この車種なら保険料が安い」というのは、一概に判断ができません。

また最終的には保険会社ごとに料率クラスが決定されているため、実際は損保料率機構で調べた料率クラスよりも高かったということがあるかもしれません。

料率クラスについて気になることがあれば、契約中の保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。

【自動車保険】ダイレクト型と代理店型の違い|比較ポイント5選

自動車保険には大きく分けて「ダイレクト型」「代理店型」の2種類があります。

「ダイレクト型の方が安い」といったイメージを持つ人は多いかもしれませんが、それ以外の違いについて、具体的に思い浮かべるのは難しいのではないでしょうか?

自動車保険に限らず保険商品は、価格だけで選んでしまうのはよくありません。

今回は「ダイレクト型自動車保険」と「代理店型自動車保険」の違いと、それぞれを比較する際のポイントを解説します。

「ダイレクト型」と「代理店型」の違いは?

ダイレクト型と代理店型、最大の違いは「保険料」です。

他にも加入方法の違いやロードサービス、特約といった補償内容の違いなど、それぞれ異なる特徴が見られます。

ダイレクト型自動車保険の特徴

ダイレクト型自動車保険では、代理店を通さず、保険会社と直接保険契約を結びます。

代理店に支払う保険料が不要になる分、割安な保険料を実現しやすいのが特徴です。

加入方法はインターネット上で必要な情報と希望の補償を入力し送信するだけ。

保険料の支払いは保険会社によってクレジットカード払いや銀行払い、コンビニ払いなどが選択でき、最短で翌日から補償が開始されます。(場合によっては車検証のコピーなど書類の送付が必要になることもあります)

さらに「インターネット割引」が受けられたり、合理的な保険料の仕組みを採用していたりと、ダイレクト型ならではのメリットも多く挙げられます。

代理店自動車保険の特徴

保険会社と直接契約を結ぶダイレクト型に対し、代理店型では保険代理店が仲介に入り保険契約を結びます。

代理店には当然「店舗」があり「スタッフ」がいるので、店舗維持費やスタッフの給料なども「付加保険料」として保険料に組み込まれています。

つまり代理店側に支払う手数料が含まれる分、保険料も割高になる傾向です。

保険契約は担当者と対面で行います。代理店によっては自宅まで足を運んでくれたり郵送でのやりとりをしたりといったケースもありますが、基本的には代理店に出向いて契約手続きを済ませます。

補償内容を見て、担当者に相談しながら見積もりを作成してもらえるため、自分に合った補償を選びやすくなるでしょう。

ダイレクト型と代理店型の比較ポイント5選

続いてダイレクト型と代理店型、それぞれの自動車保険を比較する際のポイントを解説します。

“ダイレクト型か代理店型か?”で迷ったら、「補償内容」「事故対応」「ロードサービス」「特約」「保険料」を比較してみてください。

1.補償内容

自動車保険を契約する上で、必ず意識しておきたいポイントは「補償内容」です。

必ずしもダイレクト型が代理店型の補償に劣るわけではなく、基本補償に大きな差はありません。しかし中には「ダイレクト型の方が保険料は安くなるけど、〇〇の補償はオプションになる」といったこともあるでしょう。

特に、

  • 基本補償である「対人・対物賠償保険」は無制限になっているか?
  • 自動付帯が一般的な「無保険車傷害」と「自損事故傷害」はそれぞれ付いてくるか?

といった基本的な補償内容については、必ず確認した上で比較することが大切です。

2.事故対応

自動車保険を選ぶ上で次に比較できるポイントは、各保険会社の「事故対応」です。

実際に事故が起きたとき、保険会社の対応によっては手続きが煩わしく感じられることや、本当は受けられるはずの補償が受けられなかった、といったケースもあるかもしれません。

事故対応については契約前に体験することは不可能なので、利用者の口コミや評判などを確認すると良いでしょう。

保険会社によっては、実際の「お客様の声」を公式サイトに掲載しているところもあります。「不満の声」に誠実に対応しているか?も、良い保険会社を見極めるポイントです。

3.ロードサービス

「ロードサービスをどこまで充実させたいか」というのも自動車保険を比較する際のポイントのひとつです。

ロードサービスも、“ダイレクト型だから対応が悪い”というようなことはなく、補償内容やロードサービスの拠点数などは保険会社によって異なります。

例えば、

  • 宿泊費用や移動(帰宅)費用の補償
  • ペットの預け先の補償

といった、“保険会社によっては付かない補償”を備えたい場合は特に、補償の中身をしっかりと確認した上で比較すると良いでしょう。

4.特約

保険会社によって特約の内容も変わることがあります。

同じ系列の保険会社であっても、ダイレクト型と代理店型を比べると、特約が変わるケースも見られます。

例えばMS&ADグループの自動車保険を例に挙げると、「入院・後遺障害時における人身傷害諸費用特約(※)」は代理店型では自動セットになりますが、ダイレクト型ではこの補償を付けることはできません。

いざというとき、“自分が必要な補償は何か?”を第一に考え、欲しい補償が受けられるかを必ず確認しましょう。

(※)事故により入院や後遺障害となった場合にかかる諸費用の補償が受けられる特約。

ホームヘルパーやベビーシッター等にかかる費用も対象です。

5.保険料

補償内容を十分に確認した上で、最後に保険料を比較しましょう。

一般的にダイレクト型の方が「インターネット割引」や、紙の証券を発行しない人に向けた「ネット証券割引」などの割引が充実しているケースが多くあります。

ただし、「ダイレクト型の方が安いと思っていたが、特約をプラスしていくと代理店型の方が安くなった」といったケースもないとは限りません。

ダイレクト型と代理店型、両社の保険料を比較することをおすすめします。

ダイレクト型と代理店型のメリット・デメリット

ここからはダイレクト型と代理店型、それぞれの自動車保険のメリットとデメリットを確認していきましょう。

また、メリット・デメリットを踏まえた上でそれぞれの保険に向いている人の特徴も解説します。

ダイレクト型自動車保険のメリット・デメリット

【ダイレクト型のメリット】

  • ネット上で契約手続きが完結する
  • 保険料が割安
  • 事故対応がスピーディー

代理店を通さずに保険会社と直接契約ができるダイレクト型は、ネット上で必要な情報を入力していくだけで簡単に申込みが可能です。

代理店に支払う手数料もない分、保険料は割安になる傾向にあるのも大きなメリットといえるでしょう。

また、事故時にも代理店を通さず直接保険会社とのやりとりをするため、スピーディーな事故対応を実感できる上、保険金支払いまでの流れが見えやすいといったメリットも挙げられます。

【ダイレクト型のデメリット】

  • 保険会社と直接やりとりしなければならない
  • 補償内容が適切かを自分で判断しなければならない
  • クレジットカードがないと月払いができないケースが多い

保険会社と直接やりとりを行うダイレクト型は、保険契約から事故時の保険金申請に至るまで、すべて個人で保険会社と連絡を取る必要があります。

代理店型であれば代理店の担当者が仲介に入り、保険会社とやりとりを進行してもらえることもありますが、ダイレクト型には頼れる担当者は付きません。

契約前に補償内容の確認を行いたいときも保険会社に直接問い合わせる必要があり、「自分に合った補償になっているか?」なども気軽に聞くのは難しいかもしれません。

また代理店型と比べて保険料は安く済むものの、クレジットカード以外の月払いには対応していない保険会社が一般的です。年間保険料が10万円前後かかる人にとってはデメリットとなる可能性があります。

代理店型自動車保険のメリット・デメリット

【代理店型のメリット】

  • 担当者に相談しながら補償を組み立てられる
  • さまざまな手続きを代行してくれる
  • 保険料が割高になる分、毎月払いに対応している
  • 代理店型ならではのサービスを受けられることも

代理店型は、なんといっても「担当者」の存在が心強いのではないでしょうか。

契約時、事故時、更新手続き時や解約時など、あらゆる場面で担当者に気軽に相談できるのは、難しい専門用語が飛び交う保険契約において大きなメリットだといえます。

また事故手続きの中で必要な保険会社とのやりとりを代理店が代行してくれる点も、「日頃忙しく保険会社からの電話をとりづらい」といった人にとってメリットになるでしょう。

代理店によってはキャンペーンを実施したり、独自のサービスを提供していたりすることもあり、親しみやすい雰囲気が特徴です。

保険料は割高になる傾向ではありますが、代理店型ではクレジットカードがなくても月払いに対応してくれるケースが一般的です。若い世代など、保険料が高額になる人にとってはメリットとなるでしょう。

【代理店型のデメリット】

  • 保険料が割高になる
  • 担当者が保険に詳しいとは限らない

代理店側に支払う販売手数料が保険料の中に含まれているため、その分どうしても保険料が割高になってしまうのが、代理店型のデメリットです。

また代理店といってもその形態はさまざまで、個人で経営している保険代理店もあれば、ディーラーや整備工場が代理店になるケースもあります。

日々保険を取り扱う専門家であれば安心できますが、ディーラーのスタッフなどは必ずしも保険に詳しいとは限りません。

「説明を受けたがよくわからなかった」

「付けたほうが良いと言われた特約が他の保険契約の補償と重複していた」

といったケースも考えられるため、“任せっきり”にならないよう注意が必要です。

ダイレクト型に向いているのはこんな人

ダイレクト型のメリット・デメリットを踏まえた上でダイレクト型自動車保険に向いている人をまとめると、以下のような人が挙げられます。

  • とにかく保険料を抑えたい人
  • 納得のいく補償内容を自分で選びたい人
  • 忙しく、代理店に行く時間がない人
  • 年間保険料を一括で支払える人

代理店型に向いているのはこんな人

対して、代理店型自動車保険に向いている人は以下の通りです。

  • 保険に詳しくなく、対面でしっかりと説明を聞きたい人
  • いざというとき相談できる担当者が欲しい人
  • 加入時や事故時などにサポートを受けたい人
  • 年間保険料が高額になるため、月払いを選択したい人

ダイレクト型にも代理店型にも、それぞれの良さが挙げられます。

向き・不向きを考慮しつつ、自分に合った自動車保険を選びましょう。

おすすめの自動車保険はこれ!

「で、結局どの保険会社にすればいいか分からない」という人のために、ダイレクト型と代理店型、それぞれでおすすめの自動車保険を3社ずつピックアップしました。

おすすめポイントもあわせて確認し、比較時の参考にしてください。

【ダイレクト型自動車保険TOP3】

まずはダイレクト型自動車保険のおすすめから紹介します。

1.ソニー損保

ソニー損保の特徴

  • 24時間365日事故受付、外国語事故対応サービスあり
  • セコム事故現場駆けつけサービスあり
  • 全国約10,000ヶ所のロードサービス拠点
  • 保険料は走る分だけ

ダイレクト自動車保険20年連続売上No.1の「ソニー損保」。保険料の安さや事故対応など、総合的な顧客満足度が高く、多くの人に選ばれ続けている保険です。

中でもユニークな特徴は、過去1年間の走行距離ではなく「予想走行距離」で保険料を算出する点。申告した走行距離を超えた場合はその分の保険料を支払う必要がありますが、余った分は翌年に繰り越され、割引が受けられる仕組みになっています。

事故対応には専用アプリをダウンロードすることでGPSを活用し、スムーズに場所の特定ができるのもうれしいポイントです。

ソニー損保の公式サイトはこちら

2.セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)

セゾン自動車火災保険(おとなの自動車保険)の特徴

  • 1歳刻みで変わる保険料。事故率の低い世帯の保険料を割安に
  • 保険料は走った分だけ
  • 24時間365日事故受付
  • ALSOK事故現場安心サポートあり
  • 全国約13,000ヶ所のロードアシスタンス拠点

「40代・50代の保険料を安く」のキャッチコピーで一躍話題となった「おとなの自動車保険」。1歳刻みで保険料が変わるので、事故率が低い年齢に近づくにつれ割引率が高くなり、保険料が安くなるという合理的な仕組みを取り入れています。

さらに独自の割引を設けているほか、基本補償以外の特約をオプションにすることで自由に補償を選びやすく、保険料を抑えやすくなっているのも大きな特徴です。

おとなの自動車保険の公式サイトはこちら

3.イーデザイン損保

イーデザイン損保の特徴

  • 保険料は走った分だけ
  • 24時間365日事故受付
  • セコム事故現場急行サービスあり
  • ロードサービス拠点は全国約9,300ヶ所
  • もらい事故でも専任担当者のサポートが受けられる

東京海上日動グループが提供する「イーデザイン損保」。ロードサービスやセコムの現場急行サービスなど、基本的な補償が充実しています。

さらに2021年11月より、スマートフォンと車を連携させる“デジタル時代の共創型自動車保険”「&e(アンディー)」が発売され、注目が集まっています。

イーデザイン損保の公式サイトはこちら

【代理店型自動車保険TOP3】

続いて、代理店型自動車保険のおすすめ商品を紹介します。

1.AIG損保

AIG損保の特徴

  • 24時間365日事故受付・初期対応
  • 緊急アシストサービスあり
  • 自転車事故のリスクもカバー可

AIG損保最大の特徴は、人身傷害保険の補償範囲に「自転車事故による傷害」も含まれている点です。補償の対象になるのは被保険者の家族全員なので、自転車に乗る機会があるご家庭にとって大きなメリットとなるでしょう。

AIG損保の公式サイトはこちら

2.損保ジャパン

損保ジャパンの特徴

  • 24時間365日事故受付・初動対応
  • ロードアシスタンスの拠点は全国約17,000ヶ所
  • 「つながるドラレコDriving!」で事故時も安心

業界最大規模のロードアシスタンス拠点数を誇り、事故時やトラブル発生時の素早い対応が評判の「損保ジャパン」。事故対応専任スタッフは10,000人以上。さらに事故相手が外国人だったときのために、21か国語での事故対応を可能にしています。

