車の運転免許証に記載されている有効期間の帯の色は全部で3種類あり、それぞれ持つ意味が異なります。
任意保険の保険料にも「免許証の色」が影響するため、保険料を抑えるためにもゴールド免許を目指していきたいものです。
「そうは言ってもそこまでメリットあるの?」と思われた方へ。
今回は、運転免許証の色による任意保険料への影響と、優良ドライバーのメリットについて解説します。
運転免許証の色は3種類

免許証の帯の色はみなさんご存じの通り、グリーン、ブルー、ゴールドの3色に分類されています。
まずはそれぞれの免許証の色の特徴を見ていきましょう。
初心者ドライバー:グリーン免許
運転免許試験に見事合格すると、免許証が発行されます。
免許取得後、初めて交付される免許証の色は若葉カラーの「グリーン」です。
グリーン免許の有効期間は、免許交付日から3回目の誕生日の1ヶ月後まで。グリーン免許は「新規取得者」を意味しているだけなので、万が一グリーン免許の期間中に違反をしてしまっても、初回更新時にはブルー免許になります。
一般ドライバー:ブルー免許
免許取得からおよそ3年後の初回講習を受けると、これまでの違反の有無にかかわらずブルー免許に更新されます。
ブルー免許には、「初回更新者」「一般運転者」「違反運転者」の3つの運転者区分があります。
初回更新者の次回の更新は3年後。免許取得から無事故・無違反を貫き、かつ二度目の更新時に免許取得から5年以上が経っていれば、次回はゴールド免許です。
また、過去5年間で3点以下の軽微な違反が1回ある人は「一般運転者」になり、軽微な違反が2回以上または人身事故などの重大な事故を起こした人は「違反運転者」の扱いとなります。
一般運転者の免許証の有効期間は5年間、違反運転者は3年間です。
優良ドライバー:ゴールド免許
ゴールド免許を保有できるのは「優良運転者」です。
条件は以下の3つが挙げられます。
- 免許保有期間が継続して5年以上
- 誕生日の41日前から起算して5年間無事故・無違反
- 重大違反教唆幇助(きょうさほうじょ)、道路外致死傷がない
ゴールド免許は過去5年間において違反や事故を一度も起こさなかった優良ドライバーに与えられる、安全運転者の象徴のようなもの。
免許証の有効期間は5年間と長い上、免許更新時の講習は30分と短く、講習手数料も500円で済むといったメリットがあります。(※更新手数料は一律2,500円です)
さらにほとんどの保険会社で「ゴールド免許割引」を設けているため、任意保険が安くなる点も大きなメリットといえるでしょう。
運転免許証の色が重要なのは「記名被保険者」
任意保険において保険料に影響するのは、記名被保険者の免許証の色です。
たとえ契約者がゴールド免許であっても、記名被保険者がブルー免許だとゴールド免許割引は適用されません。
記名被保険者の定義は「主に車を運転する人」です。
告知義務違反にならないように、現状を踏まえて定期的な見直しを行いましょう。
運転免許証の色が変わったら保険はどうなる?

