車内身の回り品特約はいらない?補償内容や必要性を解説

自動車事故に遭ったとき、損傷するのは車だけとは限りません。

衝突により、車内に積まれた荷物まで壊れる可能性もあるでしょう。

車両保険では「車体の損傷」を補償してくれますが、たとえ事故の衝撃による損傷とはいえ、荷物までは補償してもらえません。

しかし「車内身の回り品特約」を付帯すれば、車内に積まれた荷物の損傷も補償されるのです。

今回は、車内身の回り品特約の補償内容や必要性について解説します。

車内身の回り品特約とは?

車内身の回り品特約は、自動車事故の発生により車内に積載された荷物が損傷した場合に、損傷した荷物に対して補償を受けられる保険です。一般的に車両保険の特約として付帯することができます。

事故の衝撃で車が大きな損傷を受ければ、トランクや車室に積まれた荷物にも被害が及ぶ可能性も十分にあるでしょう。そんなとき、車内身の回り品特約を付帯していれば安心です。

なお、車内身の回り品特約は保険会社によって、正式名称や補償内容が異なります。特に補償内容は意外と重要な部分が異なるケースもあるので、契約前の内容確認が非常に大切です。

車両保険との違いは?

車両保険で補償されるのは、車本体の損傷のみです。ボルトやねじなどであらかじめ車本体に固定されているものであれば、車両保険の補償対象になっています。(代表的な例は備え付けのカーナビです)

後付けされたオプション品(カーナビやドライブレコーダーなど)や、車内に積まれた荷物の損傷に関しては、車両保険からの補償は当然ながら受けられません。

事故の際に受けられる補償は車本体だけで良いか、それとも積載された荷物に関しても補償を受けたいのかによって、補償の必要性が異なります。

▶車両保険の内容・保険料について詳しい説明はこちら

特約を使用したとき、等級はどうなる?

特約の使用による等級への影響は保険会社によって異なります。

等級には影響しない「ノーカウント事故」となる保険商品もあれば、1等級ダウンにあたる商品もあります。気になる人は、契約前に補償内容の確認をおすすめします。

ただし車内身の回り品特約を使うシーンは、原則として「事故が起きたとき」なので、多くの場合「車の損傷」もセットになるでしょう。

損傷した車の修理に車両保険を使用した場合は等級ダウンの対象となるので、等級を気にされる人は注意してください。

▶等級による保険料の決まり方や、等級の上げ方についての解説はこちら

車内身の回り品特約の主な補償内容

ここからは車内身の回り品特約の主な補償内容について解説していきます。

「全部の荷物が対象になるの?」

「保険金額はどのくらい?」

といった疑問をこちらで解消していきましょう。

補償対象となるモノ

まずは、補償の対象となる荷物について見ていきましょう。

基本的には以下のような荷物が補償の対象となります。

  • カメラ
  • ゴルフ用品
  • キャンプ用品
  • 釣り用品
  • スキー用品
  • 衣類
  • バッグ
  • 楽器 など

上記に挙げた荷物の中から、保証書や購入時のレシートなど、購入日時と購入金額が分かる資料のあるものが、車内身の回り品特約の補償対象となります。

また保険会社ごとの補償内容によっても異なりますが、カーナビやドライブレコーダーといったカー用品は、後付けされたモノであれば補償が受けられるケースが多くあります。

反対に上記に挙げた中にも、保険会社によっては補償対象外となるケースもあるため、注意深く補償内容を確認してみてください。

補償対象外となるモノ

中には、車内身の回り品特約では補償されない荷物もあります。

  • 自転車、サーフボード(※)
  • パソコン、タブレット端末、携帯電話(※)
  • 通貨、小切手、株券、有価証券、電子マネー、クレジットカード
  • 貴金属、書画、骨董
  • 設計図、証書、模型
  • 眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器、義肢、義歯
  • 動物、植物 など

例えばバッグが盗難に遭った場合、バッグ本体は補償されても現金類は補償の対象外になります。

(※)自転車、サーフボード、パソコン等の電子機器は、保険会社によっては補償の対象となるケースもあります。

保険金額と免責金額

車内身の回り品特約の保険金額は、30万円が相場です。

中には「10万円まで補償」「100万円まで補償」「10万円、30万円、50万円の中から選択」のように、保険会社によって保険金額は異なります。

免責金額(※)も保険会社ごとに異なりますが、あらかじめ「3,000円」または「5,000円」の免責が設定されているケースが一般的です。

(※)免責金額分は自己負担となります。例えば3,000円の免責金額が設定されている場合、3,000円を差し引いた補償額が保険金として受け取れる仕組みです。

補償が適用されないケース

そもそもこの補償が使えない事故のケースについても確認しておきましょう。

  • 身の回り品に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
  • かすり傷や塗料のはがれなど、機能上に影響しない程度の損害
  • 車の屋根またはトランクに設置されたキャリア等に固定された荷物の盗難による損害
  • 故障や紛失による損害
  • 故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