損保ジャパンの公式サイトはこちら

3.三井住友海上

三井住友海上の特徴

  • 24時間365日専門スタッフが受付
  • 夜間、休日も初期対応を実施
  • ロードサービス拠点は全国約4,600ヶ所
  • 「プレミアムドラレコ型」で事故や安全運転をサポート

業界大手の「三井住友海上」。代理店型ならではの強みを生かしたさまざまな特約を用意しており、補償を充実させることができます。

ロードサービスの補償内容も充実しており、例えばレッカーけん引の移動距離は安心の500kmまで対応可能。自分で手配したレッカーも補償範囲に含むなど、手厚い補償が特徴です。

三井住友海上の公式サイトはこちら

※参考: J.D. パワー 2022年自動車保険事故対応満足度調査「顧客満足度ランキング」より

まとめ:自分に合った自動車保険を選ぼう

一般的に代理店型よりもダイレクト型の自動車保険の方が、保険料が抑えられる傾向にあります。

しかし、保険料だけで選んでしまうと必要な補償を用意できない可能性も生じるため、必ず「補償内容」もあわせて確認することが大切です。

それぞれの違いを押さえて、自分に合った自動車保険を選びましょう。

対物賠償責任保険とは?補償内容や対物超過修理費用補償との違いを解説

自動車の任意保険の補償の中で、もっとも大切なのは「相手方に対する補償」

いざというときのトラブルを最小限に抑えるために加入する保険なので、特に事故の相手方に対する補償はしっかりと備えておきたいものです。

「対物賠償責任保険」は、自動車事故における“物損”の損害賠償金を負担してくれる大事な保険です。

今回は自動車の任意保険における対物賠償責任保険の補償内容や、設定すべき保険金額について解説します。

併せて検討しておきたい「対物超過修理費用」の特約の内容についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

対物賠償責任保険とは

対物賠償責任保険は、事故の相手方の車をはじめとする、“モノ(=財物)”に対して生じる損害賠償金を補償してくれる保険です。

補償の対象は相手の車だけとは限りません。

例えば事故の相手が車ではなく自転車だった場合、こちらの過失によって相手方の自転車が壊れてしまったときは、「対物賠償責任保険」から自転車の修理費が支払われます。

車や自転車といった乗り物に限らず、自動車事故の衝撃で他人のモノを壊した場合であれば、補償が適用されます。

▶対人賠償責任保険の補償内容はこちら

対物賠償責任保険と車両保険の違いは?

意外にも間違えやすい「対物賠償責任保険」と「車両保険」の違いについて。

自動車事故の際、いずれも「車に生じた損害」を補償してくれる保険にあたりますが、大きな違いは補償の対象、すなわち「誰の車に対する補償なのか」による違いです。

対物賠償責任保険は事故の相手方に対する補償なので、“他人”が所有する車の損害を補償してくれます。

車両保険は、自分の車が損害を受けた場合に保険金が受け取れる仕組みの保険です。車両保険には事故の相手方に対する補償の役割は一切ありません。

▶車両保険の保険料・保険金はこちら

対物超過修理費用補償特約とは?

対物賠償責任保険と併せて紹介されることが多い「対物超過修理費用補償特約」。

対物賠償の保険金が支払われる事故において、相手の“車”の修理費が時価額を超えた際、対物賠償責任保険では賄えない部分の補償が受けられるのが特徴です。

限度額は50万円に設定されることが多く、最近では対物賠償がつく保険に自動セットされている保険商品も多くあります。

対物賠償責任保険の補償内容

次に対物賠償責任保険の補償内容について詳しく見ていきましょう。

こちら側に過失がある自動車事故によって他人の財物が壊れた際、相手方に支払う損害賠償金が補償されるのが「対物賠償責任保険」の役割です。

物損の損害賠償の種類は、「直接損害」と「間接損害」の大きく2つに分けられます。

直接損害

直接損害とは、車や自転車など壊れた“モノ”に対して生じる損害のことをいいます。

  • 相手方の車や自転車の修理費
  • 建物の修復費用(お店に突っ込んだ事故など)
  • 事故の衝撃によって破損した他人のスマホ

など、他人の財物に直接生じた損害は「直接損害」にあたります。

間接損害

間接損害とは、相手のモノを壊した結果、生じた損害のことです。

例えば路線バスに衝突し、バスの運行予定時刻を大幅に狂わせてしまった場合、運行の遅れによって生じた損害が「間接損害」にあたります。

一般的には直接損害がメインになりますが、事故の影響によって他人になんらかの損害を与えてしまった場合には、間接損害の賠償請求が発生するケースもあります。

【具体例】

  • 店舗に突っ込み、休業させた
  • 誤って線路に立ち入り、電車の運行を停止させた など

保険金が支払われないケース

続いて、対物賠償責任保険からの保険金が受け取れない事故についても確認していきましょう。

まず、下記のいずれかの人が所有・使用・管理する財物に生じた損害は、補償の対象外となっています。

  • 記名被保険者
  • 契約の車を運転中の人またはその配偶者
  • 契約の車を運転中の人の父母または子(同居している場合)
  • 被保険者またはその配偶者
  • 被保険者の父母または子(同居している場合)

対人賠償同様、家族関係にある人同士で起きた事故は、基本的に補償の対象外です。

また、モノ自体は他人の所有物であっても、その人の許可を得て使用中に発生した事故の場合は、対物賠償責任保険からは保険金が支払われません。

 

なお、下記の事故により生じた損害も補償の対象外ですのでご注意ください。

  • 契約者または被保険者の故意により発生した損害
  • 台風、洪水、高潮といった水災害に起因する損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

対人賠償同様、相手方に対する補償なので、こちらが飲酒運転や無免許運転といった違反をしていた場合であっても補償の対象にはなります。

対物賠償責任保険の保険金額

対物賠償責任保険の保険金額は、いくらが適切なのでしょうか。

やはり、相手方に対する補償は「無制限」に設定するのがおすすめです。

事故の相手や事故状況、損害を与えた場所など、事故によって補償すべき金額は大きく異なりますが、こちらも対人賠償保険同様、少額で済むような事故ばかりとは限りません。

実際に高額賠償の事例もあるので一部紹介します。

認定損害額 裁判所 事故年月日 判決年月日 被害物件
2億6,135万円 神戸地裁 1985.5.29 1994.7.19 積荷

(呉服・洋服・毛皮)

1億3,450万円 東京地裁 1991.2.23 1996.7.17 店舗

(パチンコ店)

1億2,036万円 福岡地裁 1975.3.1 1980.7.18 電車・線路・家屋
1億1,798万円 大阪地裁 2007.4.19 2011.12.7 トレーラー

参考:損害保険料率算出機構 2021年度自動車保険の概況「第43表 交通事故高額賠償判決例(物件事故)より

高額賠償の事例を見る限り、店舗や電車、トレーラー、積荷といった物件事故は、賠償金が高くなる傾向にあるようです。

どんなに気を付けて運転していても事故はいつどんな風に発生するか予測不可能なもの。

もらい事故であってもこちらに過失割合が1割でもついてしまえば、相手方に対して損害賠償金を支払う必要性が生じます。

また、強制加入である自賠責保険からは、物損に対する補償は一切受けられません。

万が一に備える意味でも、対物賠償の保険金額は「無制限」に設定しておくと安心できるでしょう。

対物賠償責任保険が適用となる事故の例

ここではよくありそうな事例を挙げて、対物賠償責任保険が適用となる事故について確認していきましょう。

【例1:信号待ちしていた前の車に衝突し、リアバンパーの修理が必要となった】

信号待ちで停車中の車に後ろから衝突した場合、過失割合は10:0とされるケースが一般的です。この場合、相手方の車の修理費を全額負担する必要があります。

対物賠償責任保険から補償されるのは車の時価額まで。万が一年式の古い車で時価額が著しく低い場合は修理費が時価額を上回ってしまい、結果的に保険だけでは賄えなくなる可能性が生じます。

【例2:運転操作を誤って店舗に突っ込んでしまった】

店舗に突っ込んだ場合も、過失割合は10:0です。

お店の窓ガラスが割れた、店内に陳列されていた商品にも傷を付けてしまったなど、さまざまな損害が懸念されますが、これらは対物賠償責任保険から補償が受けられます。

お店側が休業を余儀なくされた場合、休業期間中の損失や従業員の給与などを賠償しなければならないケースもあります。

こんな事故の場合は……?

自宅の駐車スペースにうっかり車をぶつけて、車庫が損傷してしまうといった事故もあるでしょう。そんなとき、果たして対物賠償責任保険から保険金が受け取れるのでしょうか?

ポイントは、駐車スペースが「自己所有物」または「他人の所有物」かどうかにあります。

  • 一戸建ての場合→NG(自損事故保険や車両保険から補償)
  • マンションやアパートなどの共用スペースが損傷した場合→OK

自己所有の一戸建てにある車庫の場合、自己所有物を破損したことになるので、相手方の損害を補償する対物賠償責任保険からの補償は受けられません。

もし自宅がマンションやアパートの場合、車庫は共有物にあたるため、対物賠償責任保険から補償を受けることができます。

対物賠償責任保険の注意点

ここまでの解説で、対物賠償責任保険は「時価額を限度に補償」といった話も挙げてきました。中には「保険金額を無制限にしていたら関係ないのでは?」といった疑問を浮かべる人もいるかもしれません。

実はここに対物賠償責任保険の落とし穴があります。

対物賠償責任保険で補償される範囲は、車の時価額まで。実際に支払われた修理費や買い替え費用などをまるごと補償してくれるわけではありません。

事故の相手方の車の年式が古いケースでは、修理費が時価額を超えてしまうこともありますが、その場合、超過した分は自腹で支払う必要があります。

保険金額を「無制限」に設定していても、必ずしも全額が補償されるわけではない点に注意しましょう。

対物超過修理費用補償特約は必要?

前項で挙げた注意点を回避するために「対物超過修理費用補償特約(※)」が必要になります。(※)正式名称は保険商品により異なります。

ここで、「対物賠償責任保険」と「対物超過修理費用補償」の違いをおさらいしましょう。

名称 補償内容 特徴
対物賠償責任保険

(基本補償)

事故の相手方の財物を壊したことにより生じた損害賠償金を補償 相手の車に対する補償は「時価額まで」しか適用されない
対物超過修理費用補償

(オプション)

相手方の車の修理費が時価額を上回った場合、50万円を限度に保険金が支払われる 対物賠償の弱点をカバーできる

基本的な補償が「対物賠償責任保険」で、車の修理費が時価額を超えた場合のみ補償が受けられる特約が「対物超過修理費用補償」にあたります。

両方セットにすることで補償を充実させることができます。

対物超過修理費用補償の特約保険料は数百円程度で済むため、事故による思わぬ出費を抑えるためにも備えておくのがおすすめです。

最近では、対物超過特約が自動付帯されている保険商品も多くあります。

迷ったらあらかじめ特約がセットになった商品の中から選ぶのも良いでしょう。

まとめ:対物賠償には対物超過修理費用補償もつけよう

対物賠償責任保険は、相手方の車やモノが損傷し、損害賠償責任が生じたときに補償が受けられる保険です。

しかし特に古い年式の車の場合、修理費が時価額を超えるケースがあるため、保険金額を「無制限」に設定した対物賠償責任保険であっても十分に補償を受けられないことがあります。

対物賠償にはオプションの「対物超過修理費用補償」も付けておくと安心できるでしょう。

補償を正しく理解して必要な補償を選びとり、無駄なく安心できる保険に加入しましょう。

対人賠償責任保険とは?補償内容や人身傷害保険との違いについて解説

自動車の任意保険において欠かせない補償のひとつとなる「対人賠償責任保険」

なんとなく理解しているようでも、いざ補償内容を聞かれると正確に答えられない人も多いのではないでしょうか。

補償内容を理解していないと契約時、適切な保険金額を設定できない可能性が生じるため、それぞれどういった補償が受けられるのか知っておくことは大切です。

今回は、任意自動車保険に付帯する「対人賠償責任保険」の補償内容や設定すべき保険金額について詳しく解説します。

名称を聞くだけでは区別が難しい「人身傷害保険」との違いについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

対人賠償責任保険とは

対人賠償責任保険とは、事故の相手方に生じたケガや死亡・後遺障害による治療費や慰謝料といった「損害賠償金」を補償する保険です。いわゆる「人身傷害」に対する補償が受けられる保険にあたります。

便宜上、人身傷害に対する補償の名称は「対人賠償責任保険」と「人身傷害保険(補償)」の2つに分けられています。

いずれも人身傷害、すなわち「人」の「身」に生じた「傷害(ケガ)」に対する補償が受けられますが、その中でも「対人=相手の人」のケガに対する損害賠償金を補償してくれるのが対人賠償責任保険です。

相手方に対する人身傷害補償は、自賠責保険から優先して保険金が支払われます。

しかし自賠責保険で受け取れる補償は、ケガの場合で120万円、死亡の場合で3,000万円、重度の後遺障害の場合で4,000万円とそれぞれ限度額が決められているのが特徴です。

自賠責保険の上限を超えた分の損害賠償金をカバーする目的で加入するのが「対人賠償責任保険」です。

https://insurance.frm.media/car/post/car-insurance

対人賠償責任保険の補償内容

続いて、対人賠償責任保険の補償内容について詳しく見ていきましょう。

「保険金が支払われるケース」「誰に対する補償なのか」「補償の対象外となる人物は誰か」「補償がおりないケースはあるのか」の4つのポイントから解説します。

保険金が支払われるケース

対人賠償責任保険において保険金が支払われるケースは、以下の通りです。

  • 事故の相手が死亡したとき
  • 事故の相手が後遺障害を負ったとき
  • 事故の相手がケガをしたとき

これらに付随する治療費や休業損害、逸失利益や葬儀費用などが支払われます。

なお自賠責保険の基準では、補償が受けられるのは「車の運転中に起きた事故のみ」となっています。

一方で任意保険の対人賠償責任は、運転中に限らず、車の「所有・使用・管理」上、なんらかの問題が生じて発生した人身事故において補償が受けられるのが特徴です。

誰に対する補償なのか?