免許証の色も保険料の算出にかかわる重大な項目になるため、更新によって免許証の色が変わった場合は速やかに保険の変更手続きを行う必要があります。
免許証の色は、加入中の保険会社への電話やネット上のマイページから変更可能です。保険会社によって対応が異なるので、一度問い合わせてみると良いでしょう。
また免許証の色の変更に伴い、2点注意しておきたいポイントがあります。
「保険料に反映される時期」と「免許と保険の更新期間が近いときの適用条件」です。それぞれ見ていきましょう。
保険料への反映は次回更新日以降
任意保険では、保険始期日の免許証の色に応じてゴールド免許割引の有無が決定されます。
保険期間の途中で免許証の色が変わっても、すぐには割引は適用されません。
ゴールド免許割引が保険料に反映されるのは、あくまでも次回の保険更新以降になることを覚えておきましょう。
免許更新期間と保険の更新日が近いときの適用条件
免許の更新期間と保険の更新が重なる場合、保険始期日時点で取得している免許証の色で次年度の保険料が決まります。
例えば保険始期日にはゴールド免許であるものの、直後の免許更新でブルー免許に格下げとなる場合。保険始期日時点ではゴールド免許なので、次回の保険更新まではゴールド免許割引が適用されます。
では、保険始期日にはブルー免許ですが、免許を更新するとゴールド免許になる場合はどうでしょう。
この場合、保険始期日と免許の更新期間が重なっていれば、免許の更新より保険の更新が先になってもゴールド免許割引が適用されます。始期日時点で、“免許を更新すればゴールド免許になる”ということが明らかになっているからです。
しかし免許の更新期間が保険始期日と重ならない場合には、その年はブルー免許としてみなされ、ゴールド免許割引は適用されません。
少し仕組みがややこしい上、保険会社によっては対応が異なる可能性もあるため、免許の更新期間と保険の更新日が近い場合は事前に保険会社に問い合わせてみると良いでしょう。
運転免許証の色による保険料の違い
続いて、実際に免許証の色による保険料の違いを見ていきましょう。
ソニー損保の見積もりを使用して、同じ条件で免許証の色だけを条件を変えて保険料の違いを比較してみました。
【共通条件】
車名(型式):トヨタ ヤリス (MXPA10)
車の使用目的:家庭用
走行距離:3,000km以下
補償の範囲:記名被保険者のみに限定
車両保険:なし
<条件①>年齢:30歳等級:12等級 | <条件②>年齢:30歳等級:9等級 | <条件③>年齢:24歳等級:9等級 | |
グリーン・ブルー | 19,020円 | 21,040円 | 30,220円 |
ゴールド | 17,000円 | 18,780円 | 26,860円 |
差額 | 2,020円 | 2,260円 | 3,360円 |
実際にシミュレーションをしてみると、やはり保険料が抑えられるのはゴールド免許だということが分かります。特に保険料が割高になりがちな20代は割引率も高く、ゴールド免許の恩恵を受けやすいといえるでしょう。
今回はソニー損保のみでシミュレーションしましたが、保険会社によって割引率が異なります。よりゴールド免許の恩恵を受けたい人は、一括見積もりなどを利用して複数の保険会社から見積もりを取り、割引率を調べてみると良いでしょう。
ゴールド免許を持つメリット
ゴールド免許を持つメリットは、保険料以外にもあるのでしょうか?
ここでは、保険料以外の優良ドライバーのメリットを紹介します。
免許更新手続きが簡素化される
無事故・無違反の証ともいえるゴールド免許は、免許更新手続きの際に講習時間や講習手数料が優遇されるといったメリットがあります。
また優良ドライバーは免許センターや免許試験場以外にも、指定の警察署にて更新手続きが可能です。更新場所の選択肢が広がるので、手続きもしやすくなるでしょう。
5年に一度の更新とはいえ、拘束時間が短縮されるのは大きなメリットといえるのではないでしょうか。
SDカードを活用できる
1年以上、無事故・無違反のドライバーが発行可能な「SDカード」をご存じでしょうか?
意外と知られていないSDカード。「Safe Driver(セーフドライバー)」の略称で、自らが安全運転者であることを証明するカードです。
SDカードの発行は自動車安全運転センターで行われており、「無事故・無違反証明書」または「運転記録証明書」のいずれかを申請した人限定で発行されます。
証明書の発行手数料は670円(税込)。警察署、交番、駐在所、自動車安全運転センター事務所に備え付けの申請書に記入し、センター窓口または最寄りの郵便局から申請を行います。
SDカードは無事故・無違反の継続年数に応じて全5種類があります。
無事故・無違反の継続年数 | SDカードの種類 |
1年以上2年未満 | SDグリーンカード |
2年以上4年未満 | SDブロンズカード |
4年以上10年未満 | SDシルバーカード |
10年以上20年未満 | SDゴールドカード |
20年以上 | SDスーパーゴールドカード |
参考:自動車安全運転センター「SDカード概要」より
店舗によっては、カードの種類に応じてサービス内容が異なるケースもあるため、無事故・無違反の年数が長いほど待遇が良くなるといえるでしょう。
地域によってSDカードの対象店舗は異なりますが、主なサービスとしてレンタカーや引っ越し、ガソリンスタンド、自動車ローンの金利といったさまざまなサービスの割引が挙げられます。
全国各地の「SDカード優遇店」で優遇が受けられるため、まだ持っていないという人はゴールド免許の交付を機に、SDカードを持ち合わせてみてはいかがでしょうか。
虚偽の申告をすると補償が受けられない
「免許証なんて保険会社に見せないし、嘘を言っても大丈夫だよね?」
そんな風に思った人は要注意です。
保険には告知義務といって、等級や事故歴、車の使用目的などさまざまな告知が必要になります。免許証の色も、告知義務のある項目です。
とはいえ申告制ですので、たとえ虚偽の申告をしてもすぐにはバレないかもしれません。
しかし虚偽の申告だと発覚した場合、補償が受けられない可能性が高まるだけでなく、保険契約自体を解除される恐れもあります。
“免許証の色ぐらい”と軽視せず、保険会社への告知は正確に行いましょう。
ゴールド免許→ブルー免許に格下げ!?