例えば、事故の衝撃で助手席に置いていたカメラが落ちてしまい、カメラ本体に外傷がついたケース。「傷は付いたものの、問題なく操作できる」状態であれば、補償は受けられません。

また、キャリアなどで車の外側に固定されている荷物に関しては、事故による損傷は補償の対象となりますが、盗難のみ対象外になっているのが一般的です。

盗難に関する補償内容も、保険会社ごとに対応が変わるため、注意して確認しておきたいところです。

車内身の回り品特約の保険料目安は?

車内身の回り品特約は、いくらで付帯できるのでしょうか。

以下に大手2社とダイレクト型保険2社の保険料を記載したのでご覧ください。

<試算条件>
車種:ヤリスクロス
等級:15等級
年齢:30歳
免許証の色:ブルー
使用目的:日常・レジャー
走行距離:3,000km以下

保険会社 保険料(年間) 保険金額 免責金額
あいおいニッセイ同和損保 900円 30万円 なし
東京海上日動 1,080円 20万円

(10~100万円の範囲で設定可)

5,000円
ソニー損保 120円 10万円 5,000円
イーデザイン損保 1,079円 30万円 5,000円

数百円程度で特約を付帯できる保険会社もあれば、1,000円以上の保険料が必要となる保険会社もあるようです。

また条件によって保険料が左右されることもあれば、一律で保険料が設定されている保険会社もあります。

車内身の回り品特約の注意点

車内身の回り品特約には、主に3つの注意点があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

保険会社ごとに補償内容が大きく異なる

主な補償内容について解説してきましたが、中にはそれに当てはまらないケースもあり、保険会社ごとに補償内容の違いが目立つ特約になっています。

特に車内身の回り品特約のような特殊なケースを補償可能とする特約は、商品としての差別化が図りやすく、独自の補償を提供する保険会社も多くあります。

例えば盗難のケース一つを取っても、

「車両ごと盗難に遭ったケースのみ補償」
「車上荒らしによる荷物の盗難を補償」
「盗難は補償対象外」

といったように、保険会社によって大きな違いが生じるため注意が必要です。

故障や紛失は補償対象外

例えば乗降時、車内の荷物を誤って落としたことに気付かずそのまま紛失してしまったケースや、カーナビが故障により動かなくなったケースなどは、車内身の回り品特約の補償対象にはなりません。

あくまでも「自動車事故による損傷」が補償の対象です。

また、盗難被害については補償範囲に含む保険会社とそうでない保険会社が存在します。

「盗難の場合も補償してほしい」という人は、契約前に補償内容の確認をしましょう。

補償されるのは時価額まで

車内身の回り品特約の補償を受ける際は、購入時期や購入金額が分かる資料(レシートや保証書など)を保険会社に提示する必要があります。

資料をもとに、減価償却費を差し引いた額のみ補償が受けられる仕組みです。

修理費や買い替え費用が全額支払われるわけではないので注意しましょう。

車内身の回り品特約が必要なのはこんな人

車内身の回り品特約が必要になるのは、車内に趣味用品などの高額な荷物を積載している人です。

例えば、

「ゴルフクラブを常にトランクに収納している」
「釣り用品を車に積んで出かけることが多い」
「仕事で使うスーツを車に常備している」

など、常に車内に荷物を載せている人や、高額な趣味用品を載せて車で出かける機会が多い人は車内身の回り品特約の補償がいざというときに役立つかもしれません。

年間1,000円程度で付帯できる特約なので、事故が起きたときの荷物の損害も気になる人は、付帯してみてはいかがでしょうか。

まとめ:自分に合った補償が受けられる保険会社を探そう

事故発生時、車内に積載していた荷物が損傷した場合に補償が受けられる「車内身の回り品特約」。保険金額や補償の範囲など、具体的な補償内容は保険会社ごとにさまざまな設定がされているのが特徴です。

いざというときに十分な補償が受けられるよう、補償を受けたいモノの価値や受けられる補償範囲などを考慮して、自分に最適な保険会社を探してくださいね。