対人賠償責任保険は、自分以外の他人に生じた傷害に対する損害賠償金を補償する保険です。基本的には、事故の相手方が補償の対象になると考えて問題ないでしょう。

また自分の車に家族以外の同乗者がいて、事故により負傷した場合は、その人に対しても対人賠償責任保険から優先的に保険金が支払われます。

補償対象外になる人物

対人賠償責任保険から保険金が受け取れない人物は、ざっくりと「家族関係にある人」と考えておいて良いでしょう。

具体的には以下の人物が挙げられます。

  • 記名被保険者
  • 契約の車を運転中の人またはその配偶者
  • 契約の車を運転中の人の父母または子(同居中に限る)
  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者の同居の父母または子
  • 被保険者の業務に従事中の使用人
    ※記名被保険者・・・主に車を運転する人
    ※被保険者・・・保険の対象となる人

上記に挙げた人が、運転中の事故によってケガをしたとしても、対人賠償責任保険からは補償が受けられません。

代わりに自賠責保険や任意保険の人身傷害保険といった部分からの補償が受けられます。

補償がおりないケース

続いて、上記に挙げた「人」以外の理由で対人賠償責任の補償が受けられなくなるケースについても確認してみましょう。

  • 契約者または被保険者の故意により発生した損害
  • 台風、洪水、高潮といった水災害に起因する損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

対人賠償責任保険の補償範囲は、運転中以外にも車の所用・使用・管理における損害について幅広く設定されているものの、基本的な自然災害によって生じた事故に関する補償は受けられません。

ただし、無免許運転や飲酒運転といった違反運転が原因で起きた事故については、補償が受けられるのがポイントです。

対人賠償責任保険の保険金額

「被害者の救済のため、最低限の補償を提供する」といった目的で強制加入となっている自賠責保険では、ケガ・死亡・後遺障害、それぞれのケースにおいて補償の上限額が決められています。しかし、事故の相手が被った損害がすべて数千万円で事足りるとは限りません。

過去の事例の中には高額な賠償請求も見受けられるため、万が一に備える意味でも保険金額は「無制限」で設定するのがおすすめです。

以下、実際に起きた交通事故による高額賠償請求の事例を記載したのでご覧ください。

認定損害額 態様 事故年月日 判決年月日 被害者の

年齢・性別

被害者の職業
5億2,853万円 死亡 2009.12.27 2011.11.1 41歳・男性 眼科開業医
4億5,375万円 後遺障害 2012.11.1 2017.7.18 50歳・男性 コンサルタント
4億3,961万円 後遺障害 2010.11.9 2016.12.6 58歳・女性 専門学校教諭
3億5,929万円 後遺障害 2010.7.22 2018.11.27 14歳・女性 中学生

参考:損害保険料率算出機構 2021年度自動車保険の概況「第42表 交通事故高額賠償判決例(人身事故)より

高額な損害賠償請求に当てはまる事故であっても真摯な対応ができるよう、十分な保険金額を設定しましょう。

対人賠償責任保険から支払われる項目

対人賠償責任保険からはどのような費用に関する補償がされているのでしょうか。

相手方に支払われる項目には、以下のような種類が挙げられます。

ケガの場合 後遺障害の場合 死亡の場合
治療費 治療費 治療費
休業損害

(仕事を休んだ場合)

逸失利益 葬儀費
通院交通費 通院交通費 逸失利益
慰謝料(精神的損害) 慰謝料(精神的損害) 慰謝料(被害者本人および遺族)

補償されるのは治療費など実際にかかった費用だけではありません。

仕事を休んだことによる「休業損害」や「精神的損害」など、目に見えない費用に関しても「損害賠償金」として算出され、相手方に支払われます。

対人賠償責任保険が適用となる事故の例

対人賠償責任保険の補償内容について、ご理解いただけたでしょうか。

より理解を深めていくため、ここでは対人賠償責任保険が適用となる事故の例を見てみましょう。

【例1.運転操作を誤って対向車と衝突し、相手にケガを負わせた】
自分の車:同乗者なし、自分自身も負傷
相手の車:同乗者1名(ケガ人は計2名)

この場合、相手方のケガに対する損害賠償は「対人賠償責任保険」から補償されます。

自分のケガに対する補償は「人身傷害保険」から保険金が受け取れる仕組みです。

【例2.運転中、誤ってガードレールに衝突。近くにいた歩行者が事故の衝撃から転倒し、負傷した(同乗者である友人も負傷)】
自分の車:友人1名が同乗(軽傷)
相手:歩行者1名がケガ

この場合対向車はいませんが、歩行者を負傷させてしまったので、歩行者に対して「対人賠償責任保険」から損害賠償金が支払われます。

そして自分の車に同乗していたのが友人なので、この友人に対しても「対人賠償責任保険」から治療費などの損害賠償が補償されます。

なおこの友人は、対人賠償責任保険以外に人身傷害保険からも補償を受けることができます。

対人賠償責任保険と人身傷害保険の違いは?

任意の自動車保険には、人に対する補償として「対人賠償責任保険」と「人身傷害保険」の2種類があることを冒頭で解説しました。

どちらも「人」のケガや死亡・後遺障害に対する補償ですが、両者の決定的な違いは「補償の対象となる人」です。

  • 対人賠償責任保険・・・事故の相手方に対する補償(同乗者も家族以外の他人であれば対象)
  • 人身傷害保険・・・自分を含む同乗者(家族も他人も対象)

 

また、対人賠償責任保険には過失割合により補償が減額されるケースもありますが、人身傷害保険には過失相殺が発生しないといった違いもあります。

https://insurance.frm.media/car/post/jinshinshogai

示談交渉サービスとは?

任意の自動車保険には、多くの場合「示談交渉サービス」が自動で付いてきます。

示談とは調停や裁判といった形ではなく、当事者間の話し合いによって事故を解決する方法です。自動車事故においては過失割合や損害賠償の金額などを交渉することになるでしょう。

任意保険に付帯する「示談交渉サービス」を使えば、保険会社が示談にて事故の解決ができるよう、相手方(もしくは相手方の保険会社)と交渉を進めてくれます。

まとめ:対人賠償責任保険は「無制限」で加入しよう

対人賠償責任保険は、事故の相手方の身体に生じた損害に対する損害賠償金を補償する保険です。

事故の度合いによっては高額賠償に当てはまる可能性も十分に考えられます。

対人賠償責任保険の保険金額を少なくすると補償が足りずに「損害賠償金が支払えない」といった事態にもなりかねません。

万が一に備えて、対人賠償責任保険は「無制限」で設定するのがおすすめです。

補償内容をしっかりと理解して、適切な保険金額を備えた保険に加入しましょう。

自動車事故を起こしてしまったら?保険の請求手続きや解決までの流れ

どんなに安全運転を心がけていても起こり得る自動車事故

万が一に備えて任意保険に加入はするものの、実際に事故を起こしてしまったとき、どのように保険金を請求するのか気になったことはありませんか?

せっかく保険に入っても、いざというときに利用できなければ意味がありませんよね。

大まかな手続きの流れを知っておくだけでも、事故が起きた際、慌てずに対応できるでしょう。

今回は、自動車事故が発生した際の保険金請求手続きの方法や事故解決までの流れについて、詳しく解説します。

事故発生時点で保険会社に連絡しよう!

突然の交通事故。どうしよう!と焦る心をぐっと落ち着かせて、冷静に対応することが大切です。

自動車事故が発生したら、ドライバーの義務として最初に必ずやるべきことが3つあります。

  1. ケガ人の救護
  2. 事故現場の安全確保(二次被害軽減のため)
  3. 警察に通報

これらは、道路交通法に定められた運転者の義務です。事故が起きたら安全な場所に車を停め、警察や救急が来るまで適切な対応をとりましょう。

任意保険会社への連絡はその後です。事故状況によってはその場で保険会社に連絡する余裕は、実際にはないかもしれません。しかし可能な限り、事故現場上で事故の発生を報告した方が、その後の対応がスムーズに進みます。

事故の記憶も時間が経つと薄れてしまうので、状況を正しく報告するためにもなるべく早めに保険会社へ連絡しましょう。

自賠責保険の保険会社にも連絡すべき?

自賠責保険の保険会社への報告は、基本的に加入中の任意保険会社がしてくれます。

自賠責保険金の請求手続きも、任意保険会社が代行して済ませるケースが一般的なので、通常は自賠責の保険会社への連絡は不要です。

ただし、事故発生時に任意保険に未加入だった場合は、自賠責の保険会社への連絡が必要となります。

事故連絡時、保険会社に伝えることは?

事故状況にもよりますが、事故の相手方の情報を聞かれることがあります。

  • 相手の名前
  • 相手の住所
  • 相手の電話番号
  • 相手の車のナンバー
  • 相手の加入中の任意保険会社

を最低限控えておくとスムーズです。

また、事故発生時の状況や双方のケガの度合いなども聞かれるため、まずは現状を伝えましょう。

事故現場の住所を特定するのは難しいですが、電柱に貼られている住所や管理番号、自販機の住所表記、コンビニの店舗名などを目印に、ある程度の情報は伝えられるようにしておくのがおすすめです。

事故後の流れ

続いて、事故後の流れについて見ていきましょう。

保険金の請求手続きは、任意保険会社側が進めてくれるのが一般的です。

自分が加害者であるか被害者であるかによっても、用意する書類や手続きにかかる期間は異なりますが、基本的には保険会社がサポートしてくれるので安心してください。

保険金が支払われるまでの間、自分は何をするべきなのか?

ここでは事故発生後から保険金請求までの大まかな流れについて解説します。

1.治療開始

自分が加害者であるか被害者であるかにかかわらず、まずは病院に行くことが大切です。

事故の衝撃は思わぬところに支障をきたしている可能性が考えられます。事故との利害関係が曖昧にならぬよう、事故日から日を空けずに通院しましょう。

「自分が加害者の場合は関係ない?」と思った人は要注意。例え自分が加害者側であっても、人身傷害や搭乗者傷害といった補償を付けていれば、治療費や休業損害などを請求することが可能です。

また自分だけでなく同乗者も、人身傷害や搭乗者傷害から補償が受けられます。

万が一任意保険に加入していなくても、同乗者のケガに関しては自賠責保険の適用が可能です。

加害者・被害者問わず、ドライバーだけでなく、同乗者にも必ず病院へ行ってもらい、身体に異常がないか確認してもらうことをおすすめします。

2.保険金請求書を郵送

次に「保険金請求書」「事故発生状況報告書」などの書類を任意保険会社宛てに送付します。

必要な書類はすべて保険会社側が用意して郵送してくれるので、必要事項を記入し、決められた期間内に書類を返送します。

事故が解決するまでは、保険会社とのやりとりが肝心です。頻繁に電話がかかってくることもありますが、保険金の支払いがすべて終わるまでは誠実に対応しましょう。

3.損害調査&示談交渉(保険会社)

事故報告を受けた保険会社は、その事実を確認するため「損害調査」を行います。

また、相手方との示談交渉も保険会社を通じて進行されます。

損害調査や示談交渉を進めていくにあたって、こちらが何かをする必要は特にありません。

4.保険金支払い完了

保険金の支払いは、保険金の種類ごとに支払い時期が異なるのが特徴です。そのため対応が終了した分から順次保険金が支払われ、支払い完了のお知らせが保険会社より届きます。

自分宛てに支払われる保険金の詳細はもちろん、相手方に支払われた保険金の詳細も「事故解決の案内」として報告されます。

保険金請求に必要な書類

「保険金の請求って役所に行かないともらえない書類が必要だったりするの?」

「手間がかかりそうだよね」

などと敬遠する人も中にはいるかもしれません。

しかし死亡事故のような大きな事故でない限り、複雑な書類が必要になることはないので安心してください。

事故の種類や請求する保険金の種類によっても異なりますが、保険金請求には主に下記の書類が必要になります。

保険金請求書 請求する保険金の種類や保険金支払先の口座情報など保険金の請求に必要な基本情報を記入する書類
同意書 医療機関が保険会社に治療費等を請求するために、患者の医療情報等の取得を保険会社が直接行うことに同意する旨の書類
事故発生状況報告書 事故状況図や事故の原因や状況図の説明などを記入する書類
交通事故証明書 交通事故の発生を公的に証明する書類。事故現場で警察により発行される
診断書 ケガの症状や治療機関などを記した、医師によって作成される書類(※病院によって診断書作成料が発生する)
示談書 事故の内容と解決の内容を記した書類。当事者双方の署名・捺印が必要となる

こちらで何か記入しなければならない書類に関しては、基本的にすべて保険会社が用意してくれます。指示に従って必要事項を記入したうえで、速やかに返送しましょう。

この他にも状況に応じて、

  • 通院交通費明細書
  • 治療費領収書
  • 診察券のコピー
  • 人身事故証明書入手不能理由書
  • 休業損害証明書
  • 所得証明書
  • 後遺障害診断書

などといった書類を準備しなければならないケースもあります。

住民票や印鑑証明書のような、取寄せに手間がかかるような書類が必要になることはあまりありません。

保険金が支払われるまでの期間は?