せっかく手にしたゴールド免許ですから、できる限り維持し続けたいですよね。
無事故・無違反を貫いてきたにもかかわらず、ブルー免許に格下げとなるケースもあるため注意が必要です。
気を付けたいのは「免許の更新時期」。
運転免許の更新は、自分の誕生日の前後1ヶ月の間に行う必要があります。
免許の更新手続きを忘れて失効してしまうと、例え違反や事故がなくてもブルー免許に格下げとなってしまいます。更新忘れには十分に注意しましょう。
その他、ゴールド免許が剥奪されてしまう条件を以下に記載しました。
ゴールド免許が剥奪される条件は?
無事故・無違反がゴールド免許の条件ですから、一度でも違反や事故があると次回の更新からゴールド免許ではなくなると思っておいて良いでしょう。
しかし、違反や事故の内容によっては点数が付かないケースもあります。ゴールド免許に関わるのは、違反点数が加点される違反・事故のみです。
【点数の付かない違反の例】
- 免許不携帯
- 泥はね運転
- 一般道における後部座席のシートベルト未着用
これらの違反は反則金の支払いのみで、点数は加点されず、免許証の色にも影響しません。
【点数の付かない事故の例】
- 人的被害のない物損事故
- 自損事故
事故の当事者が負傷してしまった場合は「人身事故」として取り扱われ、事故の程度によって行政処分や刑事処分、民事処分などが科されます。
しかし、人的被害のない物損事故や自損事故のケースでは行政処分の対象にはならず、違反点数は付きません。自損事故で自分がケガを負った場合も同様です。
違反をせず、事故が起きぬように安全運転を心がけることが大切ですが、時にはヒヤッとするできごとがあるかもしれません。
自分が起こした事故や違反が点数に影響しているかどうか確かめたいときは、「運転記録証明書」を申請するのがおすすめです。違反等がなければ、同時にSDカードも発行されますよ。
「免許取り消し」にも注意
事故や違反により免許取り消し処分になると、1から免許を取り直すことになります。
その場合、当然グリーン免許からのスタートです。
免許取り消しの条件は、行政処分歴の有無に応じて点数が異なります。
過去3年以内に行政処分を受けたことがない人の場合、累積15点以上で免許取り消しとなります。なお運転免許の行政処分とは、免許の取り消しや免許停止処分のことです。
「免許取り消し」というと、酒気帯び運転や無免許運転といった重大な違反をした人だけが受ける罰のようなイメージがあるかもしれませんが、小さな違反の積み重ねで取り消しになる可能性もないとは言えません。
違反運転や事故リスクの高まる危険な運転は控え、安全運転を心がけましょう。
まとめ:安全運転を意識して保険料を抑えよう
ゴールド免許を取得すると自動車保険の「ゴールド免許割引」が適用されるため、お得に契約できます。
運転免許の新規取得からゴールド免許になるまでの道のりは、最短でおよそ6年です。
ゴールド免許を維持し続けるには安全運転が不可欠ですが、優良ドライバーでいるメリットは意外にも大きいもの。
日頃から安全運転を意識して、ゴールド免許を目指してはいかがでしょうか。