すべての保険金が支払われる=事故解決の意味にも当てはまります。できるだけ早く事故が解決してくれた方がありがたいですよね。

とはいえ保険金が支払われるまでの期間は、事故の状況や請求する保険金の種類によってさまざま。一般的には事故対応が終了した保険金から順番に支払われていきます。

すべての保険金が支払われるまでには、最低でも半年~1年以上かかるケースが多いでしょう。

代表的な保険金の種類は以下の通りです。

保険金の種類 保険金の内容(保険金が支払われるタイミング)
相手方への補償 対人賠償保険金 相手方の治療費や休業損害、慰謝料、通院交通費など(治療が完了したら)
対物賠償保険金 相手方の車の修理費など(修理が完了したら)
自分に対する補償 人身傷害保険金

(自賠責保険金を含む)

自分や同乗者の治療費や休業損害、精神的損害、通院交通費など(治療が完了したら)
搭乗者傷害保険金 自分や同乗者の入院または通院に対して支払われる一時金(一定期間入院または通院したら)
自損事故保険金 電柱やガードレール、植栽、建物との衝突などによる死傷を補償(治療が完了したら)
車両損害保険金 事故により自分の車が損傷した際の修理費等を補償(修理が完了したらまたは全損と判断されたら)

この他にも「弁護士費用特約」や、車両保険の中でも「レンタカー費用特約」などを付帯していれば、該当する特約からも保険金が受け取れます。

この中でもっとも早く支払われるのは、自分に対する補償である「搭乗者傷害保険金」です。

ケガの度合いや治療日数、後遺障害の有無にかかわらず、自分または同乗者がある一定期間治療のために通院すれば、あらかじめ決められた保険金が支払われる仕組みだからです。

もし自分が加害者だとしたら、被害者より先に保険金を受け取るのははばかれるかもしれませんが、相手方への保険金も必ず支払われるので安心してください。

被害者が受け取れる保険金は「対人賠償保険金」「対物賠償保険金」の2種類。

対人賠償保険金は、被害者のケガの度合いにより、保険金支払いまでに最低でも3~6ヶ月以上の時間がかかります。

「症状固定」と診断され、後遺障害等級認定の申請までいくと、さらに時間がかかるでしょう。後遺障害等級認定が診断された後に、ようやく相手方へ保険金が支払われます。

対物賠償保険金は、相手方の車の修理費がメインになるでしょう。

こちらは車の修理が終わり、最終的な修理費用が決定したら保険金が支払われるイメージです。

状況によっては事故解決までに1年以上の期間を要するケースもあります。

保険金請求にかかわる事故対応の注意点

実は「任意保険に加入していれば必ず保険金が受け取れる」というわけではありません。

酒気帯び運転や故意に起こした事故などはもちろんNGですが、特に違反をしていなくても事故後の対応によっては保険金請求ができなくなることもあるのです。

ここでは保険金の請求にかかわる、事故対応のNG例を紹介します。

その場で示談交渉をするのはNG

軽い事故にありがちですが、当事者同士がその場で示談交渉をするというのは絶対にやめましょう。例え口約束だけの示談であっても、成人同士であれば法的な効力があるとみなされるため、一度取り付けた示談を覆すことは困難だといえます。

その場では大丈夫だと思っても、後々身体の調子がおかしくなったり、よく見たら車に大きな傷が付いていたりと、本来であれば保険金が請求できる状況だったというケースはよくあります。

一度示談交渉をしてしまうと保険会社が介入する余地もなくなり、保険金が請求できなくなる可能性が高くなるため、当事者間の示談交渉は避けましょう。

警察に通報しないのはNG

事故の発生を警察に通報するのは、道路交通法で定められたドライバーの義務です。

軽微な事故だからといって、警察に通報しないという選択肢をとるのは絶対にやめましょう。

また、警察が発行する「交通事故証明書」がなければ、保険金の請求もできなくなります。

自分にとっても不利益でしかないため、事故後の通報は必ず行いましょう。

通報するのは、加害者・被害者どちらであっても構いません。どちらかが一度110番をすれば大丈夫です。

例え軽微な事故であっても、正しい手順で事故対応をとるのが大切です。

トラブルを防ぐためにも自己判断での対応は避け、保険会社を味方につけると良いでしょう。

まとめ:自動車事故が起きたら任意保険会社に連絡しよう

自動車事故が発生してしまったら、まずは落ち着いて冷静に対応することが大切です。

事故現場におけるケガ人の保護や交通整理、警察や救急への通報など、実際に事故が起きると、状況によってはその場の対応に追われてしまうかもしれません。

それでもしっかりと適切な対応をとった上で、なるべく早めに任意保険会社へも事故の発生を連絡し、今後の指示を仰ぎましょう。

その場で相手方と示談交渉をしてしまうのは絶対にNG。

トラブルを防ぎ自分の身を守るためにも、いざというときこそ保険会社に頼ってください。

自動車の任意保険はいつ加入する?契約の流れやタイミングを解説

初めて契約する自動車の任意保険。加入を決意したものの、

「どこで手続きしたら良いのかな?」

「いつ加入するべきなんだろう?」

などと疑問に思う人は多いのではないでしょうか。

任意保険の契約が初めての場合「本当に自分のやり方は合っているのか?」と不安になることがあるかもしれません。一般的な流れを知っておくだけで、安心して契約に臨めるでしょう。

今回は、初めて自動車の任意保険に加入する人に向けて、任意保険の加入のタイミングや契約の流れについて解説します。

自動車の任意保険に加入するタイミングは?

自動車の任意保険は「車を持つことが決まったら」、忘れないうちに加入手続きを済ませることをおすすめします。「保険始期日」を納車日に設定すれば、補償開始まで保険料が発生することはありません。

そのため車の購入契約を交わし、納車日が決定したら、納車前に加入するのが理想です。

また、車を譲り受ける場合も、車や自賠責保険の名義変更と平行して任意保険の契約も早めに済ませましょう。

とはいえ任意保険は自賠責保険と違って、法律で加入が定められているわけではないため、なんらかの理由で任意保険の加入を見送っていた、もしくは忘れていたという人もいるかもしれません。納車後すぐに加入しなくても、特に大きな問題はないため安心してください。

しかし、任意保険に加入しようと“思っている”だけでは、補償を受けることはできません。事故が起きてからでは遅いので、保険に加入しようと思ったタイミングですぐに行動することが大切です。

自動車の任意保険契約までの流れ

それでは、自動車の任意保険の契約に至るまでの流れについて見ていきましょう。

それぞれの状況に応じて異なるケースもありますが、契約の流れは大きく3ステップに分かれます。

1.見積もりをとる or 損保会社に問い合わせ

納車日が決まったら、まずは見積もりをとりましょう。特に初めて自動車保険に加入する人は、保険料の相場や一般的な補償内容を知る上でも一括見積りをとるのがおすすめです。

もし加入したい保険会社や保険商品が決まっている場合は、一括ではなく個々に見積もりをとることもできます。その場合は、保険会社の公式サイト上で見積もりを出しても良いですし、電話で直接問い合わせてみるのも良いでしょう。

見積もりの段階で車種情報が必要になるケースが多いため、可能であればあらかじめ車検証を準備しておきます。

2.補償内容を決める

見積もりを依頼すると、「シンプルプラン」「標準プラン」「充実プラン」のように3パターンほどの補償プランが保険会社から提示されます。

その中から自分に合った補償内容のプランを選びましょう。

見積もりの段階で保険会社から提示されたプランは、必ずしも自分のカーライフに合うとは限りません。必要であれば特約をつけたり補償金額を変えたりするなど、自分好みにカスタマイズすることも可能です。

3.決定したプランで申込み

最終決定したプランで、いよいよ契約手続きを進めていきます。

申込み時点でも車が手元にある必要はなく、「納車日」さえ決まっていればOKです。

ディーラーから自宅へと車を持ち帰る(=運転する)ときから補償がスタートするように配慮して、契約手続きを済ませておきましょう。

契約場所や契約の手順については、加入するのが「代理店型自動車保険」か「ダイレクト型自動車保険」かによって異なります。

自動車の任意保険の契約手順

任意保険の契約に際し、代理店型保険とダイレクト型保険の大きな違いは「契約可能な場所」。代理店型は保険代理店に出向く必要があるのに対し、ダイレクト型はネット上で手続きが完了するのが特徴です。

自動車の任意保険の契約手順について、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。

代理店型の場合

代理店型自動車保険の場合、保険代理店の窓口に直接出向いて契約手続きを行います。

担当者によっては自宅まで足を運んでくれる代理店もあります。

契約には「自動車保険加入申込書(契約申込書)」の提出が必要です。

その場で一から記入することもありますが、事前に見積もりをとるなど代理店にあらかじめ伝えた情報があれば、その部分は印字されているケースもあります。

補償プラン、車種情報、氏名・住所などの個人情報といった項目に誤りがないか、しっかりと確認しましょう。

申込書にサインをしたら、契約は完了です。代理店にて契約手続きを行うと、最短で契約したその日から補償が開始されます。

また、代理店によっては郵送でも手続きが可能です。その場合は最短で2~3日程度、書類の不備などでやりとりが長く続くと1週間~1ヶ月程度の時間がかかることもあるでしょう。納車までの日数が短いときは注意が必要です。

ダイレクト(通販)型の場合

ダイレクト型自動車保険はスマホやパソコンから、インターネット上で加入手続きができます。あらかじめネット上で見積もりを出していれば、そこから加入手続きを進めていくことも可能です。

契約は車検証を手元に用意し、画面の指示に従って必要事項を入力していくだけ。ネット上で24時間365日、いつでも契約手続きができるため、日中は忙しい方でも時間を気にせず保険に加入できるといったメリットも挙げられます。

ダイレクト型自動車保険は、最短で翌日から補償が開始されます。

自動車の任意保険契約時の必要書類

自動車の任意保険契約時に必要となるのは、「車種情報」「免許証の色」です。

そのため、

  • 車検証(コピー可)
  • 運転免許証

の2点を準備しておきましょう。

代理型自動車保険の場合、印鑑が必要となることもあるため、あらかじめ担当者に契約時の持ち物を確認しておくと安心です。

自動車の任意保険料の支払い方法

次に、自動車の任意保険料の支払い方法について見ていきましょう。

保険料は下記のいずれかの方法により、1年分を一括払い、または月払い(分割払い)にて支払いを行います。

  • 口座振替
  • クレジットカード
  • 銀行振込
  • 払込票(コンビニやペイジーなど)

また保険会社によっては、QRコード決済やバーコード決済も利用できます。保険料の支払いも多様化が進んでいるようです。

自動車の任意保険料は、1年分を一括で支払うのが一般的ですが、中にはクレジットカードの分割払いや月払いを可能としている保険会社もあります。

クレジットカードの分割払いになると、カード会社指定の手数料がかかるため、その分の保険料支払いが高くなる点に注意が必要です。

代理店型自動車保険はどこで契約する?

ここまでの解説の中で「代理店型の自動車保険は、店舗に出向いて契約する必要がある」というのはご理解いただけたでしょうか。

しかし実際、どこの店舗に出向けば良いのかと疑問に思う人もきっと多いはず。

実は、代理店=保険会社の窓口だけとは限らず、意外にも街のあちこちに“保険代理店”が点在しているのです。

具体的には以下のような代理店が挙げられます。

  • ディーラー
  • 自動車販売店
  • 保険代理店(個人・法人)
  • 保険ショップ
  • カー用品店(※)
  • ガソリンスタンド(※)

(※)保険商品の取扱いがない店舗もあります。

自動車保険の見積もりをとると、同時に最寄りの代理店を紹介してくれるケースが一般的です。しかし、もし行きつけのカー用品店など、信頼できる店舗に契約しようとしている保険商品の取扱いがあれば、そちらで契約するのも良いでしょう。

どこで契約しても補償内容はもちろん、サービス内容も変わりません。その意味では、“せっかく加入するなら”顔見知りの担当者がいる代理店でお任せするのもおすすめです。

取扱い商品は代理店により異なるため、あらかじめ保険会社の公式サイトにて「代理店検索」などを利用して検索してみることをおすすめします。

自動車の任意保険の保険料目安を調べる方法

「自動車保険の保険料はいくらになるのか、事前に目安を知りたい!」と考える人も多いのではないでしょうか。

自動車保険は年齢や免許証の色、車種などのさまざまな条件によって左右されるため、一概に平均値を出すのは難しいといえるでしょう。

自分の条件下における保険料の平均値を知るためには、一括見積もりをとるのがおすすめです。複数の保険会社と比較してみると、より相場が見えやすくなります。

「いきなり一括見積もりはちょっと……」という人は、気になる保険会社の公式サイトをのぞいて簡易見積もりを出すだけでも、保険料の目安を知ることができますよ。

自動車の任意保険料を安く抑える契約方法

人によって年間数万円~十数万円単位と、決して安い買い物とはいえない自動車の任意保険料。少しでも安くできたらうれしいですよね。

ここでは、自動車の任意保険料を抑えて契約するためのポイントを2つ紹介します。

一括見積もりをとる

保険料を少しでも安くしたいとお考えなら、複数社から見積もりをとるのがおすすめです。1社ずつ請求せずとも、一度の請求で10社以上の見積もりをとれる「一括見積もりサイト」も多数存在しています。

最近では一括見積もりサイト限定のキャンペーンも充実しているようです。気になるキャンペーンを実施しているサイトを選んで、見積もりをとるのも良いでしょう。

保険会社特有の割引やキャンペーンを利用する

「自動車保険はどこも同じ」という印象を払拭させるべく、保険会社ごとに独自の割引を設定したりキャンペーンを実施したりと、さまざまな手法で差別化を図っています。

特に「少しでも保険料を安く済ませたい」とお考えの人は、自分に当てはまる割引を行っている保険会社を探すのもおすすめです。

割引の種類は、以下のようなものが挙げられます。

  • 早期割
  • ネット割
  • 継続割
  • 子育て応援割

ここに挙げたのはほんの一例です。今後もさまざまな割引が出てくる可能性も考えられます。

割引の種類によってはすべての人が当てはまるわけではないため、より「自分にマッチする保険」に出会いやすくなるかもしれません。ぜひ保険会社特有の割引やキャンペーンにも注目してみてください。

一括見積もりのデメリットはある?

「一括見積もりばかりを勧めているけど、デメリットは何もないの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

一括見積もりの大きなデメリットとして「営業電話や営業メールが一斉に来る」点を煩わしく思う人もいるでしょう。

また、各保険会社から提示されるプランは同じ条件で作られるわけではないため、保険料と補償内容のバランスが見えにくい点もデメリットといえるかもしれません。

公平に保険料を比較するとしたら、気になるプランは別途個別見積もりを試すといったひと手間をかける必要があります。

保険会社によってサービス内容も異なるため、単純に「一番保険料が安い自動車保険に加入する」という選び方は避けたほうが無難です。必ず、“補償の中身”を確認しましょう。

まとめ:自動車の任意保険の加入は簡単!まずは見積もりから

自動車の任意保険は、納車と同時に補償が始まるようにあらかじめ加入手続きを済ませておくのが理想です。契約には「車検証」「免許証」に記載の情報が必要になります。

代理店型とダイレクト型、それぞれの保険商品により契約手順は異なりますが、補償内容さえ決まれば手続き自体はスムーズに進行します。

特に初めて自動車保険に加入する人は、保険料や補償内容を比較する上でも、複数社から見積もりをとるのがおすすめです。

自分なりのこだわりがある場合はそこから選ぶのももちろんOK。保険料と補償のバランスを確認して、自分に合った自動車保険に加入しましょう。

自賠責保険はいつ加入する?加入手続きや名義変更の流れを解説

初めて車を手にする人でも、「車を持ったら絶対に入らないといけない保険がある」という話を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

その“絶対に加入しなればならない”のが「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」です。

自賠責保険はいつ、どのタイミングで加入しなければならないのか、素朴な疑問を持つ人も多いでしょう。

一般的に自賠責保険の加入手続きを自分で行う必要はありませんが、場合によっては何らかの対応が必要となることがあるかもしれません。

今回は、知っておくと安心な自賠責保険の加入方法や名義変更の流れについて詳しく解説します。

自賠責保険は車体ごとに強制加入となる

自賠責保険は、法律で加入が義務づけられている保険です。“人”ではなく“車”にかける保険で、車1台所有するごとに1契約が必要となります。

とはいえほとんどの場合、車の購入先(ディーラーや中古車販売店など)で当たり前のごとく手続きが済まされるため、基本的にこちらが何か手続きをする必要はありません。

保険料の支払いについても、車を購入する際の諸費用の中に「自賠責保険料」としてあらかじめ組み込まれているケースが多く、別途支払い手続きが必要となることもありません。

自賠責保険はどの保険会社で加入しても、保険料や補償内容はまったく同じであるのが特徴です。そのため、特にこちらから申し出ない限り「保険会社を選ぶ」といった作業も必要ないでしょう。

そうした意味でも、自賠責保険=強制保険であることがいえるのです。

【車取得シーン別】自賠責保険に加入するタイミング

自賠責保険に加入しなければ、公道を運転することは法律上不可能となります。そのため、納車前に加入手続きが済まされているのが基本です。

自賠責保険に加入するタイミングは具体的にいつなのか、取得シーン別に見ていきましょう。

新車購入の場合

ディーラーで購入する新車は、車の購入契約が済んだら納車に向けてさまざまな手続きが行われます。運輸局でナンバーを取得する際の必要書類の中に「自賠責保険証明書」があるので、それまでに自賠責保険に加入する必要があります。

自賠責保険に加入しなければナンバーが取得できず、納車もできません。つまりナンバーを取得していれば、自賠責保険の加入手続きは完了していることにもなります。

中古車購入の場合

中古車の場合、購入時に車検が残っていれば自賠責保険の加入手続きをする必要はありません。ただし、納車前に名義変更だけは済ませておきましょう。

自賠責保険の保険期間が切れている場合、名義変更に加え「再加入手続き」が必要となります。基本的には販売店で対応してくれるので、指定された必要書類を用意しましょう。

新車とは違いすでにナンバーがつけられた中古車であっても、自賠責保険の手続きが完了しなければ公道を走れないため、原則納車ができません。

譲渡の場合

親や知人から車を譲り受けた場合は、中古車同様、車検切れでなければ名義変更だけで済みます。

車検切れの車を譲り受けたときは、自賠責保険の契約期間も過ぎていることが考えられます。その場合は、名義変更+再加入手続きが必要です。

譲渡の場合は、自分で再加入の手続きしなければならない点に注意しましょう。譲渡人(※譲渡した人。車の元の持ち主)と譲受人(※譲り受ける人。同車の新たな持ち主)、それぞれの印鑑が必要になるため、譲渡人の協力も必要になります。

すぐ乗れる状態で車が手元にあっても、自賠責保険の手続きが完了するまでは、くれぐれも運転しないように注意してください。

自賠責保険の加入の流れ

基本的には車を購入した販売店で加入手続きを済ませてもらえる自賠責保険ですが、自分で手続きを行うことももちろん可能です。

親戚が勤務する保険会社との付き合いなど、何らかの理由があって保険会社を自分で決めたいといったこともあるでしょう。その場合は車の購入時に、担当者にひとこと伝えておくと対応してくれるはずです。

ここでは、自分で自賠責保険に加入する際に知っておきたい流れについて解説していきます。

1.加入する保険会社を検討する

自賠責保険の提供をしている保険会社は、以下の10社です。

  • あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
  • AIG損害保険株式会社
  • 共栄火災海上保険株式会社
  • セコム損害保険株式会社
  • 損害保険ジャパン株式会社
  • 大同火災海上保険株式会社
  • 東京海上日動火災保険株式会社
  • 日新火災海上保険株式会社
  • 三井住友海上火災保険株式会社
  • 楽天損害保険株式会社

※参考:日本損害保険協会「自賠責保険取扱い会社」

 

この中から任意保険と同じ保険会社を選ぶのも良いでしょう。

任意保険と同じ会社であれば、万が一の保険金請求時の対応がスムーズにいきやすいといったメリットが挙げられます。

ちなみにどこで加入しても補償内容に変わりはないので「保険会社はあまり気にしない」という人は、

  • 自動車販売店(ディーラー、中古車販売店など)
  • 運輸支局
  • 自動車整備工場
  • カー用品店
  • 上記の表に記載した損保会社

上記いずれかの「損保代理店」に出向くことで、加入手続きを済ませることができます。

2.契約に必要な書類を用意する

自賠責保険の加入手続きには、車台番号や登録番号など、車の個体情報が分かるものが必要になります。

車検証(自動車検査証)があれば問題ありません。

3.保険期間を決める

加入時に、保険期間を決める必要があります。

基本的には車検と同じ時期に満期が訪れるように、新車の場合は3年(36ヶ月)、それ以外は2年(24ヶ月)を目安に保険期間を定めます。

以下、主な保険期間と保険料を記載したのでご参考にしてください。

2年の場合 3年の場合
24ヶ月 25ヶ月 36ヶ月 37ヶ月
自家用乗用車

(普通車)

20,010円 20,610円 27,180円 27,770円
軽自動車 19,730円 20,310円 26,760円 27,330円

※参考:自賠責保険ポータルサイト「主な車種・期間の保険料」

「スムーズに車検に通らなかった」などのトラブルを想定し、車検満了日+1ヶ月の猶予を設けた「25ヶ月」または「37ヶ月」での契約をおすすめします。

保険期間を決めたらその分の自賠責保険料を現金で支払い、加入手続きは完了です。

自賠責保険の新規加入は簡単に手続きができるので、その場で15分程度もあれば済むでしょう。ただ、電話やネットでの加入はできないことが多いため、代理店に出向く必要があります。

納車までの間に「自賠責保険証明書」が必要になる場合は、忘れずにディーラーに提出しましょう。

自賠責保険の名義変更の流れ

続いて、名義変更が必要になったときの流れについて見ていきましょう。

車を取得するタイミングで自賠責保険の名義変更が必要になるのは、主に「中古車を購入する場合」「車を譲り受ける場合」です。

特に親や知人から車を譲り受ける場合は、自分で名義変更の手続きをする必要があるため、流れを知っておくと安心できるでしょう。

1.加入中の自賠責保険の保険会社に問い合わせる

まずは、加入中の自賠責保険の保険会社を調べて、名義変更したい旨を電話で問い合わせます。その際「自賠責保険証明書」を手元に置くとスムーズです。

いきなり代理店に出向くことも可能ですが、保険会社によって対応が異なるため二度手間にもなりかねません。

2.必要書類を準備する

名義変更の内容や誰が手続きするかによっても用意するべき書類は異なりますが、基本的には以下の書類が必要です。

  • 自賠責保険証明書
  • 自賠責保険承認請求書(譲渡人・譲受人それぞれの押印あり)
  • 譲渡意思が確認できる書類(自動車売買契約関係書類など)
  • 本人確認書類(免許証など)

その他、場合によっては譲渡人の印鑑証明書や謄本などが必要になるケースがあります。

保険会社に問い合わせて、必要な書類をあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

3.郵送または代理店窓口に出向いて手続きをする

必要書類を用意したら、代理店窓口に出向いて手続きを済ませます。譲渡人・譲受人、どちらが出向いても手続きができます。また、行政書士などの代理人に依頼することも可能です。誰が手続きするかによって必要書類が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

保険会社によっては郵送での手続きも可能です。

ただし郵送の場合、保険会社によっては3週間ほど時間がかかるため、その間運転ができないことになります。(自賠責保険証明書を携帯せず運転した場合には罰則があります)

急ぎの場合は代理店窓口に出向いて、手続きを済ませるのがおすすめです。

自賠責保険の更新時期はいつ?

自賠責保険の更新時期は、車検と同時期であるケースが一般的です。

ディーラーや整備工場、ガソリンスタンドなどに車検に出して、自賠責保険の更新までまるごと依頼する場合は、特に気にしなくても問題はありません。

念のため確認したいときは、車検の見積書の中に「自賠責保険料(法定費用)」といった記載がないか見てみると良いでしょう。

保険会社を指定したい場合など、自賠責保険の更新手続きを自分でするという人は、忘れずに車検前までに更新を済ませましょう。「自賠責保険証明書」がないと車検に通過することができないため要注意です。

自賠責保険に加入せずに運転したときの罰則

自賠責保険は法律で加入が義務づけられている保険です。もし未加入のまま運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるうえ、免許停止処分にもなります。

気を付けたいのは、販売店に任せず自分で加入手続きをするケースや、車検切れと同時に自賠責保険が切れてしまうといったケース。正しい手順を踏んで確実に加入や更新手続きをしなければ、罰則の対象となるため注意しましょう。

また紛失などが原因で、自賠責保険証明書を所持せずに運転していた場合でも、30万円以下の罰金が科せられます。 万が一証明書を紛失した場合、速やかに保険会社に再発行依頼をしましょう。

自賠責保険の加入が済んだら任意保険も忘れずに

自賠責保険はいわゆる“強制保険”なので、特に自分で手続きせずとも、車の購入時に販売店側が対応してくれます。

しかし「任意保険」は、加入する保険商品や補償内容を自分で決めなくてはなりません。

万が一に備えて、納車日に間に合うよう、購入契約が済んだら速やかに任意保険も検討しましょう。

自賠責保険と任意保険の補償内容の違い

「自賠責保険に加入するのに任意保険まで本当に必要なの?」と疑問に思う人も多いかもしれません。

ドライバーが任意保険の加入も必要だとされる背景には、自賠責保険で受けられる補償範囲の狭さが挙げられます。

以下、自賠責保険と任意保険の補償内容の違いを簡単に記載したのでご覧ください。

補償内容 補償金額 保険料
自賠責保険 対人のみ ~4,000万円

(※介護を要する後遺障害1級の場合)

一律
任意保険 対人・対物

※人身傷害や車両保険などの補償も付帯可

~無制限 年齢や運転歴などの条件により異なる

自賠責保険で補償されるのは、相手側の身体に生じた損害のみで、車などの“物損”は補償の対象外となっています。それに対して任意保険では、モノに対する補償もカバーされます。

また自賠責保険は補償金額に上限があるのに対し、任意保険は「無制限」まで設定が可能です。このことからも任意保険は、自賠責保険の補償だけでは足りない部分を補う保険であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

完全介護状態など、場合によっては億単位の損害賠償が発生するケースも考えられます。万が一を想定した場合、自賠責保険の補償を上乗せする「任意保険」への加入は必須であるといっても過言ではないでしょう。

まとめ:自賠責保険&任意保険には必ず加入しよう!

ドライバーなら知っておきたい、自賠責保険の加入の流れについて解説しました。

自賠責保険は原則、車を購入した販売店にて納車前に加入手続きが済まされますが、何らかの理由があって自分で手続きをする場合は忘れずに加入しましょう。

また車を持つことが決まったら、あわせて任意保険も検討しておきたいところです。納車日が決まれば任意保険にも加入できるため、こちらも忘れずに手続きを済ませましょう。

自動車保険の基本補償と特約とは?特約契約時の2つの注意点も紹介

自動車保険に加入したいけど、どのような補償があるのか把握していない」
「自分に合った補償が分からない」

このように思ったことはありませんか?

自動車保険には多くの基本補償があり、追加で契約できる「特約」と呼ばれるオプションもあります。

本記事では、自動車保険の基本的な補償や特約を紹介します。

手当たり次第に保険へ加入すると、保険料がかさんでしまい、家計を圧迫しかねません。補償や特約の内容を理解して契約するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

自動車保険の7つの基本補償

自動車保険で基本補償とされ、自動で付帯される補償と多くの人が加入する補償は、下記の7つです。

  1. 対人賠償保険
  2. 対物賠償保険
  3. 人身傷害保険
  4. 搭乗者傷害保険
  5. 自損事故保険
  6. 無保険車傷害保険
  7. 車両保険

なお、基本補償の範囲は、保険会社によって異なる場合があります。

それぞれの補償を順番に見ていきましょう。

1.対人賠償保険

他人を死傷させた場合に適用される補償が、対人賠償保険です。

自動車保険には、加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)があります。自賠責保険も相手を死傷させた場合に保険金が支払われるものの、被害の状況しだいでは保険金は充分にはなりません。

対人賠償保険では、自賠責保険で賄いきれない金額を補填してくれます。

2.対物賠償保険

他人の所有物に損害を与えた場合に適用される保険が、対物賠償保険です。

強制加入の自賠責保険では、補償は「人」に限られます。そのため、事故を起こして被害者の車を破損させた場合、自己負担で賠償しなければなりません。

自動車で事故を起こした際に、被害者の車が無傷であることは考えにくいので、対物賠償保険は必要性の高い保険といえます。

▶対物賠償責任保険の保険料や補償内容についてはこちら

3.人身傷害保険

自分や同乗者が死傷した場合の治療費や休業損害を補償します。主な特徴は、下記の2点です。

  1. 過失の割合に関係なく、損害分の保険が支払われる
  2. 損害額が確定しだい、示談交渉を待たずに保険金を受け取れる

人身傷害保険は、特に示談交渉が長引いた際に役立ちます。示談交渉とは、事故の当事者同士の話し合いで解決を図ることです。

しかし、示談交渉は話し合いがうまく進まず、長引いてしまうことがよくあります。示談交渉が難航した場合でも、人身傷害保険へ加入していれば、保険金がすぐに受け取れるため、事故後の経済的な負担を減らせる点が大きなメリットです。

▶人身傷害補償特約の保険料や補償内容についてはこちら

4.搭乗者傷害保険

搭乗者傷害保険も人身傷害保険と同じく、自分や同乗者が死傷した場合の治療費や休業損害などを補償します。

人身傷害保険との違いは、下記のとおりです。

  • 人身傷害保険:実際の損害額を補償
  • 搭乗者傷害保険:契約であらかじめ決められた金額を補償

人身傷害保険と搭乗者傷害保険を契約していて事故が発生した場合、一例として、下記のように受け取れる金額に違いが生じます。

契約例 損害例 受け取れる保険金
人身傷害保険 保険金額:1,000万円まで ・損害額30万円

・20日間入院

30万円
搭乗者傷害保険 入院や通院が5日以上:1名につき10万円 10万円

ただし搭乗者傷害保険は、人身傷害保険と補償の内容が重複している関係で、取り扱いがない会社も存在します。

▶搭乗者傷害保険の保険料や補償内容についてはこちら

5.自損事故保険

自損事故保険は、自損事故でケガをした人自身や同乗者を補償する保険です。

自損事故は、運転者が単独で起こした事故を指します。例えば、よそ見運転をしてガードレールにぶつかった場合は自損事故です。

対人・対物賠償保険は他人および他人の所有物のみに適用されるため、自損事故は適用外です。よって、単独で起こした事故に対する保険として、自損事故保険が存在します。

任意保険に自動で付帯されていることが多く、保険金の変更はできないケースがほとんどです。

なお、補償は自身や同乗者に限定されるため、車両を補償して欲しい場合は車両保険に加入する必要があります。

6.無保険車傷害保険

無保険車とは、対人賠償保険を契約していない車のことです。

無保険車傷害保険では、下記の事故で死傷した場合に保険が適用されます。

  • 自動車保険に入っていない車との事故
  • 自動車保険に加入していても補償が不十分な車との事故

補償範囲は人のみで、任意保険に自動で付帯されていることが多くなっています。

自身が保険に入っていても、相手が任意保険に加入していない場合は、充分な補償が受けられません。万が一の時に、自分を守るための保険として用意されているのが無保険車傷害保険です。

7.車両保険

車両保険では、自分の車の修理費を補償します。

交通事故だけでなく盗難や自然災害でも、車両保険の利用が可能です。ただし、下記のように、すべての自然災害で車両保険が適用されるわけではありません。

  • 適用可:台風や洪水など
  • 適用外:津波・地震・噴火など

一度に多くの車両が被害に遭う自然災害では、車両保険の適用外になることがほとんどです。

  • 車の運転に不安があり、車を傷つける恐れのある人
  • 車両保険が適用される範囲で自然災害に備えたい人

上記に該当する人には必要性の高い保険といえます。

▶車両保険の保険料や補償内容についてはこちら

特約の種類7選

自動車保険に加入した人が、オプションとして付帯できるのが特約です。ここからは、下記7つの特約を紹介します。

  1. 対物超過特約
  2. ロードサービス
  3. 弁護士特約
  4. 個人賠償責任特約
  5. ファミリーバイク特約
  6. 示談交渉
  7. 他車運転特約

それぞれ順番に見ていきましょう。

1.対物超過特約

対物賠償保険を適用する事故で、相手の車の修理費用が時価額を超えた場合、その差額を補償する特約です。

対物賠償保険で支払われる保険金は、相手の車の時価額までです。古い車の場合は、修理費用が時価額を超えることもあります。

対物賠償保険でカバーできる金額を超えた場合に有効な特約です。

2.ロードサービス

下記のようなトラブル時に、作業員が現場に駆けつけて対応をおこなってくれるサービスです。

  • レッカー移動
  • パンク時のスペアタイヤ交換
  • ガス欠時のガソリン補給

保険会社によっては、ロードサービスを無料で付帯しています。

自宅までの交通費や宿泊費を支給している会社もあるので、必要な場合は保険会社のサービス内容をチェックしてみましょう。

▶ロードサービスの保険料や補償内容についてはこちら

3.弁護士費用特約

もらい事故のように自分に非がないケースで被害者となったときに、損害賠償を請求する際の弁護士費用を補償します。

通常の事故であれば、示談交渉サービスの利用が可能です。

しかし、もらい事故では被害者側に損害賠償責任がなく、保険会社は保険金を支払う必要がありません。そのため、保険会社は事故の当事者として示談交渉ができなくなります。

弁護士法では、弁護士でない人が法律事務をおこなうことは禁止されています。

 

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)

第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

引用:弁護士法

 

よって、保険会社が法律事務にあたる示談交渉を実施するのは不可能です。

保険会社に頼れない場合、自分で示談交渉をするか、弁護士に依頼するかのどちらかで対応します。このとき、弁護士に依頼する費用を補償するのが弁護士費用特約です。

▶弁護士費用特約の保険料や補償内容についてはこちら

4.個人賠償責任補償特約

個人賠償責任補償特約は、日常生活における事故で他人をケガさせた場合や、他人の所有物を破損した際の補償をしてくれます。

自動車以外の事故を補償するため、下記のような場合に有効です。

  • 自転車を運転中に他人をケガさせた
  • 買い物中に店内の商品を壊した
  • マンション内で洗濯機から水が漏れて下の階に浸水した

日常生活における事故を幅広くカバーしており、自転車保険の代わりにもなる特約です。

自動車保険の他に加入している保険で付帯していない場合は、加入をおすすめします。

▶個人賠償特約の保険料や補償内容についてはこちら

5.ファミリーバイク特約

125cc以下のミニバイク運転中の事故において、相手や自分のケガ、他人の所有物を補償します。

任意のバイク保険と比べ、ファミリーバイク特約は保険料を抑えやすくなっています。

ファミリーバイク特約には、人身タイプ自損タイプの2種類があり、主な違いは下記のとおりです。

タイプ 自身のケガ 保険金
人身 相手がいる事故・相手に過失がある事故も補償 実際にかかった金額を補償
自損 単独の事故・相手に過失がない事故のみ補償 入院や通院日数に応じて定額を補償

人身タイプのほうが補償が手厚いため、保険料は高くなります。

バイク保険との違いも考慮したうえで、加入するか否かを決めるのがおすすめです。

▶ファミリーバイク特約の保険料や補償内容についてはこちら

6.示談交渉サービス

示談交渉とは、事故の賠償方法を加害者と被害者の話し合いで解決することです。示談交渉サービスでは、加害者に代わって保険会社の担当者が示談交渉をおこないます。

示談交渉サービスは、ほとんどの任意保険で自動的に付帯されています。

万が一事故の加害者になった場合は、示談交渉サービスを利用してスムーズに被害者側との話し合いを進めましょう。

▶示談交渉サービスの保険料や補償内容についてはこちら

7.他車運転特約

他人の車を借りて運転しているときに起きた事故に関して、自分の自動車保険で事故の対応ができる特約です。レンタカーの場合にも利用できます。

保険会社のなかには、自動車保険の基本補償として提供している場合もあります。

友人の車をよく運転する人や、レンタカーを運転する機会が多い人は加入を検討したいサービスです。

▶他車運転特約の保険料や補償内容についてはこちら

特約を契約する際の2つの注意点

特約を契約する際に注意したい点は、下記の2つです。

  1. 特約のみの加入はできない
  2. 特約の契約しすぎはNG

注意点をそれぞれ解説します。

注意点①特約のみの加入はできない

特約は、基本補償にプラスできるオプションです。そのため、特約のみを契約することはできません。

もし契約したい特約がある場合は、加入している保険の特約として用意されていないか、事前に確認するのがおすすめです。

特約にない場合、基本補償として用意されていないか、チェックしてみましょう。

注意点②特約の契約しすぎはNG

万が一に備えて特約を契約しすぎることも、おすすめできません。いくつも特約に加入すると、補償が重複する恐れがあります。

特約に加入する分保険料もかさむため、家計への負担が大きくなります。

特に心配な点をカバーしてくれる特約のみを契約し、保険料を支払いすぎないようにしましょう。

まとめ

自動車保険の主な基本補償として、下記の7つを解説しました。

  1. 対人賠償保険
  2. 対物賠償保険
  3. 人身傷害保険
  4. 搭乗者傷害保険
  5. 自損事故保険
  6. 無保険車傷害保険
  7. 車両保険

特約として紹介したのは、下記の7つです。

  1. 対物超過特約
  2. ロードサービス
  3. 弁護士特約
  4. 個人賠償責任特約
  5. ファミリーバイク特約
  6. 示談交渉
  7. 他車運転特約

なお、基本補償や特約の内容は、保険会社によって異なる場合があります。

自分に必要な基本補償を備えているかチェックし、基本補償では物足りないと感じた場合に、特約へ加入しましょう。

自動車保険はどう選ぶ?比較のポイントや基本的な考え方を解説

いざ自動車保険検討しようとしたとき「保険の種類が多すぎてどう選べばいいか分からない!」と感じた経験はありませんか?

「よく分からないまま契約しているので、無駄な補償も含まれているかも……」という不安や疑問を抱えつつ、なんとなく自動車保険に加入している人もいるかもしれませんね。

“何を重視して選ぶのか”、考え方は人それぞれなので、“これがおすすめ”というのは、一概には言えません。

 

しかし自動車保険を比較する際の基本的な考え方や、選択に迷ったときの比較のポイントを押さえておくと、より自分に合った商品を選びやすくなるでしょう。

今回は、自動車保険を選ぶときの基本的な考え方や比較のポイントについて詳しく解説します。保険選びでお悩みの人は、ぜひ参考にしてください。

自動車保険商品は全部で何種類?

そもそも自動車保険の商品は全部で何種類あるのか、気になりませんか?

2022年10月現在、日本損害保険協会の会員となっている保険会社の中で、自動車保険を提供している会社は全部で17社あります。

さらに海外の損害保険会社など、日本損保協会の会員ではない保険会社の商品も合わせると、日本で契約可能な自動車保険は21種類にものぼります。

以下一覧にまとめたので、ぜひ比較の際の参考にしてください。

損保協会会員保険会社 商品名 契約形態
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 タフ・クルマの保険 代理店型
AIG損害保険株式会社 AAP(家庭用総合自動車保険) 代理店型
共栄火災海上保険株式会社 KAPくるまる 代理店型
セコム損害保険株式会社 セコム安心マイカー保険 代理店型
損害保険ジャパン株式会社 個人用自動車保険「THE クルマの保険」 代理店型
大同火災海上保険株式会社 DAY-GO! くるまの保険(個人用総合自動車保険) 代理店型 ※代理店があるのは沖縄県のみ
東京海上日動火災保険株式会社 トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険) 代理店型
日新火災海上保険株式会社 ユーサイド(新総合自動車保険) 代理店型
三井住友海上火災保険株式会社 GK クルマの保険 代理店型
アクサ損害保険株式会社 アクサダイレクトの自動車保険 ダイレクト型
イーデザイン損害保険株式会社 自動車保険 ダイレクト型
au損害保険株式会社 au自動車ほけん ダイレクト型
SBI損害保険株式会社 SBI損保の自動車保険(個人総合自動車保険) ダイレクト型
セゾン自動車火災保険株式会社 おとなの自動車保険(セゾン自動車保険) ダイレクト型
ソニー損害保険株式会社 自動車保険 ダイレクト型
三井ダイレクト損害保険株式会社 総合自動車保険 ダイレクト型
楽天損害保険株式会社 ドライブアシスト ダイレクト型

 

損保協会非会員の保険会社 商品名 契約形態
AGC保険マネジメント株式会社 自動車保険 代理店型
CHUBB損害保険株式会社 家庭用自動車保険 代理店型
ニューインディア保険会社 NIA自動車保険 代理店型
チューリッヒ保険会社 スーパー自動車保険 ダイレクト型

参考:日本損害保険協会会員|各社の「くるまの保険」商品会員会社等一覧

 

また、保険会社によっては1社で数種類の自動車保険を展開しているところもあるため、それらも含めるとさらに選択肢が増えることになります。

自動車保険の比較方法。基本的な考え方は?

前述の通り、自動車保険には実に膨大な商品が存在しており、この中から自分に合った自動車保険を選び取るのは至難の業ともいえるでしょう。

ここで「なんのために自動車保険に加入するのか」を思い出してみましょう。

自動車保険は、事故が発生したときに起こりうる金銭的な問題を、スムーズに解決へと導くために必要となる保険です。

実際に事故が起きたとき、“どんなことで困る可能性があるか”といった視点から考えてみると、自分にとって必要な補償が見えてくるかもしれません。

似たような内容であっても、保険会社によって補償の内容が少しずつ異なることもあります。まずは複数の保険会社に見積もりを依頼して、各社の補償内容を知ることから始めるのがおすすめです。

“自分に合った補償”とは?考え方の一例を紹介

基本的な補償内容は同じでも、保険会社ごとに独自の特約やサービスを提供しながらそれぞれ差別化を図っています。

数あるサービスに惑わされず、本当に必要な補償を選び取るには「自分に合った補償」を考えることが大切です。

とはいえ、漠然と“自分に合った補償”と言われても、何が自分に合っているのか?すぐに思い浮かべるのは難しいかもしれません。

そんな人に向けて、ここでは“自分に合った補償”の考え方の一例を紹介します。

他に加入中の保険契約はあるか

保険に加入する際の大前提として「補償内容が被っていないか」を確認することは非常に大切です。

例えば自分のケガや死亡・後遺障害に備える「人身傷害補償」や「搭乗者傷害補償」は、生命保険医療保険に加入していれば、そちらからも補償されるケースが多くあります。

他に加入中の保険契約の内容を考慮して、補償が重複しないようにすると、効率よく保険料を抑えることができます。

事故の際、どういったトラブルが発生する可能性があるか

例えば自分の車に友人や会社の同僚、上司などの他人を乗せる機会が多いという人は、事故発生から即座に保険金が支払われる「搭乗者傷害補償」を付帯しておくと安心できるでしょう。

反対に「車には1人で乗ることが多い」「生命保険に加入している」という人は、搭乗者傷害補償を手厚くする必要はないことが考えられます。

また、遠方まで運転する機会が多い人であれば、そうでない人に比べて出先での事故やトラブルに巻き込まれる可能性が高くなるため、ロードサービスが充実した保険商品を選ぶと安心です。

このように、自分のライフスタイルや車の利用シーンと照らし合わせて、懸念されるトラブルに特化した補償を選ぶと良いでしょう。

契約する車は「コネクティッドカー」か

「コネクティッドカー」とは、ICT端末としての機能を持ち、常時インターネット接続がされた車のことをいいます。

位置情報を送受信できるため、例えば運転中のコネクティッドカーが衝撃を検知するとオペレーターへ自動で通知され、救急車やレッカー車の手配といったさまざまなサポートを即座に受けられるのが特徴です。

こうしたコネクティッドサービスと連動した保険商品は「テレマティクス保険」と呼ばれ、一部の保険会社から販売されています。

スムーズな事故対応が受けられるだけでなく、安全運転を心がけることにより保険料が安くなる可能性もある「テレマティクス保険」。コネクティッドカーのみならず、通信機能付きのドライブレコーダー搭載車などもテレマティクス保険の加入が可能です。

保険会社によっては通信機器を貸し出してくれるところもあるので、テレマティクス保険が気になる人は、検討してみてはいかがでしょうか。

自動車保険を比較する際の5つのポイント

“自分に合った補償の考え方”が分かったあとは、5つのポイントを押さえて自動車保険を比較していきましょう。

1.契約方法で比較する

代理店を通した契約、いわゆる「代理店型」の保険か、直接保険会社と契約する「ダイレクト型」の保険か、まずは契約方法で比較してみましょう。

代理店型のメリットは、担当者と対面で補償内容を相談しながらじっくり決められる点や、代理店によっては事故時の保険会社とのやりとりを担当者に任せられる点などが挙げられます。

ダイレクト型のメリットは、代理店を通さない分の保険料が抑えられる点です。インターネット上から気軽に契約できる点も、忙しい人にとってはメリットとなるでしょう。

2.保険料で比較する

自動車保険を選ぶ際、“保険料の安さ”で比較するのも良いでしょう。

複数社から一括見積りをとることで、保険料の比較がしやすくなります。

保険料の安さを重視して比較する際は「補償内容と保険料のバランス」も忘れずにチェックしましょう。特に相手方への補償(対人・対物)が低くなりすぎないよう、注意が必要です。

3.補償内容で比較する

基本的な補償は、どの保険会社もさほど変わりはありません。

しかし中には重視したい補償が自動付帯になるケースとそうでないケースなど、保険会社によって補償内容が異なることがあります。

どんな補償が自動で適用されているのか、その中に不要な補償はないかをチェックするのも大切です。

「自分にとって必要な補償」が契約に含まれているかどうかも、忘れずに確認しましょう。

4.事故時の対応力で比較する

事故発生時の保険会社の対応力は重視しておきたいポイントです。

例えば以下のような観点から、どのようなサポートが受けられるかを確認できます。

  • 事故対応は24時間365日受け付けているか(深夜・早朝の事故も即座に受け付けてくれるか
  • ロードサービスの内容は充実しているか(レッカー車の手配までしてもらえるのか、レッカー費用を負担してくれるだけなのか、など)

また「ロードサービス」「ロードアシスト(アシスタンス)」でサービスの内容が異なる点にも注目してみてください。

5.口コミや利用者の評判で比較する

実際に事故時の対応を経験した人の口コミから判断するのもひとつのポイントです。

クレームばかりを目にする保険会社など、不信感のある保険会社は避けたほうが無難かもしれません。

評判をリサーチする際は、日本損害保険協会に寄せられた苦情件数やクレームの内容を参考にするのも良いでしょう。

知っておきたい特約の種類

基本補償に加えて「特約」といういわゆるオプションの補償を付帯することで、より補償を充実させることができます。

特約の種類もまた膨大で、その数は100種類以上にものぼるといわれています。

保険会社ごとに独自の特約が設けられていることも多く、特約を知り尽くすのもまた困難かもしれません。

ここでは、最低限知っておきたい自動車保険の特約を3つのカテゴリに分けて紹介します。

保険会社によっては自動付帯となる特約

まずは、自動で付帯されることが多い特約について、よくあるものを見ていきましょう。

名称 概要
自損事故保険 単独事故を起こした際に補償が受けられる保険。
無保険車傷害保険 任意保険に未加入の相手との事故や、当て逃げ事故など相手が特定できない場合、損害賠償が補償される保険。
ロードサービス 事故や故障などのトラブルにより車が走行不能となったときに、レッカー移動の費用などが補償される特約。

これらは契約に自動で付くケースが多いものの、保険会社によってはオプションになることがあります。

保険会社特有のユニークな特約

続いて、一部の保険会社にしか見られないユニークな特約を見てみましょう。

名称 概要
事故現場駆けつけサービス 保険会社と提携する警備会社の警備員が事故現場に駆けつけ、事故対応の助言などサポートをしてくれるサービス。
ドラレコ特約 保険会社から通信機能付きのドライブレコーダーを借りられる特約。事故の際、ドラレコの記録が保険会社に共有されるのが特徴。

特に「事故現場駆けつけサービス」は、保険会社によっては自動付帯される特約なので、気になる人はチェックしてみると良いかもしれません。

付けると安心な特約

最後に、数ある特約の中でも「これを付けておけば安心」な特約を3つピックアップしました。

名称 概要
弁護士費用補償特約 こちらが被害者となったとき、弁護士への相談費用や書類作成費用などの補償が受けられる特約。
個人賠償責任補償特約 日常生活のトラブルにより生じた損害賠償が補償される特約。自転車事故による損害賠償も対象となる。
ファミリーバイク特約 原付バイク使用時に生じた事故に関して補償が受けられる特約。原付バイク保有者は加入がおすすめ。

他にもさまざまな特約が挙げられますが、自分が欲しい特約を提供する保険会社の中から選ぶと、選択肢も絞れるでしょう。

ライフスタイルや家族構成などを考慮しつつ自分に合った特約を選びとり、必要な補償を充実させるのがおすすめです。

1日保険やドライバー保険って?任意保険との違いは?

自動車保険の中には、通常の任意保険の他に「1日保険」「ドライバー保険」などの保険商品もあります。

ここでは任意保険との違いに加え、それぞれ適している人の特徴を解説します。

任意保険が適している人

自分の車を保有している人は一般的な任意保険への加入が適しています。

車の買い替えや車自体を手放す予定のある人も、車を保有している間は任意保険に加入しましょう。

1日自動車保険が適している人

自分の車は保有しておらず、別居中の家族(父母など)や友人の車をたまに運転するという人は「1日保険」への加入がおすすめです。

ドライバー保険が適している人

長期間(1年単位)他人の車を借りて運転する機会のある人は、ドライバー保険に加入すると安心です。

ドライバー保険に加入しておけば、いざというとき相手の車に紐づけられた自動車保険を使わずに補償を用意することができます。

車を借りる相手の保険を利用して等級を下げることになると迷惑をかけてしまいかねないため、他人の車を借りる際はドライバー保険への加入をおすすめします。

カーリースの場合、適しているのは「カーリース専用任意保険」

カーリースはリース会社名義の車を借りることになるので、ドライバー保険が適しているかのように思う人もいるかもしれません。

しかしカーリースの場合、「カーリース専用任意保険」に加入するのが最適です。

ドライバー保険だと車が損傷した際の補償が受けられないため、満期後に車を返却する仕組みのカーリースには向いていません。

共済と任意保険の違いは?

今回、民間の保険会社が提供する自動車保険について紹介してきましたが、「こくみん共済」や「県民共済」といった自動車共済を検討するのも良いでしょう。通常の任意保険と比べて、基本補償に大きな違いはありません。

ただし、共済の種類によっては等級を引継げないこともあるため注意が必要です。

また特約の種類に関しても、任意保険に比べると少ないと感じるかもしれません。

「必要な補償を用意できるか」も考慮して検討すると良いでしょう。

まとめ:まずは見積もりをとって自動車保険を比較しよう!

2022年10月現在、日本国内で加入できる自動車保険の商品の種類は20種類以上にも及びます。その中から自分に合った保険に加入するためには、「何を重視して選ぶのか」を考えて比較するのがおすすめです。

ライフスタイルや車の利用シーンなどを想定して、事故が起きた際どういった場面でお金がかかるのか考慮しながら、必要な補償を選ぶと良いでしょう。

それを踏まえた上で「代理店型かダイレクト型か」「保険料の安さはどうか」「補償内容は自分に合っているか」「保険会社の事故対応力はどうか」「評判はどうか」といったポイントを押さえて比較していくと、よりスムーズに選びやすくなるかもしれません。

まずは複数の保険会社から見積もりをとって、各社の補償内容などを比較することから始めましょう。

よくわかる自動車保険!自賠責保険と任意保険の違いや補償内容を解説

ドライバーなら必ず知っておきたい「自動車保険」

しかし初めての自動車保険は難しいといった印象を抱く人が多いのではないでしょうか。

「自動車保険ってそもそも強制加入なの?」
「若い人は保険料が高いって聞いたけど……」
「見積もり取ってみたけど補償内容がさっぱり分からない!」

さまざまな声が聞こえてきそうです。

補償内容や商品の種類、保険料の仕組みなど、自動車保険を100%理解しようとするのはなかなか難しいかもしれません。さらに差別化を図ろうと、保険会社ごとに独自の補償やサービスなどが用意されていることもあり、保険の内容はますます複雑化しているように思います。

そこで今回は“初めてでもよく分かる自動車保険”をテーマに、最低限知っておきたい「自賠責保険と任意保険の違い」「補償内容」「保険金額の目安」「保険料の仕組み」「加入方法」までを詳しく解説します。

自動車保険の目的とは

なぜ自動車保険に入る必要があるのでしょうか。まずは自動車保険の目的について考えてみましょう。

車を運転する以上、交通事故に遭うリスクは少なからず生じます。自分が事故の加害者となるケースもあれば、被害者となるリスクも想定されるでしょう。どんなに安全運転を心がけていても、完全に事故のリスクを回避するのは難しいものです。

そして万が一事故が起きてしまったとき、相手方への損害賠償や自分が負傷した場合の治療費など、さまざまなシーンにおいて金銭的な負担がのしかかることになります

そうした金銭面の負担を軽減してくれるのが、自動車保険の役割です。

では実際に事故が起きたとき、どういったことにお金がかかるのでしょうか。具体的に3つのケースが挙げられます。

1.事故の相手に支払う賠償金

自分が事故の加害者となった場合、相手方に支払うのが「損害賠償金」です。損害賠償には主に2種類があります。

  • 人に対する損害賠償(ケガの治療費、休業補償、慰謝料など)
  • モノに対する損害賠償(車、家屋、ガードレールなど)

例え相手の不注意が引き起こした事故であっても、過失がこちらにもあると認められてしまえば、相手方に損害賠償金を支払う必要性が生じます。そうした事故が多くあるのも現状です。

2.自分や同乗者が負傷した場合の補償

交通事故により、自分自身や同乗していた家族が負傷した場合は入院・通院などの治療費がかかります。万が一死亡に至った場合は残された家族の生活費や、自分の葬儀費用なども必要になってくるでしょう。

また同乗者が友人など他人であった場合は、負傷の度合いによっては休業補償や逸失利益などを支払わなければならない可能性もあります。

3.自分の車が損傷した場合の修理代や車の買い替え費用

車を運転しているときに事故が起きたということは、少なからず自分の車もダメージを受けているはずです。損傷の度合いにより、修理になれば修理費用がかかり、買い替えが必要となれば新しい車の購入費用が必要になります。

こうした“万が一”に備えるために加入するのが、自動車保険の目的です。

自動車保険には2種類ある

自動車保険には、強制加入の「自賠責保険」と任意加入の「任意保険」の2種類があり、それぞれ補償の目的や内容が異なります。詳しく見ていきましょう。

1.自賠責保険(強制加入)

自賠責保険はいわゆる強制加入の保険です。交通事故による被害者を救済する目的の保険で、法律によって加入が義務付けられています。自動車購入時(※厳密には自動車検査時)、必ず加入しなければならない保険なので、車を持っている人は全員加入しているはずです。

基本的に、2年に一度(新車の場合、初回のみ3年に一度)の車検のタイミングで更新し、決められた自賠責保険料を支払います。

自賠責保険の補償内容は以下の通りです。

死亡の場合 最大3,000万円
ケガの場合 最大120万円
後遺障害の場合、程度に応じて 75万円~最大4,000万円

自賠責保険は人身傷害のみ補償の対象となっており、相手の車などの物損は補償の対象外です。また任意保険に比べて支払い基準が厳しいことでも知られています。

例えば後遺障害で限度額の4,000万円の支払いが認められるのは、常時介護を要する「後遺障害等級1級」と認定されたときに限られています。

2.任意保険(任意加入)

加入義務のある自賠責保険とは違い、加入は「任意」のため、加入の判断はドライバーに委ねられています。任意保険には加入しなくても罰則はありません。

しかし前述の通り、自賠責保険からは相手方への人身傷害しか補償が受けられず、限度額も死亡の場合で3,000万円までといった非常に範囲の狭い補償内容になっています。そのため、自賠責保険では足りない補償を任意保険でカバーするのが、理想の自動車保険のカタチであるといえるでしょう。

任意保険は、契約の形態が「対面」なのか「インターネット」で完結するのかによって、大きく2種類の商品に分類されています。

代理店型自動車保険

いわゆる対面販売の「代理店型自動車保険」は、代理店を通して契約する保険商品です。

代理店の担当者が対面で加入手続きを進めてくれるので、保険について詳しくない人でも疑問を解消しながら契約まで進めやすいのがメリットだといえるでしょう。

代表的な保険会社

  • 東京海上日動火災保険
  • 損保ジャパン
  • 三井住友海上火災保険
  • あいおいニッセイ同和損害保険 など

ネット型自動車保険

「ダイレクト型」「通販型」とも称される「ネット型自動車保険」は、インターネット上から保険の加入手続きができる保険商品です。

代理店を通さず契約できるため、代理店の販売手数料がかからない分、保険料を抑えられる可能性があります。

代表的な保険会社

  • ソニー損保
  • 三井ダイレクト損保
  • SBI損保
  • アクサ損害保険 など

任意保険の具体的な補償内容

自賠責保険はあらかじめ補償内容が決められていますが、任意保険は数ある補償の中から必要な補償を組み合わせて、自分に合った保険をカスタマイズすることができます。

主に「相手方への補償」「自分や同乗者に対する補償」「自分の車に対する補償」の3つに分けられています。

主な補償内容 名称 概要
相手方への補償 対人賠償責任保険 相手が死傷したときの損害賠償金が補償される保険
対物賠償責任保険 相手の車や家屋、電柱やガードレールなどが損傷したときの損害賠償金が補償される保険
自分や同乗者に対する補償 人身傷害保険 契約中の車に乗っている人(自分を含む)が死傷したとき、治療費や逸失利益などの補償が受けられる保険
搭乗者傷害特約 契約中の車に乗っている人(自分を含む)が死傷したとき、あらかじめ定められた金額が受け取れる保険
自損事故保険(特約) 相手のいない事故(単独事故)で同乗者(自分を含む)が死傷したとき、補償が受けられる保険
無保険車傷害保険(特約) 事故の相手が任意保険に未加入であった場合や補償が十分でなかった場合に、補償が受けられる保険
自分の車に対する補償 車両保険 契約中の車が事故により損傷したとき、修理費や買い替え費用が補償される保険

保険会社によって名称が変わったり、補償内容が若干異なることがありますが、基本的には上記の内容で成り立っています。

またその他にもさまざまな特約を付帯することで、さらに補償を充実させることが可能です。特約の内容もまた、保険会社ごとに異なる場合があります。

【主な特約】

  • 弁護士費用特約
  • ファミリーバイク特約
  • 個人賠償責任補償特約 など

保険金額を設定する際の目安が知りたい!

いざ見積もりに進んでみると「設定する保険金額によって保険料が違うけど、一番安いプランを選んでもいいのかな……?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。

主に「対人・対物賠償」「人身傷害」「搭乗者傷害」「車両保険」の部分で保険金額を設定できるケースがあります。基本条件として、保険金額を高く設定すればその分保険料は高額になり、反対に保険金額を低く設定するとその分保険料を抑えることができます。

しかし保険料を安くしたいあまり保険金額を低くしすぎると、いざというときに十分な補償が受けられず保険に加入していた意味すら為さなくなる、といった事態にも陥りかねません。

適切な補償を用意するべく、ここでは補償別に最低限備えておきたい保険金額を一覧表にまとめました。

主な補償内容 名称 保険金額の目安
相手方への補償 対人賠償責任保険 無制限
対物賠償責任保険 無制限
自分や同乗者に対する補償 人身傷害保険 3,000万円
搭乗者傷害特約 なし~1,000万円
自損事故保険(特約) - ※自動付帯のケースが多い
無保険車傷害保険(特約) - ※自動付帯のケースが多い
自分のクルマに対する補償 車両保険 - ※時価により決定される

基本的に相手方への補償は、対人・対物ともに「無制限」で設定することをおすすめします。ここを低くすると、損害賠償金が保険で賄いきれない可能性もあり、相手方とのトラブルに発展しかねないからです。

少しでも保険料を抑えたいときは「自分や同乗者に対する補償」での調整を検討しましょう。

車両保険の保険金額は時価の範囲内でしか決められないため、保険料の兼ね合いで悩むとすれば「車両保険を付けるか否か」になると思います。例えば中古車に乗っている場合は、事故により車が損傷しても車両保険で買い替え費用が賄えない可能性が高いため、車両保険は付けないといった選択肢が考えられます。

自動車保険の保険料はどう決まる?

いざ見積もりを出してみると、同じような内容でも保険会社によって保険料の差が大きく、驚く人もいるかもしれません。自動車保険の保険料は、果たしてどのような条件をもとに決められているのでしょうか。

自動車保険の保険料は「純保険料率」「付加保険料率」の2種類の料率をもとに算出されます。

その中でも純保険料率は、「損害保険料率算出機構」が算出する数値を参考に、各保険会社が独自に設定しています。

保険料を左右する条件には、以下のような項目が挙げられます。

【契約者の条件】

  • 年齢
  • 免許証の色
  • 事故の有無
  • ノンフリート等級
  • 運転者の範囲

【車の条件】

  • 車種
  • 型式
  • 年式

【その他】

  • 走行距離
  • 使用目的
  • 使用地域

「付加保険料率」については、保険会社が事業を行っていく上で必要な経費などを各保険会社が独自に算出し、保険料に上乗せされるといった仕組みです。

結局どの補償を選べば良いか分からないときは……?

特に初めての契約で、内容を理解しないままあれこれ特約を付けるなどして気付いたら保険料がかなり高額になってしまった、なんて経験はありませんか?

迷ったときは、最低限必要となる相手方への補償2つ(対人賠償と対物賠償)と、自分や同乗者に対する補償(人身傷害)さえ押さえておけばOKです。

車両保険は、契約する車が新車の場合や、免許取り立てで運転に自信がない場合など、心配な人は付けた方が安心かもしれません。

車両保険を付けて保険料が割高になるのを少しでも避けたいときは「免責」を設定するのがおすすめです。修理費用を保険で賄うことになったとき、あらかじめ設定した免責金額のみ自腹で負担する必要がありますが、その分保険料が抑えられます。

よくある免責金額は「5万円」または「10万円」です。

“いざというときこの金額を支払えるかどうか?”、貯金額と相談して決めましょう。

自動車保険の加入方法

自動車保険の加入方法は、主に3パターンが挙げられます。

  1. 保険代理店で契約
  2. インターネットで契約
  3. ディーラーで契約
    ※厳密にはディーラーも保険代理店に当てはまります。

保険代理店またはディーラーでの契約とインターネット上での契約、2つの違いは「保険料」です。

代理店を通して保険契約をした場合、販売手数料が保険料に上乗せされるため、その分保険料が割高になるケースがあります。

事故時の対応や補償内容に大きな違いはないため、「保険料を少しでも安く済ませたい」「面倒な手続きの負担を軽減したい」といったご自身の要望に応じて決めると良いでしょう。

自動車保険に加入するタイミングは?

初めて自動車保険に加入する人の中には、保険に加入するタイミングが分からない人もいるのではないでしょうか。基本的には、納車日が決定した段階で早めに自動車保険の加入を検討し始めるのが良いでしょう。

「納車前に加入したら無駄な保険料が発生するのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、そのような心配はいりません。

自動車保険は保険会社によって、最大90日後まで保険始期日(補償が開始される日)を設定することができます。肝心の保険料は保険の始期日から支払うことになるため、保険料が無駄になることはありません。

自動車保険 Q&A

ここからは、自動車保険の加入を考える人が抱きやすい、よくある疑問をQ&A形式で解説していきます。

Q.任意保険は保険料が高いし、自賠責保険にも入っているから加入しなくても大丈夫?

特に年齢が若いうちは運転歴が浅いことも相まって保険料が高額になりがちです。加入しよう!と意気込んで見積もりをもらったのに、あまりの金額に驚いて任意保険に入る気を失くした……。なんて人もいるかもしれません。

しかし、だからといって「任意保険に加入しない」といった選択肢は避けたいところ。

補償内容を最低限に抑えたり、年払いから月払いにしたりと、無理なく保険料を支払えるように工夫しつつ保険に加入することが大切です。

Q.2台以上車を持っている場合でも、1契約あれば良い?

自動車保険は、車1台につき1契約が原則です。

2台以上車を所有している場合、保険料が割引になるケースもあるので活用すると良いでしょう。

また勘違いしやすいのが「自動車保険に入っているから友達の車を借りて運転しても大丈夫?」というケース。この場合、答えはNOになります。

契約は車ごとになるため、契約した車以外で事故を起こした場合は原則として補償の対象外になります。また車を乗り換える際にも、保険会社への連絡が必要になります。

Q.月払いと年払い、どちらの方がお得?

結論から言えば、月払いよりも年払いの方が保険料がお得になります。

しかし、年払いだと一括で支払わなければならないため、保険料が10万円前後の高額となった場合、無理せず月払いを選択するのもひとつの手段です。

Q.車を買い替えたり、保険会社を変えたりしたら、等級はどうなる?

等級が上がれば保険料は下がっていくので、車の買い替えや保険会社を乗り換えるたびに等級が1からになってしまったら悲しいですよね。

車を買い替えても保険会社を乗り換えても、きちんと手続きをすれば等級は引き継がれるので安心してください。また一度車を手放しても「中断証明書」を発行しておけば、再び車を購入した際に以前の等級を引き継げるといった制度もあります。

Q.保険料はネット型保険の方が絶対に安くなる?

代理店型は対面での販売手数料がかかる分、ネット型よりも保険料が割高になるケースが多く見られます。しかし、絶対にネット型自動車保険の保険料が安いかと言われたら、そうとも限りません。

また保険料を月払いにしたい場合、ネット型はクレジットカードの分割払いでしか対応できないこともあるため注意が必要です。

保険料を少しでも抑えたいと考えている人は、複数社に見積もりを依頼して検討することをおすすめします。

まとめ:車を持ったら自動車保険に加入しよう!

自動車保険には、強制加入の「自賠責保険」と任意加入の「任意自動車保険」の2種類があります。

自賠責保険だけではいざというときの補償が不足する可能性が高いため、万が一に備えるべく任意保険への加入も必須と言って過言ではないでしょう。

ひとくちに“自動車保険に加入する”といっても、補償内容はどんな形にするか、保険会社はどこを選ぶかなど決めることが盛りだくさんなので、契約を億劫に感じる人も多いかもしれません。

ひとまず補償に関しては最低限「相手方への補償は無制限に」「人身傷害補償を付ける」「新車の場合は車両保険を付ける」の3点さえ意識しておけば、難しいことは考えなくても大丈夫です。

まずは見積もりを取り、比較してみることから始めてみましょう。